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chapt5 イーストサイドストーリー

こんにちは、kzfactryです。今回のマゴッタは結構長編になってしまいました。色々折り込もうと思っているうちに……と言う感じです。難しい話ではないのでのんびり暇つぶしがてらに読んでいただければ嬉しいです。


__バーンチユナイテッドの北西にある秘密のアジト。そこでは怪しげな密談が行われていた。


『…すでにマグーンリパブリック支部では行動を開始してっぺ。鋭意北上中とのことだ。我々も手をこまねいている場合ではないべ!』 バンッ!


黒い影が三体。リーダー格らしい者が強い口調で言う。テーブルを叩いて興奮しているようだ。


『しかし、Lバッチーニ、南のキョーン団の連中が動き出しているとの情報がある。あいつらは結構手強そうだべ』


『Lカワチー、そんな弱腰ではこのジパンの地を統一するなど夢のまた夢だべ。おれらは強い!おれらには力がある!!まずはこのバ.ーンチユナイテッドを統一し、各支部力を合わせてジパンの統一を達成すっぺ!!!』 バンッッッ!!


両手でテーブルを叩いた後、少し落ち着いた表情になってLバッチーニと呼ばれた影が喋り出す。


『Lカワチー、にしゃもわかっているっぺ。このジパンには竹が圧倒的に足んねー。おれとおめの好物の笹、Lユッキーノはタケノコだったんね。上手にアク抜きして刺身にしたり煮物にしたり…考えただけでも涎が出てくるべ…』


Lバッチーニは本当にヨダレを流している。よほど好物のようだ。


『うちは天ぷらにして、バター炒めにもして、炊き込みご飯も…夢のよう…』


Lユッキーノは女子のようだ。両手をお祈りの格好で組んで妄想している。


『しかしこのジパンの地には竹林があまりにも少ないべ。我々秘密結社“L -PANルパン“でジパンの地を統一し、この地を竹林で埋め尽くすっぺ!ジーク、L -PAN!!』


『『ジーク、L -PAN!!』』


            *


 マゴッタ達はクニサンエンパイヤの上空を飛んでいた。ピーナツLineさんは本当に大きくてピーナツのカラの部分がパカッと口の様に開くと、前方はマゴッタ達妖精が乗り、後ろの部分にはハウスマゴッタがすっぽりと入った。カラの隙間が窓のようになっていて、眺めもすごく良い。快適な空の旅。あ、この間仲良しになったトウエドさんだ。こっちに向かってブンブン手を振っている。マゴッタ達も一生懸命手を振り返す。乗り心地もいいし本来ならウキウキ気分で乗っているところだろうが、ピーナツLineさんの真剣な表情を見るとマゴッタ達三人もかしこまってしまう。エド湾を超えたところでピーナツLineさんが徐々に高度を落とす。見えてきたのはナリタンエアポート。とっても大きな空港のようだ。ピーナツLineさんのお仲間も何人もいて、その奥にはこの間お世話にいたCHOタンさんもいてマゴッタ達を見かけてちっちゃい羽を振ってくれている。マゴッタ達も手を振りかえすが、皆さんとっても忙しそうだ。その中にピーナツLineさんは降りていく。


『マゴッタ達を連れて来たっぺよ〜』


ピーナツLineさんがそう声をかけながら着地すると、そこにはスピーカー…?の妖精さんが三人並んで立っていた。


『バーンチユナイテッドへようこそマゴッタ。我々はバーンチユナイテッド防衛隊だ。私は隊長のPanzerトム。ヨロシク』


そう言って握手を求めてきたPanzerトムさんは男言葉だがちっちゃくて可愛らし女性のようだ。やたら大きな横に長方形のサングラスをかけ、黒い蝶ネクタイもしている。オシャレさん。彼女はマゴッタの様にタマゴのような形をしたスピーカーの妖精。サイズもほとんどマゴッタと同じ。他の二人はメガホンを上に向けたような形をしたスピーカーの妖精さんで少し緊張しながら


『僕はPanzerレオーン、もう一人はPanzerシーン、ヨロシクお願いします』


やたら丁寧に握手を求めてくる。二人ともとても良い妖精さんのようだ。


『もうすぐ、いや、もう始まっているかもしれない。このバーンチユナイテッドで大変な抗争が起きそうなんだ!!』


Panzerトムさんがとても真剣な表情で恐ろしげな説明を始めた。バーンチユナイテッドの南の方からキョーン団と言うギャングが攻めて来ているらしい。それに秘密結社L-PANルパンと言う組織がぶつかり合って一触即発の緊張状態であるとの事。


『バーンチユナイテッドの妖精達の平和を守るためにもぜひ我々に力を貸して貰いたい!』


熱い、Panzerトムは可愛らしい女性の妖精だがとっても情熱家のようだ。マゴッタも感動。目が炎の形になってやる気満々だ。…サーメNYANはちょっと眠そう。Wooちゃんはニッコニコしている。みんなで一丸となってバーンチユナイテッドのために頑張るんだ。


          *


『おれらは〜強いっぺ〜♬』


『おれらは〜最強だっぺ〜♬』


『おれらは〜誰にも止められないっぺ〜♬』


軽やかなステップで両手を伸ばし空気を掻き分ける様な仕草から一回転。


低い位置から両手を空に掲げる様にして一回転。


軽やかなジャンプから一回転して低い位置で両手を広げる。


三人の流れる様な動きでのダンス。まるで、そう、ミュージカル。キョーン団は道路いっぱいに広がって自分達を目一杯アピールしていた。彼等はキョンの妖精三人組。揃いの革製のジャンパーを着て髪の毛はリーゼントでしっかり固めている。…二本のツノの間なのでちょっとモヒカンにも見える。首には三人ともスカーフを巻いていて、赤、青、白と一人一人色違いで個性を表しているが、スカーフのたなびいている部分に星のマークが一つ。なかなかオシャレだ。彼等はギャング団の様だがダンスはキレッキレ。素晴らしいの一言に尽きる


『ところでおれらはどこへ向かうんだべ?Kヨーン〜♬』


『北へ〜北へ〜♬南には海しかないっぺよ〜♬Kカージ〜Kホエー〜おめらと一緒なら怖いものは無いっぺ〜♬』


『『南には海しかないから俺達キョーン団は北上するんだっぺ〜♬』』 シュタッ!


