対面
よろしくお願いします!
王太子様の前に立ったアリシアさんとルビーさん。
至近距離で初めてお会いするルビーさんにワクワクがとまらない私。
ルビーさんは、すでに聖女の服に着替えているのだけれど、なんて似合ってるの!
ちなみに、聖女の服は、まっしろで丈が足首まであり、なんの装飾もないシンプルすぎるドレス。
なかなかに着る人を選ぶドレスともいえる。
悲しいことに、背が低い私は相当丈をあげてもらっているので、似合っているかというと微妙だ…。
なのに、ルビーさんは、初日ですっきりと着こなしている!
ふたつ年下とは思えない大人っぽさだわ。
しかも、真っ赤な瞳が映えて、なんてきれいなの!
聖女の服って、こんなに素敵だったっけ?
思わず見とれていると、アリシアさんが王太子様に頭を下げ、少し後ろにいるルビーさんも同じように頭を下げた。
「二人とも楽にしてください」
王太子様は麗しい笑みを浮かべた。
二人が顔をあげる。
ついに、王太子様とルビーさんのご対面! ドキドキ!
と思ったら、王太子様は、まず、アリシアさんに話しかけた。
「聖女アリシア、長い間、おつとめご苦労様でした。それと、ご結婚されるそうですね。本当におめでとうございます」
「ありがとうございます。王太子様」
アリシアさんが頬を染め、嬉しそうに答えた。
「幼馴染の婚約者と結婚されるとか。お幸せそうで、うらやましいですね。ぼくも婚約者と一日も早く結婚したいものです」
王太子様はそう言うと、私に向かって微笑んだ。
わかりました!
できるだけ早く本物の婚約者さんに引き継げるように、私、全力で動きますから!
お任せを!
という気持ちをこめて、王太子様にむかって力強くうなずく。
すると、王太子様は驚いたように目を見開いたとたん、妖しいほど美しく、甘い笑みを私に投げかけてきた。
えっ、ちょっと、王太子様?
そのような笑顔は、こちらでなく、あちらに送っていただければ…。
本物の婚約者さんになるのはあちらですよ。
そう思いつつ視線をルビーさんへ動かすと…、えっ?!
今、一瞬、私のことを鋭い目で見ていたような…。
と思ったら、にっこり微笑まれた。
うん、見間違いね。
だって、きらきらと赤く輝く瞳は、お名前のルビーのように、美しいものね!
きっと、眼光鋭いノアの目が残像として残ってたんだわ。
ノアを見た。ほら! 今も、ものすごい目で、王太子様を見ている。
後でガツンと注意しとかなきゃ!
それにしても、ノア…。一体何をしているの?
見る度に、位置が変わっている。
ここへ入って来た時は、ルビーさんの後ろに立っていたのに、いつの間にか、ルビーさんを追い越し、私の方に近づいてきているじゃない?!
しかも、私の護衛騎士のジャックは、王太子様の変な指示をきっちり守っているので、妙に私から離れたところに立っている。つまり、ノアは、ジャックよりも、私に近い位置にいる。
二人とも護衛騎士として、護衛対象との距離がおかしくないかしら?
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!