表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/106

なんでいるの?

そして、送別会兼歓迎会の準備が整った。

ずらりと美味しそうなお料理が並んだテーブル。


味見でおなかは満たされているので、私としては甘いものが食べたいところ。

が、デザートは、エリカ様が指示をとばしていたので、今日も今日とて砂糖が少なめ……。


今日くらいは、がっつり入れて欲しかったです、エリカ様……。


ということで、そろそろ、参加者たちがやってくる時間になった。

といっても、護衛騎士と神官の人たちは、仕事の合間に順番に顔を出すと聞いているから、たいした人数にはならない。


ひとつ心配だったのは、ノーラン様が来ると言っていたこと。

来たら面倒なことになりそうだと思っていたら、なんと、運のいいことに、2日前から他国へ行っているらしい。

魔獣で困っているようで、緊急で助けを求める要請があったから。


近隣諸国の中でも、ぬきんでて魔力のあるノーラン様。

なので、そういうことはよくある。

困っている国には悪いけれど、今回ばかりは、いいタイミングで呼びつけてくれたと思う。


なんて考えていたら、今日の主役のひとり、アリシアさんが一番にやってきた。

手には大きな紙袋を持っている。


隣にはジャック。今日は、私はエリカ様のお屋敷にずっといるから護衛は必要ない。

ということで、アリシアさんの護衛として動いていたジャック。


というのも、アリシアさんは早朝から実家のある町に戻っていたから。

そして、ジャックも大きな紙袋を持っている。


「すごいお料理! 美味しそう!」

と、目を輝かすアリシアさんとジャック。


が、私としては、アリシアさんとジャックの持っている紙袋に目が釘付け。


だって、私の心が叫んでいる! 

きっと、素敵なものが入ってるって!


ということで、アリシアさんに近づき、紙袋をじっと見つめる。

私の視線に気づいたアリシアさんが笑い出した。


「さすが、ルシェルね。鋭いわ」


「食い意地がはってるだけじゃ……」

と、あきれたように言うのはジャック。


なんとでも言って。

目の前にお宝があるので、何を言われても問題なし!


アリシアさんが笑いながら紙袋から出してくれたのは、なんと、沢山の焼き菓子!


「うわああ!」


思わず叫び声をあげた私。


「婚約者のブルーノから預かってきました。皆さんで食べてくださいって」


そう言いながら、エリカ様に渡すアリシアさん。


「まあ、こんなに沢山! ありがとう! ブルーノ君、今日、来られたら良かったのにね」

と、エリカ様が残念そうに言った。


そう、アリシアさんの婚約者ブルーノさんはケーキ屋さん。


「今は忙しくて、お店が休めないみたいで。せっかく、お誘いいただいたのにすみませんって謝っていました」


「とんでもないわ。人気のお店だもの。それに、アリシアが手伝いだしたら、ますます繁盛するわね」

と、エリカ様が断言した。


「そうなったらいいんですが……」


アリシアさんが頬をそめ、恥ずかしそうに微笑んだ。


「甘いな……」

と、つぶやくジャック。


うん、確かにね。

なんだか、アリシアさんから流れる空気が一気に甘くなった気がするわ。


それにしても、なんて、優しい婚約者さんなのかしら。

おかげさまで、手薄だったデザートが一気に充実して、私は幸せ!


そうだ!

お礼の気持ちをこめて、アリシアさんとブルーノさんお二人におそろいのエプロンを買って、全力で癒しの力をこめてからプレゼントしよう。

少しでもお仕事の疲れが癒え、ますます美味しいお菓子を作りだしてくれるように。


そう、甘いものは人を幸せにするものね! 

我ながら良いことを思いついて、にやけてしまう。

フフフフフ……。


と、その時、屋敷の入り口からざわついた声が聞こえてきた。

あ、誰かきたわね。


そう思って、開け放たれた扉のほうを見ると、……え!?


なんで、いるの!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