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77/106

いらない

「はーい、みんな、おつかれさまー! じゃあ、ひとつずつ、魔石の状態をチェックしていくね。まずは、一番に終わったエリカさん」


エリカ様の魔石は、きらきらと光輝いている。


ノーラン様が指をさしただけで、魔石がふわふわと浮いた。


「さっすが、エリカさん。上質の癒しの力が魔石いっぱいに入ってる。聖女の力でものすごく軽い。ちょっと、魔力で指示するだけで浮くし。うん、最高!」


「なら、やっぱり、エリカが優勝だな。ノーラン、ほら、早く優勝はエリカだと言え!」

と、ロジャー様がノーラン様にせまる。


「だから、まだ、全部見てないから、決められないもーん。あ、それに今、ロジャー君がぼくを急かしたから、また減点ね」


「はああ? なんだと!」


「キャー、怖い! ロジャー君に脅されたってことで、また減点! フフ」

と、楽しそうな偽エルフ。


怖がっている人が最後にフフって言うかしら?


「だまって、ロジャー。ノーランの思うつぼよ! それに、私は絶対的な自信があるから、何も言わなくても優勝は私のものよ! 落ち着いて待ちましょう、ロジャー」


ロジャー様に落ち着いてと言いながら、ぎらつきすぎて、目力がすごいことになっているエリカ様。

というか、なんで、こんなおかしな勝負の優勝にそこまでこだわるの? 


「さすが、エリカだ! なんてかっこいいんだ! これ以上、惚れたらどうしてくれるんだ、エリカ!」

と、身もだえるロジャー様。


ルビーさんとミケランさんがロジャー様から視線をそらす。

まあ、普通に怖いものね。直視するのが……。


ロジャー様はエリカ様が関わると、場所を選ばず、誰の前であっても、おかしくなるから。

おふたりとも、変なものを見せてごめんなさいね。


「次は、じゃあ、エリカさんの隣にいたアリシアさんの魔石を見るね」


ノーラン様はまた、指で指示をだしたが、魔石は浮かない。

聖女の力が込められていないから、軽くなってはいないみたい。

魔石の見かけも、普通の石のように灰色のままで変化はない。


「やっぱり、聖女の力がもうでなくて……」

と、少し寂しそうに言うアリシアさん。


「うん、でも、アリシアさんらしい、ほんわりあたたかい感じがする。だから、アリシアさんは、参加しましただけで、すごいで賞に決定! おめでとう、アリシアさん!」


それなら、普通に参加賞のほうが良くないかしら? 

と、思ったら、アリシアさんが嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとうございます、ノーラン様!」


無邪気に喜ぶアリシアさん。本当に、いい人よね……。

私なら、そんなのいらないって言うと思うわ。


「じゃあ、賞品は何にしようかな……。あっ、いいのがあった。これ、あげる!」


そう言って渡したのは花柄の箱……って、あっ、それ!!  


「ちょっと、それ、ミケランさんから私がもらったお菓子じゃないの!」


思わず、大声をだした私。


「うーん、でも、そこにあったし?」


「置いてたの!」


「そう? でもほら、さっきも言ったけど、これ、ぼくがルシェに買ったようなもんだから。だから、返してもらってもいいよね? ごめんね、ルシェ。今度、また、並んで買ってくるからね。もちろん、ミケランが」


そう言って、にこっと笑う偽エルフ。


つっこむところが多すぎて、思わず口ごもっていると、エリカ様がすごい勢いで近づいてきた。


あ、……まずいわ……。

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