Take.2 シンデレラとお姉様
「実香乃さん!!そこはもっと感情を込めて!!」
あれから、一週間。私は、『シンデレラ』の劇をやることになった。もちろん、私がシンデレラ役。でも、やっぱり、演劇のレッスンって厳しいんだなぁ…。でも、長谷部さんに推薦されたからにはがんばらなきゃ!!
「『ああ…私も、お姉様たちと一緒に舞踏会へ行きたいのに…』」
一つ一つのセリフや動きを、頑張って覚えていく。
「ええ!!実香乃さん、今の感じよ!!今みたいに、感情をコントロールできたら、最高の舞台になるわ!!」
演劇部部長の、野崎さんは、厳しいことでも有名だけど、ただ厳しいだけじゃなくって、上手くできた時はちゃんとほめてくれる。だから、私もやる気が出るんだ。
「『どうして…、どうして私は、舞踏会へ行けないの…?』」
どうしよう!!泣けない!!
「ストップ!!実香乃さん!!」
野崎さん!?
「今のところ、予定では泣くことになっていたけれど、泣かなくてもいいかも知れないわ!!」
えっ!?何で!?
「部長さん!!何でですか?!!」
「だって、あなたのその、『泣きそうだけど泣けない顔』に感動したんだもの!!普通に泣くより、その顔のままで泣かない方が、きっと上手くいくわ!!」
そして、次の日。
「そういえば、他のキャストのみんなを紹介してなかったわね。魔法使い役の、月嶋さん。姉役の北神さんに、加瀬さん。あとは…」
「王子役の、王ノ宮ルイです。」
キャアー…♡王ノ宮くんって言えば、演劇部でも、有名な部員さん!!しかもモテるってうわさの…!!
でも、見てみれば確かに、カッコイイかも…