表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/106

誰から

不定期な更新ですみません!

すっかり、その時のことを思いだした私は、顔色が悪くなったミケランさんに声をかけた。


「あれは、泣きまねをしたノーラン様が悪いんです! 純粋なミケランさんは、だまされただけです。何も悪くないです。気にしないで」


「えー、ぼくが悪いの?! あんなんで、だまされるほうがダメじゃない?」

なんて、ぶーぶー言うノーラン様をにらんでだまらせる。


ミケランさんが、私にむかって、おもいっきり頭をさげた。


「お優しいルシェル様に、ひどいことを言ってしまい、申し訳ありませんでした! これからは、ルシェル様の手足となれるようにがんばります!」


え…、手足? ミケランさん、それはいりませんが…? 


驚く私にかわって、ノーラン様がすぐさま返事をした。


「そんなもの、断固お断り! ルシェに変な手足はいらないの! ルシェに手足がいるなら、ぼくがつける!」


は? どんどん、話しの展開がおかしな方向に向かってるわよね? 

そして、私の手足は間に合ってます…。


ということで、私の手足から話題を変えるべく、ミケランさんが、私に差し出してくれた花柄の箱を手にとった。


「ええと、おわびを受け取る理由もないのだけれど…、では、遠慮なくいただきますね! ミケランさん、あけてもいいかしら?」


「はいっ、どうぞ!」

嬉しそうに答えたミケランさんの顔色が良くなってきたわ。ほっ…。


ということで、早速、花柄の箱のふたをあけた。

箱の中には、びっしりと並んだ焼き菓子。

しかも、全部、お花の形をしている!


「うわあ、すごいわ! かわいいっ! おいしそうっ!」

思わず、大きな声をあげてしまった私。


一気に心の疲れがふきとんだ。


「これ、本当にもらっていいの?! ミケランさんっ!」

あまりに嬉しくて、口調もくずれてしまうが、しょうがない。

こんなに素敵な沢山のお菓子を目の前にして、普通ではいれないものね!


「ええ、もちろんです! ノーラン様に、ルシェル様が菓子がお好きだとお聞きしたので、今、街で人気があるという店で買ってみました。そんなに喜んでいただけて、私も嬉しいです」


「え、わざわざ、私のために?! うれしいです! では、全部私が…ではなくて、みんなでいただきます! ありがとうございます! もう、最高の気分です!」


私は、お菓子の箱をしっかりとだきしめ、感謝の言葉をのべる。

すると、何故か、ノーラン様が私の顔をのぞきこんできて、満面の笑みで言った。


「どういたしまして!」


「…ん? いえ、私は、ミケランさんにお礼を言ってるんです。ノーラン様にじゃありませんよ?」

そこは、はっきりと否定しておく。


「でも、ぼくが、ルシェはお菓子が好きってミケランに教えたんだよ。もし、ルシェはリュリュが好きって言ったら、その箱いっぱいにリュリュが入ってたんだよ? だったら、どう?」


だったら、どうって…、そんなの入ってたら、確実に泣くわ…。


リュリュは、私が一番苦手な野菜。


かわいい響きの名前に、小さくてやわらかい葉っぱは、きれいな黄緑色をしている。

ソフトな印象の野菜なのに、その味は、パンチが効きすぎている。恐ろしく苦いのよね…。


それなのに、すごく栄養があるとかで、エリカ様が野菜ジュースに好んで使う。

協調性が全くなく、クセの強いリュリュが野菜ジュースに入ると、全てがリュリュ味になってしまうのよね…。

そう、私の天敵ともいえる野菜だ。


リュリュを箱いっぱい贈られるなんて、想像しただけで怖すぎる…。


「ぼくが、ミケランに、ルシェはお菓子が好きってきちんと伝えたから、ミケランは人気店で2時間並んで買ってきたの。だから、ルシェはリュリュじゃなくて、その美味しいお菓子を手にしてるの。だから、そのお菓子は、ぼくがプレゼントしたってことでいいよね?」


「いや、全然よくないわよ、ノーラン! これは、ミケランさんが買ってくれたんだもの! しかも、2時間も並んで?! なんてすばらしい方なのかしら! その努力をノーランが横取りしちゃダメ!」

昔の口調に戻って注意する私。


ありがたいお菓子をくれた方に、無礼は許しません!


きりりとにらむ私を見て、何故か、とろけるように微笑んできた偽エルフ。


「うわあ、また、ノーランって呼んでくれたー! うれしいな♪」


うれしいな、じゃないわ!!


いきどおる私に、ミケランさんが優しい声で言った。


「いえ、ノーラン様のおっしゃる通りです。ノーラン様に教えていただいたおかげで、お菓子を買うことができました。つまり、そのお菓子はノーラン様からです」


それは全然違うわ、ミケランさん…。

偽エルフにまるめこまれたらダメよ!



読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねもありがとうございます! 大変、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