表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/106

招待されていません

私はロジャー様に群がっている銀色の動物たちにむかって、両手をむけた。

そして、魔獣にするように、手のひらから守護の力をだして、銀色の動物たちをくるんでいく。

そうすれば、魔獣だったら眠る。


ただ、ノーラン様の魔術で生まれた幻だから、どうなるかはわからない。


でも、やってみると、私の髪が入っているだけあって、銀色の動物たちが、私の守護の力に簡単にくるまれていった。


(眠りなさい)


心の中で訴えかけると、たちまち、動物たちが動かなくなった。


「ノーランの幻術にも効くなんて、ルシェルの守護の力はさすがに強いわね。じゃあ、後は私にまかせて!」

と、エリカ様が叫んだ。


エリカ様は、ものすごい勢いで、両手からきらきらとした浄化の力をだしはじめた。


なるほど……。

エリカ様は、ノーラン様への怒りをぶちまけてるのね……。


ということで、さようなら、銀色の動物たち。


もともと30分で消えるあなたたちだったけれど、偽エルフのせいで、消え去る時間が早まってしまったわね。


エリカ様の渾身の浄化で、銀色の動物たちは完全に消えてしまった。

人間以外で部屋に残ったものは、私のハンカチから偽エルフの使い魔に転身した蝶もどきだけ。


エリカ様はその蝶を鋭い視線で見て、悔しそうにつぶやいた。


「それも浄化してやろうと思ったのに……。実体があると、さすがにノーランの魔力が強すぎて、短時間では無理だったわ」


「えー、エリカさん、怖ーい! ぼくとルシェの子どものルーハーを殺そうとしたの!?」


また言ってる……。


「その変な例えはやめて、ノーラン!」

と、私は、きつい口調で抗議した。


が、何故か、華やかな笑みをみせた偽エルフ。


「フフ。ルシェに叱られるの好きー! ノーランって呼ばれるのも、嬉しい!」


そう言って、私の頭をなではじめた偽エルフ。


「こら! うちの娘にむやみに触るな。この変態が!」


ロジャー様がノーラン様の手を叩き落した。


「ああ、ロジャー君がたたいたー! いたいよー! 暴力、はんたーい!」


わめきだす偽エルフ。


あの……、さっき、銀色の動物たちを使って、散々ロジャー様を痛めつけていたのは誰でしたっけ……。


収集がつかなくなってきた時、神官見習いのアランがエリカ様を呼びにきた。

来客だそう。良かった……。


吉報をもたらしたアランが天使に見えた私。

あとで、大事に隠している激甘のお菓子をひとつわけてあげよう。


「私は負けていないわ。ノーランの優勝は認めない!」

と、エリカ様は捨て台詞を残して去って行った。


「俺の優勝は常にエリカだ!」

という、謎の発言を残して、ロジャー様もエリカ様に従って出て行った。


ふー、やっと静かになったわ……。

あとは、偽エルフに速やかにお帰りいただこう。


と思ったら、ノーラン様が、今度はルビーさんに近寄った。


「で、ビーさんは、その隠し事、どうするのー? まさか隠し続ける気?」

と、挑発するように聞く。


「ノーラン様。だから、誰にだって隠し事はありますから!」


「あのね、ルシェ。お菓子を隠してる、みたいな、どうでもいいことと、ビーさんの隠し事は全然違うからねー」


あ、やっぱり聞こえてたのね!

さすが、エルフもどき。耳もいいのね。

じゃなくて、私のとっておきの隠し事が、どうでもいいことですって!?


「数日、待ってください。自分の口から言います」


真剣な顔で宣言するルビーさん。


「いや、だから、隠し事なんて言わなくていいわよ、ルビーさん」


私はあわてて止めた。

が、私の言葉をまるっと無視して、ノーラン様とルビーさんのやりとりが続く。


「じゃあさ、ビーさんの歓迎会でどーんと発表したらー? うん、おもしろそう!」


「わかりました」


覚悟を決めた顔でうなずく、ルビーさん。


「ルビーさんの歓迎会は神殿関係者だけでするから、ノーラン様は招待されていません。というか、絶対にしません。関係ないですからね?」

と、釘をさしておく。


「え、ぼく、呼ばれてなくても行くよー」


「いや、やめて」

と、思わず本音がでた。


ノーラン様とエリカ様が一緒にいたら、また、面倒なことがおこりそうだもの。


「ルシェがひどーい。それに、アリシアさんとも、もう少しでお別れだから、行きたーい。そうだ、結婚祝いに、ぼくのとっておきの品物を持っていくから、行ってもいいよね? アリシアさん」


「うわあ、お祝いくださるんですか? 嬉しい! ノーラン様からのとっておきの品なんて何かしら!? 楽しみにしていますから、どうぞ来てください」


満面の笑みで喜ぶアリシアさん。


アリシアさん、簡単に品物につられたわね……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