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42 幕間 勇者アオ その2

 翌日、アオはぶ厚い皮の魔物を捕えることを村人に命じた。また、魔物の肉も献上せよと。


 何人もの死者をだしながらも、村人はアオが希望したものを捧げた。アオの命令は絶対だからだ。

 意外と手先が器用なアオは、丸めた肉に皮を巻き、ちくちくと裁縫した上で、お手製のサッカーボール(魔物肉ボール)を作り上げた。試しに、庭で蹴ってみると、程よく弾み、割といい感触であった。

 ニタリとするアオ。


 アオは村人を招集した。

 サッカーゴールを作らせ、サッカーのルールを説明した。

 そうして村人達とおっぱじめたサッカー。


 無論、村人達にとってサッカーは初めてである。恐る恐るプレーをする。アオはそんな彼らを慈悲なくショルダーチャージ(肩でぶつかる)で吹っ飛ばし、豪快なシュートをする。

 ゴールを守る村人の正面に飛ぶボール。キャッチした村人は斬首された。

「俺様のシュートをキャッチしやがって」

 いつしかアオのお戯れサッカーは、村人達にとっての恐怖そのものになっていた。

 招集がかかった村人は死を意識して勇者城の庭へと旅立つ。


 *

 

「退屈だ」「退屈だ」「退屈だ」

 十数回目のサッカーが、勇者城で催されていた際に、アオは3度呟いていた。なお、この時点での村人の死者数は(おびただ)しいほどであった。

 アオは冷たく言い放った。

「おまえら下手すぎて、ぜんっぜんオモシロクねーよ」


 そう。

 高校サッカーをそれなりにやっていたアオにとって、素人とやるサッカーはイマイチなのだ。一瞬にして怖気立つ村人達。

 その日に招集された者で、無事に村に帰還できた者はいなかったという。


 そんな折であった。

 アオは、一匹の魔物が闇空の隙間へと身を投じるのを目撃した。


「ん?」


 魔法を使ってその身を消したのではないことがアオには不可思議であった。

 しばらくその場で待つアオ。(わりとここでは忍耐強く待っていた。好奇心が勝っていたのだろう)

 まあまあ長い時間を経て、その魔物が闇空から姿を現わした。アオは速攻でその魔物を捕えた。

 キメラの残党であるその魔物に対して、何をしていたかを問う。

 魔物はくちびるを大きく震わせながら、答えた。答えれば殺さないというアオの言葉を信じて。


「ボールを蹴っている世界へ行っていました……」


 空の亀裂がどこかの世界に繋がっていることに、アオは驚いた。だが、その感情をポーカーフェースで隠したまま、ネチネチと詳細を魔物から聞く。既に空の亀裂は消えていた。時々、その亀裂は現れるという。

「ふーん、なるほど」

 魔物はこれで解放されると思ったのか、アオに気付かれないようにホッと息をなでおろした直後――。


 バスッ


 死を自覚できない速さで、アオは魔物の口を封じたのだった。

「サッカーをしている世界と、この世界が繋がっているねえ」

 誰もいなくなった勇者城の庭で、アオは感情の高ぶりをおさえられずに、いつしか哄笑するのであった。


これで第Ⅰ部は終了となります。ぺちぺちぺち。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

引き続き、第Ⅱ部も更新していきますので、お付き合いいただければ幸せです!


第Ⅱ部の情報をちょい見せしますと……ぶっちゃけ、アオがジャパンに来ます! 一方で、魔王は自身の『魔王』というアイデンティティに疑問を持ち始めます。(魔王は結構マジメ君なのです)

わりとシリアスな内容もでてきますが、個人的にはやっぱりバカバカしさやクスっとできる要素をちょいちょい差し込んでいきます!

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