…最後はKカージとKホエーの二人による綺麗なハーモニーでポーズをつけてフィニッシュ。どうやらかなりオシャレ(?)なギャング団らしい。


         *


Lユッキーノは両手一杯にタケノコを抱えてホクホクしていた。


(バーンチユナイテッドは竹林が少ないのにおんもりタケノコ取れるなんて…今日はがいラッキー♡)


ルンルン気分なのだが彼女ははたと気づく。


『あれ?LバッチーニとLカワチーはどこへ行ったべ?…まさか、迷子になった?二人ともでれすけだぁ』


…迷子になっているのはどうやら彼女の方らしいのだが、彼女はとってもおおらかな性格のようだ。それに彼女はすでにこのタケノコをどうやって食べるかと言う方向に頭を巡らせているようだ。…他の二人がちょっと可哀想。


『まずはしっかりアク抜きして、バター醤油で軽く炒めるべ。それをつまみながらタケノコご飯の準備をして、ふふふ♡』


Lユッキーノは食いしん坊女子の様だ。歩きながら両手一杯にタケノコを抱えて考えごとをして歩く。…流石に、無理があったらしい。手の中のタケノコが一つ転がり落ちそうになる。Lユッキーノから逃亡を図ったのか?


『いけない!』


Lユッキーノは一つも逃すまい、…と頑張ったのがマズかった。


バラバラッ ドチャ!


『痛い!』


盛大にタケノコをばら撒きながら転んでしまった。


『いたたたた…』


足首を打ってしまったのかとても痛そうな顔で足首をさすっている。可哀想。


『…いしなごぶっつけてあおなじみできちゃって痛か〜。あ、タケノコ…もやもやしー』


…足首の痛みよりタケノコへの執念が勝ったようだ。しかし、その時


『見るべ、Kホエー、こんな所にタケノコがたくさん落ちてるっぺよ!』


クルクルっと回ってシュタッとタケノコを指差す。なかなか決まっている。


『ほんとだ、Kカージ、ナワバリを広げて大正解だったべ。これからはタケノコも食べ放題だっぺ!』


Kホエーは全身で喜びを表すステップをした後両手を空に掲げてフィニッシュ。そこへKヨーンも現れた。


『にしゃら、待つべ!女性が倒れて困っているっぺ!』


そう言うと、クルクルっと2回回ってからLユッキーノの隣に膝をつき、


『お嬢さん。あじした?』 キラッ


そう言って素敵な笑顔(?)でちっちゃいキバをキラッと光らせながらLユキーノに手を延べた。Lユッキーノは最初戸惑っていたが、あることに気づいた。


(この人達、資料で見たキョーン団のメンバーだべ。なじょしべーか。今は私一人だし足を痛めているし…)


Lユッキーノは自分のピンチを悟って困った表情だ。


(きーちゃう、このままじゃ…)


Kヨーンに続いてKホエーも側に来る。


『このお嬢さんはタヌキの妖精さんだべか?』 ピキッ


さらにもう一人Kカージも横に来て


『いやいや、アライグマの妖精さんだっぺよ?』 ピキキッ


穏やかでクリクリっと可愛らしい目をしていたLユッキーノの瞳が…まるでブラックホールのように。こ、怖い。両手に五本づつ鋭い爪がシュッと出る。Kヨーン団はまだそれに気づいていない。大変な事が起ころうとしているのか?


『にしゃら、全然違うぞ〜♬彼女は〜レッサーパンダの妖精さんだっぺ〜♬』


Kヨーンが両手を捧げるようにLユッキーノに向かって歌う。パチクリ。一瞬物凄く怖かったLユッキーノの瞳がまた元の可愛らしい目に戻った。爪も引っ込む。


(あら、わかってるじゃんか、コイツ)


Kヨーンはそのまま自分のスカーフを解くとLユッキーノの痛めている足首にサポーターの様に巻く。そしてKカージのスカーフも解くと周りに散らばっていたタケノコを集めてスカーフに包み彼女に渡した。Kヨーンはギャングだが女性には紳士のようだ。カッコいい。


『素敵なレイディ♬これで自分で歩けるっぺ〜♬』


二本のちっちゃい牙をキラッとさせてKヨーンはポーズを取る。


(…キョーン団は私達秘密結社L−PANのことを知らないみたい。助かったべ)


少し足は痛むが歩けないほどではない、と判断したLユッキーノはタケノコを包んだスカーフを首に回して背負うと、この場を離れることにした。


(やっぱり情報収集能力が違うのね、ちょっと足が痛いけど早くLバッチーニ達と合流しないと…)


そう思いながらチラッと振り返りながら


(…あのリーダー、Kヨーンと言ったかしら。ちょっとカッコよかったかも♡)


そんな呑気なことをLユッキーノは考えながら足早にその場を離れた。…その時はまだLユッキーノは気づいていなかった。後に大事件を引き起こす出来事が起きていたことに。


         *


Kヨーンの目はハートマーク。クルクル回って踊りながら歌い出している。


『ラララ〜♬なんて素敵な女性だべ〜♬まるでクリクリ浜の海の様にキラキラした瞳〜♬ヨーロ川のせせらぎの様に澄んだ声〜♬』


全身で喜びを表すダンス。クルクル周りながらジャンプし、さらに足をパタパタさせている。彼等キョーン団はミュージカルにバレエの動きを取り入れているようだ。所作の一つ一つが美しい。誰もが見惚れる様なダンスだったが、キョーン団の仲間の二人は彼のダンスを見ていなかった。


