それは“劇”のはずだった――舞台の上で恋がバレる!?
秋の文化祭。
平行世界の星ヶ丘学園では、毎年恒例の**“スキンシップ恋愛劇場”**というイベントがある。
演目は、生徒が“実際に好意を持っている相手とペア”で出場し、スキンシップを交えた告白演技を披露するという……
──もはやただの公然イチャイチャ選手権だった。
「ユウトくんと一緒に出られるなんて……こんなチャンス、王女の権限でもなかなか……!」
と、テンション最高潮。
しかし、親衛隊長・グレイスの眉間にはシワが刻まれていた。
「王女様。万が一、告白が“演技”でなく“真実”だとバレれば……政略結婚問題が発生します」
「でも……気持ちだけは、嘘をつきたくないのよ、私……」
観客席では、マモルが大声で叫ぶ。
「ユウトー! 抱けーーー!!」
「違う!そういう劇じゃない!!黙れバカ!!」
舞台の上。
静かな音楽が流れ、スポットライトが2人を照らす。
アリシア(ありさ)は、用意されたセリフを震える声で読み上げる。
「世界が崩れても、私はあなたを忘れない……」
ユウトも照れながら続ける。
「もし君が誰かに奪われても、きっと俺は、君を……君を……」
(観客「おおおおおおおお!!」)
だが、そのとき――
ユウトのポケットから、偶然落ちたあるもの。
それは、アリシアが王族しか持たない“紋章入りハンカチ”。
観客の一人が気づく。
「……それ、ルミエール王国の……!? まさか彼女、本物の王女――!?」
空気が変わる。
ザワつく会場、騒然とする教師たち。
グレイスは立ち上がり、すぐさま飛び出そうとした。
が、舞台の上――アリシアはハンカチを拾い、ゆっくりと立ち上がる。
そして。
「はい、そうです。私が、ルミエール王国の王女・アリシア・フォン・ルミエールです」
「――でも、今はただの女子生徒、ユウトくんの“従姉”です!」
観客「?????」
ユウトは混乱しながらも、ゆっくりとアリシアに向き直る。
「……どこで生まれたとか、身分がどうとか……正直まだ受け止めきれないけど」
「俺にとって、お前は……いつも笑って、たまにキスを仕掛けてくる、めんどくさい“従姉”だよ」
「……でも、好きだよ」
(観客「きゃああああああああ!!!!」)
舞台裏では、グレイスが頭を抱えていた。
「どうしましょう……これ、戦争ですわ……」
マモル「よっしゃ!次は俺も劇に出るぞ!“学園一の巨乳と急接近!放課後ラブ温泉編”で!」
グレイス「貴様が戦争の火種だッ!!!」