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嬉しいけれど……

その後、ルビーさんの私への態度は別人のように変わった。


顔を合わせれば、かわいらしい笑顔を見せてくれるし、強固な壁は消えてなくなった。

というか、なくなりすぎて、やたらと距離が近い気がする……。


しかも、私とルビーさんの一緒にいる時間は格段に長くなった。

というのも、アリシアさんは聖女を辞める日が間近に迫り、色々忙しくなったため、ルビーさんは私について仕事を覚えることになったから。


振りむけば、いつも、そこにいるルビーさん。

しかも、ものすごい至近距離だったりするから、驚く時もあるけれど、にこっと微笑まれると、かわいくて癒されるわ。


が、困りごともでてきた。


というのも、ルビーさんの護衛はノア。

ということで、私とルビーさん、ジャックとノアという風に、4人で常に動いている。


ルビーさんは私の後ろにひっつくように歩くし、ノアは何故か、ルビーさんと私の間に入ってこようとする。

そして、護衛の距離が遠すぎて、ロジャー様にこっぴどく叱られたからか、ジャックも負けじと接近してくる。


そう、やたらと密集した状態で固まって動いている私たち。

正直、変だし、なにより、あつくるしい!


「ちょっと、離れてよ!」


私は、ノアとジャックに注意した。


「無理だ。ロジャー様にできるだけ近くで護衛するよう注意された。他の聖女の護衛であるノアよりも、ルシェルから離れた位置にいるわけにはいかない」


真剣な顔で答えたジャック。

真面目だけれど極端なんだよね、ジャックは……。


一方、ノアはルビーさんを鋭い視線で見据えながら答えた。


「俺も無理だ。俺はその聖女様の護衛だろう? なら、ひっついてないとなあ」


「私の護衛というより、私とルシェルさんの間に割り込んでばかりいますよね? 邪魔なので、やめてもらえますか?」

と、同じく、鋭い視線でノアを見ながら言い返すルビーさん。


「はあ? 俺はルシェルがこーんな小さい頃から面倒をみてるんだ。割り込んできたのは、そっちだろうが!?」


ノア、あなたね……。


こーんな小さい時って言いながら、ひざぐらいのところを手で示したわよね?

いくらなんでも、私はそんなに小さくなかったんだけど……。


こんな感じで、ふたりはすぐに口げんかを始める。

まあ、でも、「喧嘩するほど仲がいい」っていう言葉が、エリカ様のいた世界にはあったというから、私には険悪に見えるけれど本当は仲がいいのかもね。


そういえば、ルビーさんはものすごく気が利く。


私が疲れたなあと思うと、すぐに椅子にすわらせてくれたり、のどが渇いたなあと思ったら、飲み物をもってきてくれたり、転びそうになったら、支えてくれたり……。


特に、朝が弱すぎる私のために、朝食時は、あれこれと細やかに面倒をみてくれる。


今朝も、私のパンにイチゴジャムをぬり、差し出すルビーさんをみて、エリカ様があきれた顔で言った。


「ルビーって、ルシェルの侍女になったの?」


「ええ、それもありかと。ルシェルさんのことはお任せください」

と、訳のわからないことを答えていたルビーさん。


私に心を許してくれたのはすごく嬉しい。

でも、ルビーさんには筆頭聖女と王太子様の婚約者の座をひきついでもらうのだから、私の侍女を目指すのはやめてほしい。



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