ポリポリポリ


Kカージが何かを食べていた。タケノコ?外の皮も剥かずにポリポリ齧っている。目ざとくそれを見つけたKホエーが、


『いいな、Kカージ、おれにもくれよ〜♬』


『もちろん友よ〜♬おれたちキョーン団はなんでも分け合うっぺ〜♬』 パカッ


ポリポリポリポリ♬


Kカージはタケノコを二つに割って二人で食べ出す。食べる音がハモっている。とっても仲の良い二人。


 …ただ、タケノコの出所は…


          *


『イッツジャストロックンロ〜〜〜ル!!♡』


 Panzerトムは大興奮していた。事の発端はバーンチユナイテッドのパトロールのためにピーナツLineさんだけでなくハウスマゴッタも出動となり、パトロールしやすいようにハウスマゴッタもゲートを開いてステージモードになったのがきっかけだった。オオエドダンスの件でハウスマゴッタに必要だと思っていたマゴッタが、密かに用意していたスピーカーを設置し終えていたのだ。さすがマゴッタ、仕事が早い。スピーカーマゴッタ(そのまんま)の設置場所は開いているゲートの先端に二つとゲートの上の方に二つ。お馴染みマゴッタそっくりのボディがちょこんと四つ。小さいがドーム型スピーカーとして完璧に設計されている。しかもゲートが閉じた時に四つのマゴッタスピーカーがお互い手を繋いでいる状態になる。そんなちょっとしたギミックにもマゴッタのこだわりが見てとれる。…それにこれはまだ秘密なのだがハウスマゴッタの部屋自体がウーファーとして作用する作りになっているのだ。マゴッタ渾身の改良。

 流石にスピーカーの妖精さん。Panzerトムはちょっと見ただけでハウスマゴッタの性能に気が付いた。


うずっ


Panzerトムは平静を装っているがほっぺを紅潮させて体を震わせている。…?。そしてスタスタスタとばかりにどこかに消える。すぐ戻ってきた彼女はステージモードになっているハウスマゴッタのステージの中央に何かを置いて組み立て始める。


『…まずい、隊長のスイッチが入っちゃった…』


Panzerレオーンが慌てた様子でPanzerシーンに呼びかける。


『『どうしようどうしよう♬』』


…?二人慌てているが、ハモっている?そして、Panzerトムが組み上げたのはキーボードだった。Panzerトムの小さくて可愛らしい体からはアンバランスなくらい大きなキーボード。そのまま彼女は深呼吸すると大きく手を振り上げてから


ジャ〜〜〜〜〜〜ン!!!♬


『イッツジャストロックンロ〜〜〜ル!!♬』


猛烈な勢いでキーボードを弾き始め、歌い出した。彼女の音楽に新調されたばかりのマゴッタスピーカーが共鳴し出す。…なんなら踊っている?一瞬でハウスマゴッタは空飛ぶロックンロールステージになった。


『『こうなったら隊長が満足するまで音楽は止まりませ〜〜〜ん♬』』


PanzerシーンとPanzerレオーンがハモりながら言う。


『止めるな♬止めるな♬音楽を止めるな♬』


…なるほど確かにそう歌っている。二人はとても自然にPanzerトムの後方につき、コーラスで参加しだす。仲良いのね。そのパワフルなステージはバーンチユナイテッドの妖精さん達を魅了する。


『おい、あっちだ、ロックンロールのライブが始まったぞ!』


『あれはバーンチユナイテッドの防衛隊の隊長Panzerトムじやないか?』


『復活したんだ!伝説のPanzerトムがロックンロールのステージに戻ってきたんだ!!』


ワ〜〜〜〜!!!


バーンチユナイテッドの妖精さんが集まりだし、盛大なダンスパーティが始まった。


         *


『Kヨーン、見ろよイカしたライブをやってるっぺ!!♡』


Kホエーが気球で持ち上がっているハウスマゴッタを指さして叫ぶ。ホットなミュージックを聴いて高揚しているようだ。


『ホントだ!すげえ!俺たちキョーン団をアピールするチャンスだっぺ!!』


『レッツゴー!!』


キョーン団の三人はハウスマゴッタから一番近い、一番目立つ、最高のポジションでダンスを始めた。三人揃って斜め下を見ながら腰と足を高速でシェイクする、ツイスト?キョーン団のパフォーマンスが始まった。その流れる様な動きで膝や足首までシェイクしている。三人ともバラバラな動きなのだが、トータルで調和が取れている。立ち位置も互いに邪魔にならない、それでいて離れすぎていないドンピシャなポジション。本当に彼等のダンスはレベルが高い。流石にダンスに敏感なマゴッタ。あっという間に彼等の実力を見抜いた。


『しゅ、しゅごい!なんてカッコいい大人のダンスなんだ!クールでホット!凄い!!凄い凄い!!!』


マゴッタ大興奮。最初はPanzerトムのロックンロールに(子供すぎて)付いて行けなかったが元々音楽とダンスが大好き。すっかり虜になってしまった。虜になってしまったのはマゴッタだけではないらしい。周りにいたバーンチユナイテッドの妖精さん達も


『イカすぜ!』


『なんてノリがいいんだ!』


『ク〜〜〜〜〜ル!!』


パチパチパチパチッ!


