現れたもう一人のクラリス──黒のヴェールの王女
夜の学園。見回りの警備員が「誰かいるのか……?」とつぶやいた直後、ふわりと現れたもう一人の“クラリス”。
同じ金髪、同じ顔立ち。だが彼女は黒いドレスに身を包み、瞳には冷たい光を宿していた。
??「王女クラリス……あなたが“正統”と信じて疑わぬその民が、
ほんとうにあなたの味方だと、どうして言い切れるのかしら?」
その声はクラリスのものと酷似していた。
翌日、担任が紹介する。
先生「えー、本日から新しくクラスに加わる転校生を紹介します。どうぞ」
その少女が教室に入った瞬間、ざわめきが走る。
ユウト「えっ……クラリスが……もう一人!?」
アリシア「……いや、違う。目が……目が冷たい」
少女は、やわらかく笑いながら名乗る。
??「はじめまして。“クレア・ヴェール”。しばらく、この学校にお世話になりますわ」
昼休み、クレアはクラリスに声をかける。
クレア「クラリス様、お久しぶり。王族の“影”として育てられた者として、ご挨拶を」
クラリス「……まさか、生きていたのね。クレア。
王室の“もう一つの血筋”……!」
ユウト「どういうことだ……?」
セルディス(低く)「“影の王女”……王国の裏に隠されていた、失われた王統。
表に出れば、王位継承を揺るがす存在……!」
クレアは微笑を絶やさず言い放つ。
クレア「私はただ、クラリスが“本当に国民のために相応しい存在か”見極めに来ただけ。
あなたの“日常”も、“大切な人”も、すべて……借りてみるわ」
アリシア「借りるって……あんた、ユウトにまで手を出す気!?」
クレア「彼が“真に見るべきもの”を知らないうちは、
誰が隣にいてもおかしくないでしょう?」
ユウト「……なんなんだよ、こいつ……」
クレアは静かに、しかし確実に周囲を魅了していく。
生徒会、教師陣、一部の貴族生徒までもが彼女に味方し始める。
クラリスは心を揺らし、アリシアは苛立ち、ユウトは迷う。
だが――
ある夜、ユウトはクレアと二人きりになる。
クレア「ユウト様。
……もし、あなたが“本当にクラリスを救いたい”と思うなら、
私の言うことを、少しだけ聞いてくれませんか?」
その声は優しく、切なく、そしてどこか――寂しさを滲ませていた。




