ユウト消失 ――記憶という名の檻
ある夜、ユウトは不思議な夢を見る。
自分が“帝国の王子”で、クラリスと婚約している。
そしてアリシアは、侍女でありながら自分に恋する存在として現れる。
目覚めた時、彼は自分の部屋の様子がどこか違うことに気づく。
ユウト「……ここ、どこだ?」
ユウトは少しずつ「元の世界」の記憶を失い始める。
親友の名前が出てこない
クラリスの笑顔が“2人分”に重なって見える
アリシアとの約束の記憶が“改変”されていく
彼女はユウトに触れることで、少しずつ彼の過去を書き換え、
「自分こそがユウトにとって唯一のクラリス」という認識を植えつけていたのだ。
偽クラリス「ねえ、ユウト。もう“あの頃”の記憶は必要ないわ」
ユウト「……え? 俺たち、昔から……婚約してた、よな……?」
偽クラリス「ええ。だから、アリシアはただの友達なの。そうでしょ?」
彼の言葉を聞いたアリシアは、ショックで何も言えなくなる。
アリシア(心の声)
(ユウト……嘘でしょ……私たち、何度も一緒に……)
その時、学園に戻ってきた本物のクラリスが事態を把握。
クラリス「ユウトの記憶が侵食されてる……このままだと、“彼自身”が消える」
彼女は、自らの魔力を用い、ユウトの精神世界へ“記憶ダイブ”を敢行。
そこは、誰もいない静かな学園。すべてが真っ白で、時間が止まっていた。
クラリスが校舎を進むと、**“幼いユウト”**がひとりで座っていた。
ユウト(少年)「ねえ……君は誰? クラリスって、あの優しい子だよね……? でも……顔が思い出せないんだ」
クラリス(涙を堪えて)
「私が、本当のクラリス。あなたが忘れてしまった“あなた自身”を取り戻しに来たの」
そこに現れる偽クラリス。精神世界では、
彼女は“ユウトが理想とするクラリス”として現れ、圧倒的な力を持つ。
偽クラリス「彼にとって幸せなのは、私よ。本物とか、過去とか……そんなもの必要ないの」
クラリス「違う!彼が私を選ばなくてもいい。
でも、彼が“自分自身で選べるように”記憶を取り戻すべきよ!」
激しい魔力の衝突が精神空間で巻き起こる!
現実世界で、アリシアがそっとユウトの手を握る。
アリシア「お願い、ユウト……思い出して。
私たち、何度も喧嘩して、笑って、助け合ったでしょ。
あんたが私を“友達”って呼んでくれた時、私――すっごく嬉しかったんだから!」
その想いがユウトの心を揺り動かす。
ユウト(心の声)
(……そうだ。アリシア……クラリス……俺は、お前たちと過ごした時間が――)
ユウトの瞳が開く。
ユウト「……お前は“クラリス”じゃない。俺は――あの2人を、知ってる」
偽クラリス「なっ……!? どうして!?
私はあなたの“理想”の――!」
ユウト「俺の理想は、“本物の気持ち”でぶつかってくれるやつだよ!」
偽クラリスの姿が歪み始め、精神世界から消失していく――。
現実世界に戻ったユウト。
クラリスとアリシアは、彼を見守る中で、互いに視線を交わす。
ユウト「……俺、まだ答え出せそうにない。
でも、絶対に逃げない。2人のこと、ちゃんと向き合って考えるから」
クラリス「……うん」
アリシア「……らしくないけど、まあいっか。ちゃんと考えなよ、バカ」