割れんばかりの拍手、キョーン団の三人は得意顔でガッツポーズをしながらギャラリーに手を挙げて応える。キョーン団のパフォーマンスはバーンチユナイテッドの妖精さん達を虜にしたのだ。ダンスショーが最高の盛り上がりを見せた時、突然


『『スト〜〜〜〜〜プ!!!』』


雷のように大音声が轟いた。?!!余りの音量にみんな飛び上がって驚く。


ツカツカツカ


突然現れたのはポリスマンっぽい上着と帽子を被ったLユッキーノ。すごく険しい表情だ。怖い。その後ろにはやはりポリスマンの格好で怖そうな顔で腕を組んでいるLバッチーニとLカワチー二人の姿が。三人揃ってキョーン団を睨んでいる。Lユッキーノはそのままキョーン団のメンバーを指差し、叫んだ。


『いづまでもあだっげってんでね〜!にっしゃらキョーン団を窃盗容疑で逮捕する!かっくらすぞっ!!』


『『えええ〜〜〜〜〜〜!!!』』


          *


『ヤッチマッタな!お前達!!私は我が目を疑ったよ、八本あったタケノコがナナエしかない!…しかも一番大きくて立派だった私のタケノコ…最後に炊き込みご飯を作るはずだったタケノコ…許せるわけがねえべ!!』


Lユッキーノは魔王のように負のオーラを出しながら捲し立てる。恐ろしい。両眼はブラックホールの様になっていて口からは何かエクトプラズムの様なものが漏れている。怖すぎる。食べ物の恨みと言うのはかくも恐ろしいものなのだ。


怖いものが無いはずのキョーン団のメンバーも今のLユッキーノには敵わない。タケノコを食べてこの事態を引き起こしてしまったKカージとKホエーは腰を抜かしてしまっている。


『ど、どうすっぺKヨーン。こ、怖えぇ…』


Kカージは腰を抜かしながらKヨーンに縋り付いている。KホエーはKヨーンの反対側の足に縋りついた。Kヨーンはパニックになりながらも考える。


(…ホントにさっきの彼女と同一人物だっぺか?ものすごいプレッシャー、こんなのは今までの人生(妖精生?)で感じたことがないべ……!)


そこへ演奏を終えたばかりのPanzerトムが現れた。まだ演奏の余韻でアツくなっているようだ。


『お前達がキョーン団だな。我々はバーンチユナイテッド防衛隊の者だ。やはり貴様達は南の方から侵攻してきてバーンチユナイテッドで悪のかぎりを尽くす気なんだな!?』


…Panzerトムはスピーカーの妖精だけあって話を大きくするのが得意みたいだ。


『『そんな事は我々バーンチユナイテッド防衛隊が許さない!!』』


Panzerトムを中心に三人揃ってポーズをとる。格好いい♡…しかし彼等バーンチユナイテッドは秘密結社L -PANには気付いていないようだ。Lユッキーノ達の方にはまるっきり意識をむけていない。さすがは秘密結社。しかしLバッチーノは顔を曇らせた。


(…ここでバーンチユナイテッド防衛隊と出会ってしまうなんてついてねえべ…キョーン団を殲滅する絶好の機会なのに。我々LーPANのポリスマンへの変装はばれていないようだべが……)


Lバッチーノは隣にいるLカワチーに目をやる。Lカワチーも戸惑っているようだ。Lユッキーノからの報告を聞いてキョーン団を潰す絶好の機会だと思いポリスマンに変装してキョーン団を捕える予定だったが、まさか防衛隊ともバッティングするとは…、それにLユッキーノのキレっぷりが物凄い。色々と想定外だった。


(彼女がこんなに恐ろしいなんて…彼女のタケノコを摘み食いしなくて本当に良かかったべ)


ぶるっ


Lバッチーニは魔王のようになっているLユッキーノを見ながら身を震わせた。それと防衛隊の出現によって状況が混乱してしまっているので、Lカワチーに目配せをして様子を見ることにした。


           *


『どうしようどうしようどうしよう〜〜〜〜!!』


マゴッタはパニックに陥っていた。さっきまでは初めて触れたロックンロールに大興奮していたのだが、突然現れたポリスマンによってハウスマゴッタの周辺はパニック状態になり、当然のようにマゴッタにもそのパニックはマゴッタにも伝染していた。Wooちゃんもマゴッタの周りをクルクルうろちょろ。サーメNYANも珍しく落ち着かなげにキョロキョロしている。みんな子供なので殺伐とした雰囲気(修羅場?)には免疫がないのだ。


『落ち着け落ち着け落ち着け〜〜〜〜!!』


…落ち着いてない。両目をバツマークにしたまま同じところをクルクルと走り回っている。


『…これだけは使いたくなかったけど…』


 Lユッキーノが懐から何かを取り出した。?、持ち運べる小さめの黒板?今風のホワイトボードではなく昔懐かしのチョークで描くタイプの黒板のようだ。それを見たLバッチーノがギョッとして言う。


『ま、待て!Lユッキーノそれはダメだべ!!』


『Lユッキーノ!そんな!!それだけは止めてくれ〜〜〜!!!』


横にいたLカワチーも大慌てでLバッチーノと共にLユッキーノを制止にかかる。


『許さないっぺ!!!』


そう言うとLユッキーノは飛び出していた五本の鋭い爪を黒板に当て、一気に


Kikikikikikikyokiki Kyiiiiiiiiiiiiii !!!


あたり一面に猛烈な勢いで不快音が響き渡る!


『ぎゃ〜〜〜〜〜!』


『きゃ〜〜〜!!』


『やめてぇっ〜〜〜〜〜!!!』


マゴッタとWooちゃんは泡を吹いてバッタリ倒れてしまった。二人ともあまりの衝撃に体のあちこちにヒビが入っている。サーメNYANも目がグルグルマークになってフラフラ、こてん、と言う感じで倒れてしまった。三人だけではなくキョーン団や大勢板周りの妖精達、さらにはその攻撃を仕掛けたLユッキーノもL–PANのメンバーごと気絶してしまう。…本当の意味での最終兵器だったようだ。


           *


『……ん?』


マゴッタが気がつくと、そこはハウスマゴッタの中。しかし裁判所の法廷の様になっている。裁判モード。本当にハウスマゴッタは多機能。マゴッタが一番真ん中の裁判長席。WooちゃんとサーメNYANも陪審員として一段低い場所で両サイドにいる。


