第32話 ロゼッタ前線基地破壊作戦①
さて、出撃した私とアルム小隊のみんなは、予定通りに途中で進行方向を右へと曲がり、基地との距離を保たせたまま進んでいる。
「アパ子、前線基地との距離は?」
『150キロを維持してます。 ジョージさんが仕掛けてからこちらもという事でしょうか?』
「アルム大尉」
『ああ、ジョージ中尉の部隊が戦闘を開始してから数分後にこちらも仕掛ける予定だ』
『魔法少女部隊も反対側でスタンバってます』
ここまでは、敵の襲撃もなく予定通りに進む事が出来た。
魔法少女部隊の一人が【ディープミスト】という魔法で基地周辺を目掛けて放った霧のおかげか、目視でなければ気付かないようだ。
私のいた世界と同じ魔法名だが、こちらはMGTの【マギレーダー】と言われる魔力や生命力を探知する特殊レーダーを阻害する効果もあるらしく、ロゼッタ魔法国が帝国に仕掛けた際にはこれを有効に使っていたらしい。
こういう形で同じ名前の魔法を活用出来るのは、ある意味凄いと思う。
『こちら【ブリューナク】。 基地の目前に到着。 無人機が先に現れたようだ。 これより交戦に入る』
そう考えていたら、ジョージ中尉から報告が入る。
先に無人機が現れ、仕掛けてきたようだ。
ジョージ中尉の部隊が交戦に入ったらしく、私は隊長のアルムの指示を待つ。
『よし、俺が先にデバイスで炙り出す。 それからこっちに来た敵機を仕留めてくれ』
「了解」
『了解しました』
『わかったぜ!』
先にアルムがマギ・デバイスを使って遠隔攻撃で敵をこちらに誘き出すようだ。
それに引っかかって出てきてくれた敵機を私達が殲滅するという至ってシンプルなやり方だ。
それを早速アルムがデバイスで基地付近を攻撃する。
やはり見ているとかなり正確に狙った部分を攻撃できる辺り、かなりの集中力を持ってるとみていいだろう。
『マスター、アルムさんの攻撃で有人機3機と無人機15機ほどこっちに来ましたよ』
「そうみたいね。 じゃあ、始めますか!」
『腕が鳴るぜ!』
『いきます!!』
『幸い、装甲重視型のMGTはこっちには来てませんね。 多分ジョージさんの部隊の方に向かっているかと』
「よーし、やってみせるわよ!」
幸いにも装甲重視型のMGTはこっちには来ていないようだ。
ならますますやりやすくなる。
私は最初に向かってきた有人機の一機をライフルで牽制する。
紙一重で躱すが、私はすぐにアイスニードルバルカンを撃つ。
『ぐわっ!!』
ライフルの攻撃は躱せたが、その直後のバルカンは避けられなかったようで、相手の装甲はかなり凹んだようだ。
『やるな……! ならば……!!』
「二刀流!?」
これは流石に予測してなかった。
確か近接重視のMGTだったが、まさかサーベルを二つ手に持って斬りかかって来るなんて思わなかった。
「させないッ!!」
『うおっ!!』
即座にバルカンを撃ちつつ、足元を狙ってライフルを撃つ。
『捕まえた!!』
『ぬわっ!?』
足元を狙われた所をカロン軍曹が、相手を捕まえる。
捕まえたはいいけど、カロン軍曹の機体の手に持ってるのって……巨大なペンチ?
『は、離せぇぇ!』
『悪いな、このまま眠っとけ!』
『ぐわあぁぁぁぁッ!!』
カロン軍曹のセリフの後にベンチが光って掴んだ帝国のMGTが爆破された。
あのペンチ、火属性の力を込めてるのかな?
「奇妙な武装を持ってますね。 助かりましたけど」
『いや、俺もあいつが二刀流で攻撃しようとしたのを見たので、大尉がルキアさんを助太刀に行けと言われて』
「なるほど……。 大尉は?」
『ミュリア達と無人機を相手にしているはずだ。 有人機の一機も大尉が倒したみたいだし』
どうやらアルムやカロン軍曹も私が対峙した相手が二刀流で攻めてくるのを見て驚いていたようで、念を入れてカロン軍曹に助太刀に行けと言われたようだ。
それでも感謝はしきれない。
助かったのは事実だし、一人のままでは二刀流の攻撃にさらされそうになったからね。
「なら、それを手伝いに……」
『きゃあぁぁぁっ!!』
「え……!?」
あと一機の有人機と残りの無人機を倒そうとして合流しようとした矢先、フェリア軍曹の悲鳴が聞こえた。
『フェリア軍曹!!』
『う、ぐぅ……』
「あれは……!?」
『ちっ、サンダーランチャー持ちか!』
『フフフ……』
無人機を相手にしていたであろうフェリア軍曹は、どうやら一機の有人機が持つサンダーランチャーでやられたそうだ。
フェリア軍曹の機体が倒れており、電撃のダメージがあるのか、なかなか起き上がれないようだ。
『気を付けろ、あれを受けたら電撃がコクピットにも伝達し、運がよくてもフェリアみたいに痛みでしばらく動けなくなる』
「最悪の場合は?」
『……死に至る』
アルムはサンダーランチャーの恐ろしさを端的に述べた。
フェリア軍曹みたいに運がよくても電撃がコクピットにも伝達し痛みでしばらくは動けない上、運が悪いと確実に死ぬという。
「それでもやるしかないわね。 アパ子」
『ええ、アレはアパタイトで相手した方がいいでしょう。 こっちには耐電バリアがありますし』
『そうか。 無人機はカロンと俺でやっておく。 頼めるか、ルキア』
「ええ、やってみせるわ」
『ミュリアはフェリアを頼む』
『はい』
危険なサンダーキャノンを持つ有人機を私が乗るアパタイトが相手をすることにした。
アルムとカロン軍曹は無人機を、ミュリア軍曹はフェリア軍曹を手当する。
『誰が来ても無駄な事だ。 このシャックス用の武器、サンダーキャノンの餌食にしてやる』
「無駄かどうかは……、やってみないと分からないわよ」
余裕の口調で話すシャックスと名乗った帝国のMGTに乗る兵士に対してそう切り返した私は、サーベルを手にシャックスと対峙した。
さて、どう攻めて行こうかしら……。
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