すっきり
不定期な更新ですみません!
でも、何故かしら?
優雅で美しい王太子様なのに、そんな物騒な魔力があると聞くと、…うん、納得だわ。
欠けていたものが見つかったような、すっきりした感じよね…。
「全くそうは見えませんが、さすがは大聖女様というところですか…。ずっと隠していましたが、ぼくには魔力があります。エリカさんの見立てどおり、攻撃するのも、破壊するのも得意ですね。まあ、正確に言えば、物を操る力があるので、物を使って攻撃したり、物を破壊するという意味ですが」
王太子様は若干悔しそうな顔をして、エリカ様に説明した。
「やっぱりね…。聖女の力は、基本、どれも『守る力』よ。でも、レオからは私たち聖女とは真逆の力を感じるのよね」
と、エリカ様が、納得したように言った。
「つまり、物を破壊する力でもって、その恐れ多い秘宝である石を割ったということですか…?」
恐れおののきながら聞いた私に、王太子様が甘ったるく、微笑みかけてきた。
「いえ、ルシェル。違いますよ。この石が割れたのは愛の力です。ルシェルへの思いが強かったから、割れたのです。例えていうなら、破壊の魔力が1、石が割れることに作用したとすると、ルシェルへの愛は100、作用しています。つまり、愛だけの力であっても、石は割れたということです」
…ええと、王太子様?!
例えが変すぎて、意味がわからないのですが…。
そして、王太子様は数字で例えるのがお好きですよね…。
甘い笑みをうかべたまま、私の返答を待っている王太子様。
困ったわ…。一体どう答えていいのやら…。
とりあえず、あいまいに、「はあ…」と答えてみる。
そこで、エリカ様がブルブルっと震えた。
「レオが変なことを言うから、また、鳥肌がたったじゃない?! しかも、その数字は何?! 意味がわからないわよ。 それに、レオが言うように、もし数字で言うなら、この石が割れたのは、どう考えても、破壊の力が100でしょ? それこそ、愛の力は関係ないわね」
「数字に弱すぎて、計算ができず、いつも適当にごまかすエリカさんには、ぼくの表現は理解できないと思いますよ」
と、またまた挑戦的に答える王太子様。
ほんとに、もう、どれだけ反抗期なのかしら…?
また、ロジャー様がうるさくなりそうね、と思った瞬間、ロジャー様が叫んだ。
「おい、レオ! おまえ、本当に魔力があるのかっ?!」
…あれ、そこ?
魔力があるかどうかって…、そのくだり、とっくに通り過ぎてますよね?
なんだか、ロジャー様だけ、若干、時差があるような…。
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