『あ、気がつかれましたね、マゴッタさん』


声をかけてくれたのはバーンチユナイテッド防衛隊のPanzerトムさん。PanzerレオーンとPanzerシーンもいる。


『本当に大変でしたね、普通の妖精さんには音波攻撃はキツかったようで。私達はスピーカーの妖精なのでどんな音でも平気なんです』


そう言って三人ともニコニコしている。…なんとなくズルい。


『これからキョーン団の裁判バトル(?)が始まりますのでその判決をお願いします』


またもマゴッタ達に重要な仕事が託された。信頼されているのね。見渡してみると、被告の席にキョーン団三人が座らせられている。ちょっと小さくなって畏まっている。検事側の席には上着をスーツに着替えたLーPANのメンバー三人(まだ他の妖精達はL–PANだと気づいていない)が座っている。Lユッキーノはだいぶ落ち着いたようだがそれでもかなり不機嫌そうに目を細めてキョーン団のメンバーを睨んでいる。本当に怖い。…とにかくLユッキーノはまだ冷静になれないようなので、Lバッチーノが裁判を進めることにしたようで


『…したっけ、わんらーらキョーン団はLユッキーノのタケノコをオノレの欲望のままに奪って食い散らかしたっぺ!!』


…Lバッチーニも話を大きくしている。裁判とはこう言うものなのか?怖い。キョーン団は震えている。


『そんな、、、そんな、そんなおいねえことしねっぺ』


三人とも大汗をかきながら首を横にブンブン振って否定している。ちょっと可哀想。しかしこの時、Panzerトムさんが何かを思い出したように、手をポンと叩いて何かをゴソゴソと出してきた。この妖精さんは色々と用意しておくのが得意なようだ。何かの箱?を出してきた。


『そうそう、忘れていました。我々バーンチユナイテッド防衛隊の者は北西部を本拠地にしているので彼らの言葉がよく分からないんですよねぇ』


そう言ってPanzerトムはそのちょっと大きめの箱を持ちながら陪審員席の三人に近付いていく。


『ズーラWooさんの事は聞いていましたのでこれを用意させていただきました』


そう言って箱を開けると、ふわっと甘い匂いが。中からは高級感漂うどら焼き?がたくさん。


ピクンッ


その箱に真っ先に反応したのはLユッキーノだった。


(あれは!トラノヤのどら焼き。それも15個入り!!…さすがにバーンチユナイテッド防衛隊、ものすごい資金力だべ。したっけあんな超高級品を渡すなんてそんな力があのタマゴ達にあるんけ?…それにしても15個入り。被告のキョーン団にはもちろん無しとして、タマゴ達に3つと防衛隊に3つ、それに私達LーPANに3つだけど、LバッチーニとLカワチーはタケ以外は興味がないから(スーパー決めつけ)私に3つ、それでも6個余るから上手くいけば5個くらいいけるかもしんね…)


Lユッキーノが涎を垂らしながらそんなタヌキの皮算用(レッサーパンダの皮算用?)をしている。本当にLユッキーノは食いしん坊さんのようだ。…しかし、彼女の目の前で彼女が想像だにしえなかったとてつもない光景が…


がぱぁ、、、バクン!!


突如牙がびっしりと生えた巨大な口が現れたかと思ったら一瞬で閉じられた。…後に残ったのは中身だけ綺麗に無くなったトラノヤの箱。それとどら焼きを包んでいた包装紙が規則正しく15枚並んで置かれていた。Wooちゃんのスーパー能力。タマゴ達は見慣れたものだが、他の妖精達は腰を抜かしてしまった。箱を持って行ったPanzerトムなど青い顔をして体を震わせている。ちょっぴり可哀想だが、これはマゴッタ達と付き合うための必要な試練なのかもしれない…。ホントか?

 Lユッキーノも驚愕の表情で両目を開いている。なんならちょっと鼻水が出ている。


(…なに!?なになになに!!?ライオン!?サメ!!?ワニ!!!?)


それはそれはパニックだ。さしものLユッキーノも消えてしまったどら焼き15個の事も頭からすっ飛んでしまった。タマゴ達三人以外の妖精が皆震えていると、Wooちゃんはいつもの如く触角でハートマークを作ってクルクル回り出す。


『う〜〜〜〜〜♡!』


柔らかいピンク色の光が…。すると


『お願いです、僕たちを食べないでください!!』


Kヨーンが涙ながらに言う。…怯えてしまったキョーン団と誤解(?)されてしまうWooちゃんとどっちも可哀想。同じくPanzerトムさんも震えて青くなっていたが、Kヨーンの言葉を聞いて、落ち着きを取り戻したようで


『ああ、本当に言葉がわかりやすい!すごいですね!!Wooさん!』


Panzerトムさんは満面の笑顔でWooちゃんに握手を求める。Wooちゃんがその握手に触角で答える。友情が誕生した瞬間だ。そのままPanzerトムさんはWooちゃんの能力を褒め称える。それを見ていたLユッキーノは


(やっぱり…あのタマゴ達は凄い能力の持ち主なのね。確かにいつも分かりづらい防衛隊の言葉がよくわかる。要注意妖精達だわ)


そう考えながらLユッキーノはLバッチーノとLカワチーに目配せをする。二人とも同じことを考えていたみたいでお互い小さく頷きあった。…何故かわからないが秘密結社L–PANの中でタマゴ達の評価が爆上がりした瞬間だった。

 そんな中マゴッタが小さく『コホン』と咳払いをして、話だす。…ちょっと格好つけているようだ。可愛い。


『それではキョーン団の皆さん、反論ダンス(?)を始めてください』


…始めて聞く単語だがツッこんではいけない。妖精国ジパンはそう言うモノなのだ。すっかり怯えきっていたキョーン団達もダンスと聞いて元気を取り戻してきた。


『よし、みんな!俺たちキョーン団の最高のパフォーマンスで戦うぞ!!』


Kヨーンが拳を握りながらそう叫ぶと、三人ポジションについた。


ワン ツー ワン ツー ♬


『ハウスマゴッタの法廷でマゴッタがパーティを開いた〜♬』


『法廷バンドは大騒ぎ〜♬』


『キョーン団は飛び跳ね法廷中が踊り出す〜〜♬』


キョーン団のメンバーは腰と膝を高速で動かし、完全にロックのリズムで踊り出す。


『ロック、法廷のロック♬』


物凄いパフォーマンス。何ならスピーカーマゴッタ4体もリズムに乗ってスイングしている。…流石に踊り出すまでの機能はないようだ。


『しゅ、しゅごい!!何てイカすダンスなんだ!カッコいい♡』


マゴッタ感涙。すっかりキョーン団のダンスパフォーマンスに夢中だ。思わず裁判長席で踊り出しそうにな…る…?、が、急にマゴッタがピタッと止まった。???

