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僕の道

作者: 仲乃 斉希

 この踊り場は僕の道


「こんにちは」と おぼつかない足取りで階段を上がる子の手を引いて


「さようなら」と 駆け足で階段を上がる子の背中を押す


 一段目が踏み出せない子にはありったけの応援を


 段板でぐうたら寝そべる子にはガツンと叱って


 行ったり来たりの迷子がいたら 落っこちないよう支えてやるんだ


 叱って 笑って 手を伸ばして 広い踊り場で駆けずり回って大忙し


 時には僕も 平らな板で躓くけど


「何やってんのさ」って あの子たちのあどけない笑い声が 下から上からどっと沸いてくるから


「何やってんだろ」って 釣られて笑って 痛みも噛み締めて立ち上がるのさ


 春に笑い 夏に汗かき 秋にはしゃぎ 冬に戦い


 踏み出せなかったあの子が


 ぐうたら寝そべっていたあの子が


 行ったり来たりの迷子だったあの子が


 最後の階段を上り詰めた春の訪れ


「さようなら ありがとう先生」


 もうあの子たちは この踊り場に戻らない


 もうあの子たちは この踊り場じゃ届かない


 遠ざかる背中に 視界がぽろぽろぼやけるけれど


 僕は追いかけない この踊り場が僕の道だから


「さようなら」のあとに 桜が咲き溢れ「こんにちは」が待ってるから


 僕は涙を拭う みっともないところは見せられないから


「ありがとう 頑張ったな」


 潤み声の祝福を 送り届けては踵を返す


 この踊り場は僕の道


 僕が生きる希望の道

お読みいただきありがとうございます。


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