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そうなんですか

よろしくお願いします!

「では、防音もばっちりなんで、聞かせてもらうわよ。レオ?」

エリカ様が、王太子様に詰め寄った。


見た目は美しい二人なのに、間に流れる空気は一発即発。

火気厳禁という感じよね…。


「筆頭聖女のルシェルには、王室の影がついてるっていうのは、もちろん、知ってますよね?」

と、王太子様がエリカ様に寒々しい目を向けた。


「え、影?! 今もついてるんですか?」

と、思わず口をはさんだのは私。


王太子様と婚約する時、エリカ様に説明されたのよね。


神殿にきてすぐに筆頭聖女になった私。しかも、その時、まだ6歳。

他国が欲しがる守護と癒しの力が膨大な子ども。神殿だけの守りでは不安ということで、王室の保護を得るために、形式的に王族との婚約が必要だってね。


そして、婚約したと同時に王族の影がついたって聞いたけれど、その後、一度も影の方を見たことがないので、すっかりその存在を忘れていたわ!


「もちろんですよ、ルシェル。大切なぼくの婚約者ですから」

そう言って、王太子様が甘く微笑んできた。


エリカ様に向けての顔とは違いすぎて、その変わりようが、ただただ怖い…。


「まあ、その影をつけてもらうためだけの、王族との婚約だものね。…でも、まさか、レオ。その王室の影だけで、専属護衛騎士を遠ざけても大丈夫だなんて思ってるんじゃないでしょうね?」

エリカ様の声がどんどんすごみを増していく。


そして、そんなエリカ様をうっとり見つめるロジャー様。


4人のせまい空間が混沌としてきたわ。


王太子様がすごむエリカ様にひるむことなく、冷静すぎる声で答えた。

「もちろんですよ、エリカさん。他に、ぼく専用の影の中でも、手練れだけを集めルシェル専用班をつくって、守らせています。ルシェルの行動は、一挙一動、報告させていますよ」


「え?! 私専用の班?!」

驚く私に、王太子様がにっこりと微笑む。


「全員女性ですので、安心してくださいね。ルシェル」


「ああ、女性なんですね。良かった…。じゃなくて! 一挙一動、報告って? 一体、どこまで見られてるんですか…?」


すると、王太子様は美しい美貌で小首をかしげて言った。

「ルシェル。お気になさらず」


…ん? いやいや、お気になさります! 気になりすぎます!


私、筆頭聖女として、見られてまずいことしたかしら?

うん、残念だけど、した方に軍配があがるわ…。


焦りまくる私の頭に浮かんだのは…。


「ノアからもらってお菓子を食べてたこととか…?」


あ、いけない! 思わず、声にでてたわよね?


王太子様の美しい瞳が光った。


「ルシェル。他の男からもらった菓子を食べてはだめですよ。結婚して、一緒に住むようになれば、私がとろけるような菓子を沢山用意して、ルシェルに手ずから食べさせますからね」

そう言って、美しくも妖しい笑みを浮かべる王太子様。


手ずから…? もしや、ペット扱い?


とろけるようなお菓子は気になるけれど、やはり、お菓子は好きなものを好きに食べてみたい。

そのためには、筆頭聖女も婚約もしっかり引き継がないとね!


読んでくださった方、ありがとうございます!

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