 キョーン団のダンスパフォーマンス自体は最高にクールにフィニッシュした。


パチパチパチパチッ


WooちゃんとサーメNYANは拍手して大喜び。キョーン団のダンスはこの二人の心にも刺さったみたい。素晴らしい。しかし、Lバッチーノの顔は曇っていた。


            *


(う〜〜〜ん、さっきのダンスといいキョーン団の実力は我々が想定していたよりだいぶ上のようだ…)


Lバッチーノは暫く考え込んだ後、他の二人に目配せをして


『よし、あれを出すぞ!一気に勝負をかける!!』


そう言った。ちょっとびっくりした顔でLカワチーが


『えっ!?あれを出すんんですか?秘密兵器としてとっておくんじゃ…』


『ダメだ!奴らキョーン団のパフォーマンスに対抗するにはあれを出すしかない!!』


リーダーのLバッチーニの迫力に二人は圧倒され


『『ラジャー!!』』


と勢いよく返事すると三人で準備を始めた。っと思ったらあっという間のセットアップ。さすが妖精さん達だ。LバッチーニとLカワチーの前には大きな和太鼓が。二人は紺色のパンツに同色の前掛け、上は白いトレーナーのようなものを着ていて、頭にはハチマキが。ちょっと職人のように見えるいで立ちだ。Lユッキーノはと言うと、白と紺色の綺麗な柄が入った浴衣を着て花傘をかぶっている。赤い紐で顎の辺りで縛るなかなかおしゃれな花傘。凄く艶やかだ。三人揃って少し目線を下に下げる。すると、


『P&Cサードダンス!』


そうLバッチーノが宣言すると


どどんど どん どどんど どん どどんどどん かっ♬


パワフルに和太鼓を叩き出す。その大太鼓の音に合わせてLバッチーノが踊り出す。


ちょちょんが ちょん♬


『ヨイヨイヨイヤサ ヨイヨイヨイヤサ♬』


リズムのいい大太鼓の音に合わせてLユッキーノが歌いながら踊り出す。手首をくねくね、腕を伸ばしながら右回り、左回り。とっても素敵なオボンダンスだ。


『わ〜〜〜♡素敵なオボンダンス!♡』


…陪審員のマゴッタが真っ先にダンスに参加してしまった。それに続いてとっても嬉しそうにWooちゃんとサーメNYANもダンスに加わる。


『これは、バーンチユナイテッド魂のP&Cサードダンス!』


Panzerトムさんが一歩たじろいだ感じでマゴッタ達を見る。マゴッタ達はもうすでに楽しそうに輪になってオボンダンスに夢中になっている。


『…ダンスしたい…しかし裁判が…。あ、君たち!』


PanzerトムがP&Cサードダンスの誘惑と戦っているその真横をPanzerレオーンとPanzerシーンが駆け抜けていく。


『『わ〜〜〜♡♡!!P&Cサードダンスだ♡』』


オボンダンスの輪に加わってしまった。それに釣られたPanzerトムも催眠術にかかったようにフラフラっと。


『やっさほっさ やっさほっさ よいよいよいやさ♬』


…それどころかいつの間にかキョーン団達までオボンダンスに加わっている。


『やっさほっさ やっさほっさ よいよいよいやさ♬♬』


みんな大太鼓のリズムに乗って楽しそう嬉しそう。めでたしめでたしで大団円……か?


            *


 後ろ暗いと言う言葉がある。本来は人に知られたくない行いや気持ちがあると言うことだが、ハウスマゴッタでの意味はそのまま。いつの間にかハウスマゴッタの背中に当たる部分に白い鉄格子が付いたケージができている。しかもちょっと暗めで雰囲気がある。そこに落ち込んで暗くなっているキョーン団三人が押し込められていた。まさに後ろ(は)暗い。


『…まいったな、結局許してもらえなかったな…悪いことは出来ないな…』


Kヨーンがすっかりしょげてしまった顔で言う。KカージとKホエーも涙目だ。三人並んで膝を抱えてちょこんと座っている。ちょっと可哀想。よく見ると白い鉄格子の隙間はガバガバで楽に通り抜けられそうなのだが妖精さん達はそんな悪いことは考えもしない。しかし…


『仕方ない、あれだけはやりたくなかったが…』


Kヨーンが二人に目配せする。L–PANだけでなくキョーン団にも秘密兵器があるのか?


