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しっくり?

見た目だけは美しい偽エルフと可憐な美少女ルビーさんとの間に、殺伐とした沈黙が流れる。


ほんの数秒なのに長い……。

そして、ルビーさんが動いた。


手に持った魔石を小刻みに動かし、そして言った。


「……場所によって重さは変わります」


「何種類の重さを感じる?」


「3種類です」


「ビーさんにとって、どの重さが一番、バーンとくる?」


バーンとくる……って、どういう意味?

 

と、思ったら、ルビーさんも同じように思ったみたいで、とまどったような顔をした。


ノーラン様が説明する。


「3種類のなかで、どの重さが、ビーさんにバーンと強く響くかってこと」


「ノーラン様、それ、どういう意味ですか? 重さは重さ。当然、重いほうが強く感じるんじゃないの?」


思わず口をはさんだ私。


すると、ノーラン様が私の頭をぐりぐりとなではじめた。


「筆頭聖女といっても、ルシェもまだまだ子どもだね。そんなありきたりのこと言っちゃうなんてね」


「ありきたりって……ちょっと、ノーラン、それ、どういう意味?」


むっとした私は偽エルフの手を払いのけて、つい、素で言い返した。


「重さと自分に響く強さは違うってこと。頭で考えるんじゃなくて、よーく感じてみないとダメ。 筆頭聖女なのにそんなことも感じられないなんて、しょうがないな。ルシェはぼくが特別に特訓してあげる。ぼく、ルシェをあずかる。ぼくの部屋、小さいルシェなら何人住んでも大丈夫なくらい広いし。感覚の特訓をしようよ。いいよね、エリカさん?」


はあ? 何言ってるの?

言い返そうとしたら、エリカ様がずいっとノーラン様に近づいた。


「ダメに決まってるでしょう、この変態! ……でも、今のノーランの言葉でわかったわ」


そう言うなり、エリカ様はルビーさんの前に立った。


「ルビー。3つの重さの中でどれが一番強く……というか、一番、しっくりくる?」


ルビーさんは迷うことなく、エリカ様に答えた。


「軽いところと重いところ。両方、同じくらいです」


「なるほどね……。ルビーが魔石にこめた二つの力を、ルビーは同じくらい持っているということね。じゃあ、確認のため、ミケラン。ちょっと、この魔石を持って」


いきなり、ミケランさんに声をかけたエリカ様。


ミケランさんは驚きつつも、言われたとおり魔石を手にもった。

そして、重さを確認する。


「いくつの種類の重さを感じる?」


「3種類です」


「どれが、しっくりくる?」


「重いところが、しっくりきます」


ミケランさんも迷うことなく即答した。


「わかったわ、ノーラン。この魔石に入っている、もうひとつの力は魔力。ルビーは聖女の力と同じくらいの魔力も持っているってことよね! ほら、正解でしょう? 謝りなさい、ノーラン!」

と息巻くエリカ様。


「そうだぞ、ノーラン! エリカを馬鹿にしたこと、伏して詫びろ!」


ロジャー様も息巻いている。


「うーん、でも、ぼくのヒントがあって、エリカさん、やーっとわかったんだもんね。ぼくなんか、最初にビーさんを匂っただけでわかったのに」


「私は、ノーランみたいに魔力おばけの魔王じゃなくて、人間なの。匂っただけでわかるわけないでしょう!?」


エリカ様が怒る。


「そうだぞ、ノーラン! エリカは人間の中の人間! 美しくて、愛らしくて、優しくて、かっこよくて、素晴らしい、最高の人間だ!」


意味不明なことを叫ぶロジャー様。


……が、ちょっと待って! 


そこの3人、そんなことで言い争っている場合じゃないわよね?


ルビーさんに魔力があるの!? 

そもそも、聖女の力と魔力をあわせ持つ人っているの!?


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