表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/106

無理もない

よろしくお願いします!

その時、神殿の扉が開いて、神官見習いのアランが入って来た。

私の方を見ている。用があるみたい。


私よりも先に、王太子様がアランに声をかけた。


「ルシェルに用があるのでしょう? どうぞ」

優雅に微笑む。


すると、アランは一瞬固まって、真っ赤になった。


ああ、そうよね…。


アランは、まだ、ここへ来て数か月。

今は、神官になるための勉強とともに、神殿全体の雑用をしている。


なので、王太子様に会う機会はなかったと思う。

耐性がないと、この美しさは驚くよね…。


しかも、私の霧をまとって、パワーアップしているものね…。

美の神が降臨したみたいな感じで、王太子様のまわりだけ異空間だし。


固まったままのアランのところへいき、パチンと目の前で軽く手をたたいた。

はっとしたように、意識を戻したアラン。


「あ、も、…申し訳ありません! 筆頭聖女ルシェル様…」

あせりまくっているアラン。


「大丈夫だから、落ち着いて。無理もないわ…。それより、何の用かしら?」


「あっ、はい。新しい聖女様が来られて、今、聖女アリシア様が神殿内をご案内されています。もし、お祈りが終わっておられたら、次はここを案内されたいそうなのですが、いかがでしょうか?」


「いいですよ、どうぞ。私も新人聖女に挨拶しておきたいので、こちらで待っています」

私より先に答えた王太子様。


そして、アランに美しい笑みを投げかける。

あの…、アランにとどめを刺そうとするのはやめていただけますか?


思ったとおり、アランが石のように固まった。

面倒なので、両肩をもって、雑にゆさぶってみる。


あ、動き出した。


「ひゃ、…はいっ! 承りました! 今、すぐに、呼んでまいりますっ!」

アランが頭を下げて、猛スピードで去っていった。


アランの後ろ姿を見送り、振り返ると、目の前に麗しいお顔が…!

王太子様が、私に至近距離まで近づき、妖しい笑みを浮かべて私をじっと見ている。


顔は笑っているけれど、目の奥に不機嫌なものが宿っている。


「…えっと、どうされました…?!」


「ルシェル。先程、あの男の両肩を触りましたね?」


「へ? あの男…?」


この方、一体、何を言っているの…? 

記憶を巻き戻してみる。


ああ、あの男って、アランのこと? 

触った? まあ、触ったけれど。正気に戻すため、適当に両肩をつかんだっていうか…。


「ええと、それが何か…?」


「ルシェル。非常時でもないのに異性に触れないでください」


「異性? アランが? …っていうか、アランはまだ14歳で、子どもですが…」


「14歳といっても、年はルシェルとはふたつしか違いませんから。要注意です」


「…要注意?」


「ルシェル。わかりましたか?」

王太子様が更に顔をちかづけ、その凶暴な美貌で圧をかけてくる。


全然、わかりません。

なんて、言える勇気は私には全くない…。


「…わかりました。もう、異性を触りません!」

思わず、大きな声で宣言して、はっとした。


この発言、おかしくないかしら?

あわててあたりを見回す。


視線のあわないアルバートさんは、無の表情のまま。


そして、王太子様に言われた距離をきっちり保ち、離れたところから、私を見ている護衛騎士のジャック。

目があった。なんとも言えない残念そうな目で私を見ている。


あ、つまり、アランうんぬんのくだりは全く聞こえてなくて、今の私の言葉だけがジャックに聞こえたってこと?!

なんか、私、痴女みたいではない?!


読みづらいところも多々あると思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