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巻き込まないで!

よろしくお願いします!

王太子様が、あきれたような視線をエリカ様にむけた。


「エリカさんは、ほんとに、想像をこえて暴走しますね。そんな物騒な方法をとらなくても、言いますよ。エリカさんのお察しのとおり、これはエメラルドではありません。先月、エメラルドからすりかえました」


「え、すりかえた?! いつの間に? 私、毎日、この指輪をしてますけど?」

私は驚いて声をあげた。


王太子様は、何故か、抱えている私の腕をするするとなでながら、答えた。

「先月、ルシェルの16歳のお誕生日があったでしょう? その時、王宮へ来てもらいましたよね」


誕生日? ええ、確かに。あの日、王妃様がお茶会に招いてくださった。


ちなみに王太子様に似たすごい美貌の王妃様。でも、王太子様と印象は全然違う。

大きな違いは、王太子様は目が笑ってなくて怖い時が多いけれど、王妃様は、いつお会いしても慈愛に満ちた目をされている。


王太子様が冬なら、王妃様は春。

王太子様が氷なら、王妃様はひだまり。

王太子様が危険エリアなら、王妃様は憩いの場所。


私の独断と偏見では、このような解釈なのよね。


ちなみに、王妃様は、6歳で神殿に入った私を、ずっと、娘のように可愛がってくださっている。

しかも、王宮でお茶会に呼んでくださる時は、お菓子が好きな私のためにと、珍しいお菓子を用意してくださっている、なんともお優しい方。


なので、私は王妃様のお茶会にお招きいただいた時は、できるだけ空腹でいくようにしている。

しかも、ここ大事なのだけれど、王妃様は、お茶会で私が全力でお菓子を食べていることを、エリカ様に秘密にしてくださっているのよね! なんて、すばらしいお方!


と、そこで、ふと私は思い出した。


「…あ、そういえば! 先日のお茶会の間、指輪のサイズ直ししてくださるということで、2時間ほど外したわ! まさか、あの時にすりかえたのですか…?!」


「そう、あの時に、すり替えました。気づかなかったでしょう?」

私にむかって、甘く微笑む王太子様。そのとたん、エリカ様が鼻で笑った。


「レオ。ひとつ、忠告してあげる。そんなに、私に対する態度と、ルシェルに対する態度をかえてたら、ルシェルに嫌われるわよ? 腹黒が漏れまくりだから」


…え、私? ちょっと、ちょっと、エリカ様?! 私を巻き込まないで!


ほら、王太子様が氷点下の目をなさってます…。そして、その目が私のほうをじっと見ている…。


「ねえ、ルシェル。もしかして、ぼくのこと嫌いですか?」

少し寂し気に小首をかしげる王太子様。


中性的な美貌に憂いが含まれ、この世のものとは思えない美しさ。

だけど、同時に、得体のしれない恐ろしさも感じるわ…。


小心者の私は、とりあえず、全力で否定する。


「…いえ、嫌いなんて思ってないです! ないです! 絶対にないですっ!」


そう、怖いだけで、嫌いではない。嘘ではないわよね…?


「良かった。大切な婚約者に嫌われたら、どうしようかと思いました。例えば、好きになってくれるまで、ぼくしか頼れないようにして、囲い込むとか…。フフ」

と、美しく微笑む王太子様。


…ん? なにかしら?

今、とっても怖いことが聞こえたような気がしたのですが…?


読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます! 大変、励みになります!

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