正直に言えない!
よろしくお願いします。
「まあ、でも、割れない石がレオに割れたとしても、全く不思議じゃないわね」
と、エリカ様。
「なぜ、そう思うんだ? エリカ」
ロジャー様が不思議そうに聞いた。
「レオって、私と接する時、きれいな王子様の仮面がはがれて、素の黒々した感じになるでしょ?」
エリカ様?! なんて言い方! その通りかと思いますが、その言い方!
恐る恐る王太子様の顔を見る。
すると、王太子様は、まさに、仮面がはがれた状態で、エリカ様を見返していた。
「ほら、今みたいに黒々とした素のレオになると、なにか力がもれだしてくるのを感じるのよね。ロジャーは、感じない?」
ロジャー様は、王太子様をじっと見るが、すぐさま首を横にふった。
「いや、まったく感じない。エリカに対してふてぶてしい顔をして、むかつく奴だな。甥だが、つぶすか? と思うだけだな」
いつなんどきでも、エリカ様一番のロジャー様らしい意見よね…。
「ロジャーに聞いたのは間違ってたわね。じゃあ、ルシェル。あなたなら、感じるんじゃない? 仮面を外した今がチャンスだから、ほら、よく見て!」
と、エリカ様が私をせっつく。
エリカ様…。
なぜ、私に聞くの?! やめて!
だって、正直に言えますか?!
王子様らしく笑ってても、目から本心がもれてて怖いです、とか。
なにかしら、圧みたいなものを感じて怖いです、とか。
これが、エリカ様の言う力なのですか、とか。
なーんて王太子様ご自身の前で聞けますか?!
内心荒ぶる私だけれど、エリカ様の「早く見なさい」という圧に負けて、王太子様の顔を見た。
そのとたん、きれいに微笑んだ王太子様
顔の変化がすごい…。でも、やっぱり、目は変わってないのよね…。うん、怖い。
「あー、そうやって王子の仮面をかぶったとたん、力も隠されるのよねー。で、どう思った、ルシェル?」
と、エリカ様が聞いてきた。
「え? あ、うーん、そうですね…。ええと、今も隠しきれない怖さ…じゃなくて、隠しきれない威厳みたいなものを感じて、圧倒されるというか…、どんどん離れたくなるというか…」
「ルシェル。今、離れたくなるって言いましたか? まさか、ぼくから?」
王太子様が美しく微笑みながら聞いてきた。
私は急いで首を横にふった。
だって、うなずいたとたん命がない感じよね?!
その時、エリカ様が叫んだ。
「今よ今! ほら、レオから、なんかもれてるでしょ?! 王子っぽく微笑んでても、すごく、もれてるわよね?!」
「エリカさん、言葉に品がないですよ。大聖女様とは思えませんね? …それより、エリカさんは、一体ぼくから、どのような力を感じてるのですか?」
王太子様は鋭い視線で、エリカ様を見た。
「そうね…。私が感じるのは、聖女の力とはまるで違う力。そう、魔力の一種みたいな力かなって思うんだけど? しかも相当に強い魔力。私の推理では、攻撃したり、破壊する力みたいな感じかしら?」
エリカ様が探るように、王太子様を見る。
エリカ様の漆黒の瞳が、好奇心でぎらぎらしはじめた。
そして、ロジャー様が、そんなエリカ様をうっとりと、愛おしそうに見ている。
よくある場面ね…。
なんて、のんきに考えてる場合じゃないわ!
エリカ様、王太子様に魔力があるって言った…?!
しかも、攻撃や破壊?! そんな物騒な魔力って、あるの?!
更新が遅くなり、すみません!
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!
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