第26話 戦艦防衛戦~帝国軍戦②~
襲撃してきた30機の帝国軍MGTのうち、5機の装甲重視型のMGTをジョージ中尉の部隊に任せて私やアルムとミュリア軍曹、魔法少女部隊のマイア王女とアンナさんとで、残りのMGTを対処する。
すり抜けた一部のMGTも戦艦を防衛しているカロン軍曹やフェリア軍曹、他の魔法少女部隊の人達によって駆逐されていた。
だが、相手の数を減らしているうちに私はある違和感を感じた。
(何、これ……。 人の声が聞こえないばかりか、人の気配がない……!? 魔力は感じるのに……!)
そう。
25機のうちの数機を私が駆逐していたのだが、魔力反応はあるのに人の声が聞こえないばかりか、人の気配がない。
それに魔力を帯びたオリハルコンサーベルでコクピットを狙っても、刺したという感触が違う。
まるで石みたいな固さを感じた。
ただ、刺した際に何らかの形で魔力を失い機体が動かなくはなったが、それでも違和感が拭えなかった。
『ルキア、こいつら何かおかしいぞ』
「ええ、私も違和感を感じてます。 コクピットを狙って刺した際に何か石のような固さを感じましたし、それに……」
『魔力があるのに、人の気配が全くしないんですよね。 さらには動きが直線的で決められた形でしか動いていない感じ。 でも、合流前の足止めは効果がありましたし……おかしいですよぉ』
アルムもマイア王女も違和感を感じだしたようだ。
私が感じた違和感の他に、動きが直線的で決められた形での行動しかしていないらしい。
あの時の足止めとかは効いているし、ヘイトをこっちに向けてはいたようだが……。
『とにかく全部駆逐しつつ、一機は回収して調べてみよう。 どうも嫌な予感がする』
『分かりましたぁ!』
「了解!」
今は考えている暇はない。
ひとまず全てのMGTを駆逐してから、一機を回収して調べる事になった。
「アパ子、あれは分かる?」
『いえ、魔力があるのに人の気配がないのはありえない話です。 でも、アルムさんやマスターがそう感じたのなら、私の知らない何かが帝国にあるのかも知れません』
「そっか……、おっと!」
アパ子にも感じた違和感について聞いてみたが、その手の話はありえないと言っていたが、あの帝国の事だから、何かの仕込みがあるのかも知れないとの事。
ひとまず襲ってくるMGTをライフルやサーベルを駆使して、時にはバルカンで駆逐していく。
『こちらジョージ。 装甲重視型のMGTは全て駆逐した』
「早っ!?」
『早いな、お前の所で開発した武器のおかげか?』
『ああ、このマギ・スパイクのおかげでな。 そっちはどうだ?』
『一応、順調ではあるが……違和感があってな。 そっちで対処したMGTは人が乗ってたか?』
アルムがマギ・デバイスで操作して敵を駆逐しながら、ジョージ中尉との通信を行っている。
それにしても、ジョージ中尉の部隊にはまた新しい武器が使われていたのか。
【マギ・スパイク】……。
それのおかげで装甲重視型のMGTを対処できたというのは流石と言うべきか?
『装甲重視型のMGTには人が乗っていたが、どうしたんだ?』
『俺達が対処しているMGTには、魔力があるのに人の気配がないんだよ』
『何だと? 何かの間違いではないのか?』
「いえ、攻撃した時の悲鳴も聞こえないですし、コクピットを刺した時に硬い石が当たったような感覚があったのです」
『硬い石……? 俺達もそっちに行こう』
ジョージ中尉がそう言って通信を切った。
私の話で、何かを感じたのだろうか?
残り2機に差し掛かったあたりでジョージ中尉の部隊が合流。
マギ・スパイクを駆使して、残り2機を対処した。
『確かに、人の肉の感触ではなく、石が当たる感触があったな。 まさかとは思うが……』
『ひとまず艦長や司令官に報告して、回収して調べよう』
「そうですね……」
『連絡は俺がしておく。 ルキアとマイア王女はそこのMGTを運んでくれ』
『分かりました』
『戦艦に乗り込んだらそのまま出航になる。 点呼はするが、みんな乗り遅れるなよ』
『了解!!』
『ルキアさん、運びましょう』
「ええ」
違和感の解決は、ひとまずこの機体を戦艦に運んでからだ。
帝国が何を仕込んだか……、それはこの後の調査で明らかになる事を祈りたい。
そう考えながら、私はマイア王女と調査対象のMGTを抱えてデッキから戦艦に乗り込むのだった。
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