聞こえてなくて良かった
よろしくお願いします!
変なことを言う王太子様を見て、エリカ様が嫌そうに顔をしかめた。
「ほんと、レオ、やめなさい…。気持ち悪すぎて、怖いから…。…でも、今は、レオがヤンデレすぎるという心配よりも、私が殴りかかったのに、何故、その石が、守ろうとしなかったかよね? もしかして、力が消えたの?」
ヤンデレ…って、エリカ様、さっきも言ってたわよね…。
異世界の言葉で、また今度説明すると言われたけれど、文脈からいくと、王太子様がヤンデレ、それも「すぎる」と言っているから、過度なヤンデレというものに該当するわけよね…。
つまり、ヤンデレとは、きっと非常に怖いものね…。
結論として、私は、全然、意味を知りたくないわ。エリカ様の説明は遠慮しておきましょう!
…と、私の中で、「ヤンデレ」の結論がでたところで、王太子様が、エリカ様の問いに答えた。
「消えていませんよ。というか、そもそも、石が守るところを見せるとは、言っていませんからね。ぼくは、エリカさんが殴るくらいでは、この石は動かないということを見せたかっただけです。この石が守るのは、命にかかわるような攻撃があった時だけですから」
「はああ?! なら、最初からそう言えばいいわよね? その口で! まどろっこしいわよ、レオ!」
荒れるエリカ様。
「エリカさんは、口で言っても理解できない人でしょう? だから、見せられるものを見せながら、説明したほうが、わかりやすいと思っただけです。ぼくの親切心ですよ? さすがに、命にかかわる攻撃をして、石が守るところを見せることはできませんからね」
ちょっと、王太子様! 口で言っても理解できないなんて、また、さらっと暴言を吐いてますよ?!
ロジャー様に聞かれたら、どんな恐ろしいことになるか…。
それこそ、命にかかわる攻撃を王太子様に繰り出し、まさに、石が守るところを間近で見ることになるのかも…。
想像すると、とんでもない混乱しか見えない。
絶対に見たくない状況よね…。
ということで、私は、ロジャー様の今を確認するべく、エリカ様の隣に目をやった。
そこは、今、うす紫色の私の守護の力で覆われている。強めに守護の力をだしたので、ロジャー様の姿は影も形も見えない。もちろん、向こうからも同じ。
確認したら、ほっとしたわ。
きっと、今頃、ロジャー様は私たちが見えず、聞こえず、やきもき…というより、暴れているはず。
私の守護を壊そうと剣をふるっているロジャー様が見えるようね…。
エリカ様のように強烈な浄化は別だけれど、私が強くかけてしまった守護の力は簡単には消えない。
でも、ロジャー様のエリカ様への思いは尋常じゃないし、不可能を可能にしてしまうことは無いとは言えないわね…。
念のため、ロジャー様の守護を、さらに、補強しておこうかしら?
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