ありがとうございました。
これがボク達の、「本当の自由を目指す、最後の戦いの物語」だった。
ボク達がその夢に辿り着いたのは、サナとソウタが十歳になった時だった。
「ノア君、サナとソウタをよろしくお願いします。みんなにもそう伝えてね」
ボクの旅の目的は果たしたけれど、ボクにとって旅はもう人生そのものみたいなものだし、テラの仕事の手伝いもしたいから、これまでと暮らしぶりはまだ変わらないだろう。その旅を、サナとソウタもしばらく共にすることになった。
姉さんも若い頃、仲間を探して世界中を旅して回ったんだし、自由を勝ち取ったら真っ先にそうするつもりなんだと思っていたんだけど……。
「私もなんだかんだで、実年齢で六十歳くらいじゃない? コウ君と一緒なら、ここでのんび~り過ごすのも悪くないかな~って思い始めたんだよね」
「コウ~……あの活発だった姉さんがこんなになっちゃうなんて、コウの悪影響が過ぎるんだけど」
「俺のせいなのか……?」
「冗談はさておき、姉さん。体だっていつまでも若いままじゃないんだから、元気に動けるうちに出来ることはやっておいた方がいいと思うよ?」
「ふふふ~、わかってるよー」
本音が半分、建前が半分ってところだと思う。いくら法律を変えて自由になったって、現女王である姉さんが国を空けて放蕩するっていう段階じゃ、まだないってことなんだろう。もう少し落ち着いて、クラシニアの体制を整えたら、姉さんだってコウを連れて小旅行でも楽しもうって気持ちはあるんじゃないかな。子供達が大きくなって、ここに戻ってきた頃くらいには。
サナとソウタは声を揃えて、両親に「いってきまーす」と伝えて、手を繋いで歩き出す。真ん中にいたソウタはボクの手を繋いで、三人並んで。
「外の世界ってどんななのか、楽しみだな」
「私はティサお姉さんと会ったことがないので、どんな人なのか楽しみです!」
「そうだね。きっと、楽しいことがいーっぱい、ふたりを待ってるよ」
あれから長い時が経ってるから、ボクとテラだけのふたり旅じゃなくて、一緒に行動する仲間もその時々で変遷してきた。今日からはサナとソウタもその一員になるんだ。
「自分の人生で絶対に叶えなきゃいけなかったいちばんの夢」を、これでボクはもう叶えたから。これからはただ、自分がしたいことだけを選んで、何でも自由に出来るんだ。行きたい場所に行って、会いたい人に会って、一緒にいたい人と一緒にいる。
それもこれも、ボクを生かして見守ってくれた、全ての人達のおかげ。かつて、影の世界と共に終わるつもりでいたボクに「それじゃいけない」って教えてくれたから。
外の世界にはこんなにも、光と夢に包まれた未来が待っているんだって。
一度諦めて膝を着けても、諦めずにもう一度歩きだしたら、いつか夢は叶うんだって。
ボク達の夢の旅はまだまだ続くけど、ひとつの区切りを伝えたい。書き残し、形にしたい。
ボク達の長い長い旅を見守ってくれた全ての人達へ。「ありがとうございました」って。




