さよならの、その先へ――クラリス、帰還。
ユウトの机の隣は、空席のままだ。
マモル「……やっぱり、あのクラリスでも“スパイ”って立場には勝てなかったんだな」
グレイス「敵国の令嬢でありながら、彼女は“ただの一人の少女”としてユウトに惹かれてしまった。矛盾ですね」
ユウト「……あいつ、言ってた。“恋を知ってしまったから整理が必要”って」
アリシア「……その整理が終わると、彼女はどうなるのかしら」
ユウト「……帰ってくる。俺はそう信じてる」
放課後、ユウトの下駄箱に一通の封筒。
そこにはノルヴァ帝国の王室紋章、そして――
“Dear Yuto”
クラリスからの手紙だった。
「私は今、王宮に戻り、報告書と向き合っています。
あなたのことをどう記述すべきか、何度もペンを止めました」
「“接触対象”――
“情報収集対象”――
“監視対象”――」
「でも本当は、私はあなたを――
“好きになってしまった”」
「これは任務でもなく、策略でもない。
ただの一人の女の子が、あなたに贈る“感情”です」
ユウト「……バカだな……。言えよ、それを直接」
クラリスは王宮のテラスで夜空を見上げていた。
クラリス「……送っちゃった。手紙、なんて。
こんな私に、“待っていて”なんて言う資格、ないのに……」
???「あなたが、“感情”を知ったというのは本当なのか?」
姿を現したのは、クラリスの兄にしてノルヴァ帝国の第二皇子・ライオネル。
ライオネル「任務よりも少年を取ったか。愚かな妹だ。……だが、それが“心”か」
クラリス「……兄様?」
ライオネル「お前の“未練”が、帝国を動かすかもしれんな。
……次に派遣されるのは、“俺”だ」
グレイス「報告があります。ノルヴァ帝国からの“皇子”がこの学園に編入予定です」
ユウト「は?」
アリシア「皇子……?まさか、クラリスの身内?」
マモル「ってことは……“王子様VS俺たち”の、恋と外交の三つ巴開幕ってことかよーーー!?」