表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/106

混乱

不定期な更新ですみません!

魔獣関連にまきこまれる身としては、この点は、うやむやにはできないわ!


魔獣に携わる者はみんなが知っている注意事項なのに、何故か、問題を起こす張本人がまるで気にしていない。

ということで、みんなの気持ちを背負って、改めて、張本人のノーラン様にびしっと忠告をしておく。


「ノーラン様は圧倒的な魔力を持っていますよね。そんなノーラン様を見ると、魔獣は無条件で服従します。そして、自分たちの主と決め、離れなくなります。私の守護でくるんで眠らせて、魔獣の森へ送り返したのに、まいもどってきて、結局、魔術院に住み着いてしまった魔獣が三匹。しかも、ノーラン様にしか従わない面倒な魔獣たちです。そんな魔獣がこれ以上増えるのは、魔術院の方々にとって大迷惑! よって、ノーラン様が魔獣に姿を見せるのは絶対に禁止です!」

と、息まく私。


それにたいして、ノーラン様は、気の抜けた声で返事をした。


「えー、そうかなー? ラーもリーもローも、いい子たちだよ! 三匹とも、だいたいぼくの部屋にいるし。いっつも、大人しくしてるよ? あんな子たちなら、何匹増えても、みんな困らないと思うけど? だーれも文句言わないし」


「言わないんじゃなくて、言えないんです! それに、大人しい? 魔獣たちは主と決めたノーラン様にしか従わないし、ノーラン様が留守の時は、傍若無人にふるまっているって聞いてますよ?!…っていうか、ラー、リー、ロー? ちなみに、それは、魔獣の名前なのですか…?」

大事なところよりも、そこに、ひっかかってしまった私。


すると、ノーラン様が嬉しそうに、うなずいた。


「うん、ぼく、ラ行が好きなの! だから、ラー、リー、ローって名前をつけたんだよ。ぴったりでしょ?!」


「…いえ、まったく。というか、ラ行でいくなら、ラー、リーときたら、ローではなくて、ルーなのでは?」


「あ、それはダメ! ルーはルシェのルーだもん! そこは魔獣には譲れない。だから、ラー、リー、ルシェ、ロー!」


ええと、なに、その並び…? 

私の名が、なぜ、魔獣の間にはさまれるの…?


他人から見たら、あの三匹は、凶悪な見た目の魔獣たちだけれど、ノーラン様にとってはペット。

つまり、ノーラン様にとって私は魔獣と同様のペットということなのね…?


はああー。ノーラン様の思考は、全くわからないわ…。

もう、この話題は変えようと思いつつ、怖いもの見たさのような好奇心が、ふつふつとわいてくる。


ということで、理解不能なことを聞くのは不毛だと思いつつも、更に質問を重ねてしまう私。


「じゃあ、ルーをとばすとしても、ローの前にレーがあるのでは?」


私の質問に、ノーラン様が美しい顔をゆがめた。


「あー、それダメ! 絶対ダメ! だって、レーは、あいつを思い出すから嫌! ぼく、ラ行の中で一番きらいなのがレだから!」


…ああ、なるほど。


あいつ、というのは、レオナルド王太子様のレということね…。

お互いの呼び方まで一緒だなんて、反発しあうのに、似ている二人よね。


と、そこで、「ひっ」とミケランさんが声をあげた。


「私の名は、ミケラン・レスター…。苗字が、ノーラン様のお嫌いなレから始まっている! どうしよう…。あ、でも、ミケランの中にはノーラン様のお好きなラが入っている。…つまり、プラスマイナスゼロってことになるのか…?」

泣きそうな顔でつぶやくミケランさん。


私の変な質問のせいで、ミケランさんが、混乱に陥ってしまっている!


私はあわてて、なだめた。

「大丈夫よ、ミケランさん! ノーラン様にとって、王太子様は特別なライバルだから、王太子様のお名前であるレを意識しているだけだと思うの。だから、他の人のお名前がレから始まっていようと気にもしないと思うわ。つまり、たとえ、ミケランさんが、レケランさんでも、ノーラン様からの好感度は変わらない! 気にしないで! ね?」


自分で言いながら、意味がわからない…。私は何を言っているのかしら…?


すると、ノーラン様がパチパチパチと手をうった。


「さすがー、ルシェー! ぼくより、ぼくのことをわかってるね! …確かに、ぼく、ルシェが、たとえレシェでも全然嫌じゃない! そのレは喜んで呼べると思う。でも、あいつがレオナルドじゃなくて、ラオノルドとか、ルオノルド…うん、どれになったとしても呼びたくない! そっか、ぼく、レの文字が嫌いってわけじゃなかったんだ。気づかなかったー! 教えてくれてありがと、ルシェ」

そう言って、花がほころぶように微笑んだノーラン様。


「はー、それは良かったですね…」

疲れのあまり棒読みで返事をした私。


やっぱり、変なことを聞くんじゃなかったわ。

何もすっきりしないし、疲れが増しただけだもの。 


読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねもありがとうございます!

大変、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