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その時、何が起こったか 2

不定期な更新ですみません!

「も…も…も、申し訳ありません…!」

怯えながらも、謝る言葉をしぼりだすミケランさん。


私はあわてて、倒れているミケランさんとノーラン様の間にすべりこんだ。


「ミケランさんは、ちっとも悪くないですよね!」

そう言って、ミケランさんをかばうように、ノーラン様と対峙した私。


「えー、ルシェに、あーんなひどいことを言ったのに?」

不満そうに言うノーラン様。


「それは、ノーラン様が泣きまねをしたせいです! それに、全然たいしたことは言われていません!」


「ありがとうございます! ルシェル聖女様…!」

と、背後から、ミケランさんの感動したような声が聞こえてきた。


「あー、やっぱり嫌だ! 今、ミケラン、ルシェのことを、素敵って思ったでしょ? かわいいって思ったでしょ?! 好き、好き、大好きって思ったでしょ?!」


ちょっと、なに、その変な三段階?! だれもそんなこと思ってないわ!

というか、ノーラン様、私をバカにしてるわね! よし、受けて立ちましょう!


憤る私は、両手をひろげ、ミケランさんを守りにはいった。

たとえノーラン様といえど、ここから先は簡単には通さないわ!


と、思った瞬間、えええ?! 


なんと、ノーラン様、私を指一本で押しのけ、ミケランさんの前に立った。


ごめんなさい。ミケランさん…。

魔王ノーラン様の前では、私は虫けらのようでした…。


ノーラン様の魔力にあてられて、震えるミケランさん。

その様子を見て、私は再び奮い立った!


「ちょっと、やめなさい! ノーラン様…いえ、ノーラン! 弱いものいじめは絶対ダメ!!」

思わず、幼少期の呼び方で叫んだ私。


そのとたん、ノーラン様が私に振り返り、花がほころぶように微笑んだ。


「うわあ! すごーく、ひっさびさに、ルシェにノーランって呼ばれた! うれしい! あ、ミケラン。ルシェに免じて許してあげる」

そう言うやいなや、すごい勢いで、私の髪の毛をわしゃわしゃとかき混ぜだした。


「こら、やめて! ノーラン、はなれてっ! 髪がぐしゃぐしゃになるでしょ!」

なりふり構わず、叫ぶ私。


そう、子どもの頃、ノーラン様は、会うたびに、私の髪の毛をかきまぜた。

おそらく、私をペットか何かと思っているのだと思う。


そして、それを見た王太子様が普段の丁寧な口調をかなぐり捨てて、「ルシェルにさわるな!」そう言いながら、ノーラン様に体当たりをする。


というのが、よくあるお茶会の光景だったわね…。


頭をわしゃわしゃされながら、遠い日を思い起こしていると、ミケランさんが固まっていた。


まあ、そうよね…。

魔術師の方にとっては、あこがれの天才魔術師長であるノーラン様が満面の笑みで、聖女の髪の毛をわしゃわしゃかきまぜているのだものね…。


一体、何を見せられてるのかって感じよね…。


こんな騒動があった後、やっと、私は魔石に守護の力をこめた。


「ルシェも補給できたし、今日は楽しかった! じゃあ、また遊びに来るねー」

そう言って、ノーラン様は、上機嫌で帰っていったっけ。


残されたのは、髪がぼさつき、疲れはてた私と、これから、国境まで結界の魔石を運んでいくミケランさん。


「あの、ミケランさん。次回からは、ノーラン様が来ないように魔術院のほうで、別の予定をいれてもらえませんか? 是非、ノーラン様なしでお願いします」

私が頼むと、ミケランさんは、すごい勢いで首を横にふった。


「とんでもない、無理です! ノーラン様は、まず、神殿にくる予定を決めてから、他の予定をいれてますから。それに、あのノーラン様をおさえられるのは、ルシェル聖女様だけだと、今日、身をもって知りました! どうぞ、魔術師たちの平穏のためにも、今後ともよろしくお願いいたします!」

逆に頼み込まれた私。



と、まあ、私がノーラン様に、「魔術師の方だけでいいですよ」と言ったばっかりに、こんなことが起きた。

もちろん、その後も、魔石に守護の力をこめる時は、必ずノーラン様がやってくる。魔石を運ぶミケランさんをひきつれて。


そして、それが明日なのよね…。

読んでくださった方、ありがとうございます!

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