            *


『いや〜〜〜本当に助かりました、マゴッタさん♡あなた達のおかげでキョーン団を捉えた上に裁判にも勝てましたし』


 Panzerトムさんが本当に嬉しそうにお茶を飲みながら言う。ハウスマゴッタは裁判モードからちょっと広めのリビングモードになっている。そんなに大きくないハウスマゴッタなのに広めのリビングやら背中(?)側にあるケージの部屋やら。まだまだハウスマゴッタには謎が多いようだ。

 みんなが飲んでいるお茶はラッカセイティ。これもまたPanzerトムさんが持って来てくれたもの。本当に気配りのできる妖精さんだ。マゴッタは子供なのでお砂糖を沢山入れて飲んでいる。…Wooちゃんなどはカップにお砂糖を溢れんばかりにいれ、ラッカセイティで砂糖を湿らせている、ぐらいの勢いだ。それでも触角でカップを持ちちょっと気取ってラッカセイティをすすっている。精一杯背伸びをしている感じが可愛い。サーメNYANはもちろんストレート。満足げに香りを嗅いで目を細めながらラッカセイティをすする。PanzerレオーンとPanzerシーンもお行儀良くお茶を飲んでいる。その和やかな場にL–PANのメンバー三人もいる。


『いやあ、でもマゴッタさんの鶴の一声で私達の勝訴にして頂いて本当に助かりました。WooちゃんさんもサーメNYANさんも三角だったのに一人だけ大きなバッテンつけて頂いて』


Panzerトムさんが丁寧にお礼を言う。人間界では陪審員と原告とが一緒にお茶なんてえらく怒られそうだが、妖精界なのでゆる〜くOK。マゴッタが目をパチクリさせながら答える。


『だって、マゴッタはタマゴの妖精だから腰を捻れないんだもん。ツイスト出来ない』


……すごい理由で判決が出たようだ。キョーン団のダンスはアダルト過ぎ(?)たみたい。その意見を聞いたWooちゃんとサーメNYANもそう言えば…と言うようにちょっと上を見上げてからうんうんと頷いた。三人仲が良い。


『はっはっはっ♡なるほど、そう言えばスピーカーの妖精である我々も腰を捻ることができません♡』


『『ハッハッハッハ♡』』


みんなの笑い声がシンクロする。…笑える様な話か?妖精さん達は呑気で素敵。


            *


(う〜ん、撤退するタイミングを逃してしまった…)


Lバッチーニは居心地悪そうにお茶を啜っていた。Lカワチーと目配せしながら撤退する(逃亡する?)タイミングを測っている。


(俺たちがL–PANのメンバーだとはバレていない様だが、さすがにバーンチユナイテッド防衛隊も居るところにいつまでも居るのはまずい…。まだ我々L–PANの存在を彼らに知られるのは時期尚早だ、何としても正体がバレる前に撤退しないと)


どのタイミングで撤退するか、その流れでLバッチーノがLユッキーノの様子を伺うと…


ぷるんぷるん


ニッコニコニコ♡


Lユッキーノはそのつぶらな瞳で何かと見つめ合っていた。とっても嬉しそう。お相手は…プリン?プリンマゴッタだ。お久しぶり。艶々と黄色に輝くボディーと頭にちょっとかかっているカラメル、ヤクミの部分はチョコレートでできているようだ。進化したのか?さすがプリンマゴッタ。可愛い白いお皿の上でそのボディをぷるんぷるん揺らしながらLユッキーノと見つめ合っている…と言うよりロックオンされている?ぷるんぷるん揺れているボディは震えているのか?ヤクミのチョコはやばい冷や汗か?


(なんて幸運なの♡あの伝説のプリンマゴッタをいただけるなんて。どら焼き食べられなかったから申し訳ないなんてタマゴ達は子供のくせに中々わかっているわね♡ふふふふ♡)


Lユッキーノはとっても嬉しそう。何なら体の周りに♡マークが幾つも飛んでいる。今日一日大変だった彼女へのご褒美タイムなのか?彼女は散々プリンマゴッタを色んな角度から眺め回した後、いよいよという感じで


『それでは伝説のプリンマゴッタを頂きま〜〜〜〜す♡!』


ぷるぷる震えながら「美味しく食べてね♡」と言っている様に見える(少なくともLユッキーノにはそう見える)プリンマゴッタに向かってLユッキーノのスプーンが…まさにその時


Gyiyaaaaaaeeeeeiiiiiii!!! ドンッ! パキーン、、、!!


突然耳をつんざく様な物凄い轟音と共にハウスマゴッタが激震した。激震というより縦方向に吹っ飛んだという感じである。


『『『わ〜〜〜〜〜〜!!!』』』


マゴッタ達三人、バーンチユナイテッド防衛隊三人、L–PANの三人全て吹き飛ばされた。もうぐっちゃぐちゃ。


『何だ何だ何だナンダ??!!』


パニック。まさにパニック。部屋の中からは見えないが、ハウスマゴッタはあちこちから煙の様なものを出して完全に気絶してしまっている。可哀想。


『イタタタタタ、何が起きたんだ?』


お尻をさすりながらPanzerトムが起き上がる。PanzerレオーンとPanzerシーンも続けて立ち上がった。やはり防衛隊のメンバーは鍛えているだけあってタフな様だ。しかし部屋の中はぐっちゃぐちゃ。タマゴ達三人は目がぐるぐる状態のグロッキー。L–PANのメンバーは…

 Lバッチーニは頭を振りながら何とか立ち上がる。Lカワチーは立ち上がったがまだヨレヨレだ。Lユッキーノは…尻もちをついて頭に皿を乗せていた。目はぐるぐる。両手を後ろについてなんとか体を起こしているが。


『後ろのケージの方じゃないか?様子を見てこよう』


Panzerトム隊長が素早い判断で走り出す。PanzerレオーンとPanzerシーンも遅れずについていく。鍛えられた彼らの行動は機敏だ。


『Lユッキーノ大丈夫か?』


Lバッチーニが気遣って声をかける。しばらく呆けていたLユッキーノだが、突然ハッとした様に目をパチクリさせる。


『何?なになに?』


周りをキョロキョロした後に自分の違和感に気づく。


(???どうしたの?私?そうだ、プリンマゴッタはどこ?まだ食べてないわ)


……プリンマゴッタの行方が最優先されるあたりLユッキーノの食への執着が伺えるが。Lユッキーノは暫くして尻もちをついたあたりが冷たいことに気づいた。


(???)


