王女(従姉)の正体がバレる日!?親衛隊 VS 変な友人 VS 鈍感主人公!
朝の通学路。
ユウトは昨日の“スキンシップ地獄”をなんとかやり過ごし、今日こそは平和な一日を祈っていた。
が。
「ユウトくんっ! おはようございます♡」
霧島ありさ(=アリシア王女)が走ってきて、満面の笑みで……
「今日のご挨拶は“唇の方で”……い、いかがですかっ……?」
「ちょっと待ったあああああああああ!!!???」
両手で距離を取るユウト。
それを茂みから見守るグレイス=シュトルム(親衛隊長)は、双眼鏡を握りしめ震えていた。
「王女様……これは危険です……この男は、貴女の純潔を……!」
「いや、してない! 何もしてないからな!?!?」
一方、そこに割って入る陽気な声。
「ユウト〜、おはよう〜!!今日の“あいさつ戦績”はどうよ?」
「……マモルか……なんだよその“戦績”って」
「俺は今朝、4ハグ、2キス、0もみ。ちょっと不調だわ〜」
「数えるな!!!」
マモルは自信満々に親指を立てる。
「安心しろユウト、慣れてくれば“胸から始まる友情”だってある!」
「そんな友情聞いたことないし聞きたくもない!!」
しかし、グレイスの目が光った。
「……この男、大崎マモル。王女様の接触者リストに記録あり。危険人物。要排除……」
そしてその場に現れるグレイス。姿を変えて“ただの家庭教師”モードだ。
「おや、ユウトさん。今日もありさ様とご登校とは、お仲がよろしいことで」
「グレイスさん!? こんな時間に……え、なんか目が怖いんですけど!?」
「王女様に……もとい、“従姉”様に変なことしてませんか?」
「してないし、できるわけがないんだよこのルールのせいで!」
その頃、アリシアは小さくつぶやく。
「……ユウトくん、いつか気づいてくれるかしら。
この心臓の鼓動の意味も……私の本当の名前も……」
グレイス(小声)「その前に王女様、正体バレるので“王宮風ローストビーフ”って言うのやめてください……」