アリシア、もう我慢できない。
学園祭が始まった。
校内はにぎやかに装飾され、出店、演劇、コンテストなどで盛り上がっている。
だがアリシアの表情は、いつもよりどこか険しい。
クラリスが帰還して以降、ユウトは彼女を避けるようになっていた。
アリシア(独白)
(私、ただの“友達”でいたくないのに……もう、限界だよ)
演劇部の文化祭演目は『夢の中の王国』。
内容は、記憶を失った王子が“真実の姫”を探すというファンタジー。
そして――
王子役:ユウト
姫役(Wキャスト):クラリスとアリシア
これを提案したのは演出担当のグレイス。
「本物の恋は、舞台でこそ映えるのよ」と言って笑う。
ユウト「えっ、俺……マジで姫二人と?」
アリシア(心の声)
(これは運命かもしれない――もう、逃げない)
リハーサルでは、演技とは思えない緊張感が流れる。
ユウト「……姫、俺のことを……覚えてますか?」
クラリス「記憶にはありません。でも、あなたに“心”が揺れました」
アリシア(次の場面で割り込むように登場)
「私なら、最初からあんたを覚えてるよ! 忘れようがないくらい、ずっとあんたを……!」
観客がざわめく中、アリシアは突然セリフを飛ばし――
アリシア「ユウト、あんたのこと……好き!!
昔からずっと好きだった!!
強がってたし、素直になれなかったけど……もう、我慢できない!」
一瞬、時が止まるような沈黙。
観客すら息を呑むなか、アリシアの瞳だけが真っ直ぐにユウトを見ている。
クラリスは、そっと目を閉じ、拍手を送る。
クラリス「……素敵だったよ、アリシア」
ユウトとアリシアは演劇後、静かな屋上で向かい合う。
ユウト「……お前、すごかったな。マジで心臓止まるかと思った」
アリシア「……で? 返事は?」
ユウト「……今すぐ答えを出せない。でも……俺、お前のこと、放っておけないって思ってる。
あの言葉、嬉しかったよ」
アリシア「……はあ、もう。
じゃあ、答え出るまで待っててあげる。でも、毎日“好き”って言わせるから覚悟しときなよ」
ユウト「え、マジかよ」
アリシア「マジだよ、バカ」
クラリスは、演劇の衣装をそっとたたみながら独白する。
クラリス「これが、私が見たかった“アリシアの本気”……
でも、私も――負けない」