Lユッキーノがそーっとお尻の下を見てみると……茶色と黄色の混じり合った液体がLユッキーノのお尻にベッタリ。その痕跡がありし日の(?)プリンマゴッタの残骸だと認識するのはさすがのLユッキーノでも時間がかかった。


パチクリ


Lユッキーノの瞬きから音がした。暫く間があった後…


どんっ!!!


Lユッキーノのつぶらな瞳が爆発でもしたかの様に真っ赤になった。


           *


(…う、うう……)


Kヨーンは手で頭を抑えながらやっとの思いで身を起こす。まだ頭がクラクラしているようだ。


(…さすがに三人シンクロした“バークディア“、反動も物凄かった…)


ケージの格子を見ると全てが折れて吹っ飛んでいた。何だか知らないが物凄いパワーだ。他の二人もダメージを受けながらだがヨレヨレと立ち上がってきた。


『よし、今のうちに逃げよう!』


Kヨーンが声をかける。三人揃ってケージ内から飛び降りた時、


『待て!キョーン団!!』


鋭い声が。そこに現れたのはバーンチユナイテッド防衛隊。三人揃ってポーズまでしている。カッコいい。


『まずい!こっちだっ!!』


Kヨーンが踵を返して反対側逃げようとした時


『逃さんぞ!キョーン団!!』


LバッチーニとLカワチーが行く手を遮る。……そして


ZZZZZuuuu……


赤紫のオーラを纏って5倍くらいに大きくなったLユッキーノの姿が…


<<……返す返すも私の楽しみの邪魔ばかり……挙げ句の果ては可愛いプリンマゴッタを私に潰させるなんて……オトメの私のお尻にこんな屈辱的な仕打ちをするなんて……許せるわけがない!!!>>


声に怨念がこもり過ぎていて空気まで震えている。恐ろしい。トコトコトコと遅ればせながらマゴッタ達三人も現れた。…が、オロオロしている。彼らタマゴ達はお子様なのでこの一触即発の事態には対処できない。

 Lユッキーノが懐からさっきの黒板とその他に反対の懐からすりガラス?を取り出した。さらに武器を増やしたということか?いよいよ最終戦争ハルマゲドンが始まってしまうのか?


<<しぃぃぃねぇぇぇーーー!!>>


Lユッキーノのテンションがマックスになってその爪が黒板とすりガラスにかかりそうになった正にその時


♬ タフガール タフガール タフガール ♬♬


…なんとも場違いな音楽が鳴り出した。??音源は…Panzerトムの懐から鳴っているようだ。Panzerトムは懐に手を入れると、彼女そっくりにデフォルメされた可愛らしい目覚まし時計を取り出した。


『あ、時間だ』


Panzerトムはそう呟いて目覚ましを止めると、


『Panzerレオーン、Panzerシーン、時間だよ!』


二人に声をかける。


『『OK!隊長!!』』


そう揃って声を出すと、三人綺麗に整列した。深呼吸ひとつ。すると


『『夕や〜けこやけ〜の赤トンボ〜〜♬ おわれ〜て見たのぉは〜いつの日か〜〜♬』』


歌い出した。三人揃って。とても美しいハーモニー。さっきまで殺伐としていた空気が柔らかい空気に変わって行く…。


『あ、パンツァーマーストだ。こんな時間か、もう帰ろ』


そう言ってキョトンとした顔からスタスタと帰り出したのはLバッチーニ。


『帰ろ帰ろ』


Lカワチーもスタスタとそれについて行く。???。とてつも無い切り替えの早さだ。Lユッキーノもさっきまでの鬼の形相は何処へやら。一番後ろからチョコチョコついて行っている。……お尻にはプリンマゴッタの残骸(プリンマゴッタ食べて貰えなくてカワイソウ)が付いたままだ。可哀想。

 バーンチユナイテッド防衛隊の三人も歌いながらスタスタと帰りだした。…この曲には何らかの魔法がかかっているのか?

 マゴッタ達三人が呆然と見送っている。余りの展開の速さについて行けない。ほけっとした顔で六人を見送っているだけである。さすがのサーメNYANも頭の上に?マークが三つも飛んでいる。…が、Wooちゃんはぴょんぴょん飛び跳ねながら一生懸命手を振ってバイバイしている。つられてマゴッタとサーメNYANも手を振って皆を見送る。


そんな中、Kヨーンはこのチャンスを逃さなかった。


(…何だかわからないがあの歌には魔術がかかっているようだ。千載一遇のチャンスかもしれない)


まだ怯えているKカージとKホエーの手を目立たない様に引っ張りながら小声で


『今がチャンスだ、そーっと逃げるぞ』


そうKヨーンが声をかけると二人とも慌てて体を起こしてコソコソと逃げ出す。誰も気づかない。ラッキー♡……何のことはないみんな帰途についているだけだが、当人達は気づかない。


             *


 ハウスマゴッタからだいぶ離れたあたりでKヨーンがしみじみ言う。


『バッチーニ北部をだいぶ舐めてたっぺぇ。あんなにレベルがとっぺんねぇ高えところなんて…』


うんうん。二人はその意見に頷きながら


『ワシら甘く見てたっぺぇ。あ〜こえぇ。今回はぶっくらわされなかっただけでもよしとすっぺぇ』


Kカージも疲れた表情でため息をつく。うんうん、頷きながらKホエーも


『ワシ達にはまだ北上は早かったっぺよ、ばっちねったんだぁ。したっけこのままじゃああじょにもかじょにもならんしあんべわりぃからけえって練習すっぺょ、あーいぇ?』


うんうん。三人深く頷くと来た時の元気さはどこへやら、下を向いてトボトボと帰っていった。…果たしてキョーン団の逆襲はあるのか?そしてハウスマゴッタは元気を取り戻せるのか?


             *


読んでいただけたでしょうか?今回千葉を調べていたら今まで知らなかったことが山ほど出てきました。私自身は一度しか行ったことがないので、もう一度行きたいなぁ、などと思いながら今回の話を書き上げました。

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