転校生は女スパイ!?王女をめぐる三角関係の始まり!
文化祭から数日後。
王女アリシアの正体が一部の生徒に知られたものの、
「ただの中二病ってことにしておけばOK」という驚異の学園ノリで黙殺された。
ユウト「ここの生徒、メンタル鋼かよ……」
そんなある朝――
「紹介する、新しいクラスメートだ」
担任の先生が教室に入ってきた、その瞬間。
扉がスッと開き、涼しげな目元と銀髪の美少女が現れた。
「初めまして。“クラリス・イヴェル”と申します。どうぞ、よろしく……♡」
男子「銀髪!黒タイツ!無表情クール系!最高!!」
女子「ま、また美少女増えた……このクラスどうなってるの……?」
ありさ「……っ」
ユウト(心の声)「ヤバい……空気が変わった。なんか、この子……“ただ者じゃない”」
休み時間。クラリスはさっそくユウトに近づく。
「あなたが、“ユウト”さん、ですね」
「え、ええと、そうだけど……なんで俺を?」
「……興味があるんです。“王女様”に近い、あなたに」
ユウト(ゾワッ)「(言い方コワイ!!!)」
グレイス「……敵国“ノルヴァ帝国”から、最近スパイが潜入したという情報がありました」
アリシア「まさか、それが……」
グレイス「……クラリス・イヴェル。本名:クラリサ・ノルヴァ・ユリシア。
――ノルヴァ皇帝の直属の諜報員。暗殺専門、代号《氷姫》」
アリシア「……っ!」
偶然、公園のベンチで一人、アイスを食べながら涙ぐむクラリスと遭遇。
ユウト「……なにやってんだお前」
クラリス「……甘いもの、任務中は食べられなくて。我慢してたのに……。
……なのに……こんな国で、笑ってる王女様を見ると……なんだか……」
ユウト「……」
クラリス「私はただの駒……あなたのような人に、嫉妬なんてしちゃいけないのに……」
「王女の“心臓”を奪え。手段は問わない」
手が震えるクラリス。
だが、彼女の視線の先には――ユウトがいた。
笑って、少し困っていて、けれどまっすぐな目で彼女を見ていた。
アリシア「……クラリスさん、あなたの目的は何ですか?」
クラリス「それは……まだ言えません。
でも――少なくとも、あなたの“心”には……触れてみたいと思ったんです」