心配ありまくり
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「あの…ノーラン様は、もちろんお仕事で来られます。遊びじゃないです!」
恐ろしい王太子様に恐れをなした私が、あわてて説明する。
「当然です、ルシェル。万が一にも、遊びにくる、なんて言おうものなら、魔術師長は即刻クビですよ」
と、にっこり微笑む王太子様。
もう、その目。怖すぎます…。
「あのね、ノーランをクビって…。さすがのレオでも、できるわけがないでしょう? ノーランを魔術院から放出して、自由にさせたら、ただの恐ろしい魔王が誕生するだけだから」
と、あきれたように言うエリカ様。
恐ろしい魔王が誕生ね…。まさにそうだわ。
エリカ様の言う通り、それ以外の未来が浮かなばいわよね…。
王太子様のまとう空気が一層冷たくなった。
「そうなったら、ぼくが全力で封じ込めますから、ご心配なく」
封じ込めって…。ノーラン様、幼馴染にすごい言われようですよ…?
「あのね、そんなことをしたら、魔王対魔王の戦争になるでしょ? 心配ありまくりだわね…」
と、エリカ様がため息をついた。
確かに、その未来は怖すぎる…。
ノーラン様の魔力が膨大すぎることは言うまでもないけれど、王太子様も底知れぬものを感じるもの。
直接対決は、破滅しかみえない…。
なんて考えていると、王太子様が、私に視線をむけた。
「それで? どれほど重要な仕事で、魔術師長自ら、わざわざ、ここへ来るのですか? それも、ルシェルに会いに?」
ひんやりとした口調で問うてくる王太子様。
怖くなった私は、一気にまくしたてた。
「結界の魔石に私が守護の力をこめるためです!」
そう、私の守護の力は膨大で、魔石に込めても、十分威力を発揮する。
そのため、定期的に魔石に守護の力を込めて、国境など、守らないといけないところに置いているのよね。
で、その魔石の管理は魔術院がしているの。
なので、必要な時には、魔術師の方が私のところまで持ってきてくれるのだ。
すると、ぶわっと王太子様から何かが噴出しはじめた。
重苦しい感じの気だ。
「ちょっと、レオ?! 悪い気を出しすぎよ! 息苦しいじゃない! すぐに浄化しないと!」
そう言って、手のひらを王太子様にむけたエリカ様。
すぐさま、きらきらとした光が舞い、あっという間に、王太子様を中心に、この場が浄化された。
「さすが、エリカだな。すばらしい浄化だ! 清々しくて、まるで、天国にいるようだ!」
ロジャー様が感動したように、声をあげた。
「なら、本物の天国に送ってさしあげましょうか?」
と、つぶやいたのは、王太子様。
ひいいっ! 黒さが増してる発言ですが?! すごいご機嫌が悪いですよね…。
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