第22話 予期せぬ事態と襲撃
「こちらルキア。 アパタイトの調子は良好です」
『こちらアルム、了解した。 オブスキュリテも問題はない。フェリア、ミュリア、カロンはどうだ?』
一夜明けて、今日は魔導戦艦【フィールラスクス】の出航日。
私やアルムの機体のチェックは完了し、調子は良好。
といっても、私が乗るアパタイトはアパ子がチェックしてくれてたみたいだけど。
後はフェリア軍曹達の機体だ。
『こちらフェリア。 レッドシューターは異常無しです』
『カロン、ヴィルドフルークは大丈夫だ』
『私のブームゲッターも大丈夫なんですか……』
「ミュリア軍曹?」
フェリア軍曹やカロン軍曹、ミュリア軍曹の機体は大丈夫なんだが、ミュリア軍曹が気になるリアクションをしてきたのだ。
何があったんだろうか?
『今さっき、私の機体にあるサブのマナフォンからリュート小隊の機体が何故か動作不良を起こしているとリュートさんから報告が来ました』
「え!?」
『リュート小隊の機体が!?』
『ミュリア経由で来たという事は通信もか。 ミュリア用に用意した特注のマナフォンを使わないとリュート小隊と連絡が取れない訳か』
「アルム大尉?」
どうも共に行く予定のリュート小隊の機体が動作不良を起こしたらしく、私やアルムが持ってるマナフォンでの通信すら出来ないらしい。
ただ、ミュリア軍曹の持ってるサブのマナフォンからは通信ができるらしいが、どういう事なのか?
『ミュリアは体質的に本来持ち得ないマナを持ってるんだ。 俺やルキア等が使うマナフォンは、光属性のマナを使って通信をしているんだが、リュート小隊の通信不可能は、何らかの闇の力作られた粒子でその光属性を遮断した為に起こったものだ。 これはレーダーにも言えるが』
「特殊なマナ……」
『なお、ミュリアの体質は軍の皆は知っている内容だ』
(あ、別の世界から来た私が知らないだけという……)
ミュリア軍曹が自身の体内に特殊なマナを抱えていたのか。
他の世界から来た私は知らなかったが、元々は彼女の体質は軍は知っているわけか。
『ミュリア用のマナフォンは今回みたいなのが発生した時の為に作られた特注品で、いわばミュリアは二つマナフォンを持っている』
「二つ……じゃあミュリア軍曹は、特注品のマナフォンを介して、闇の力を無理やりこじ開けているような感じ?」
『ああ。 ミュリアのマナは、闇のマナの力で作られた特殊な通信網遮断の粒子を無効化する。 だが、今のミュリアは特注品のマナフォンを介してでないと発揮されず、通信相手も一人に限られる』
そういう事か。
ミュリア軍曹が念のためにサブとして使っている特注のマナフォンでリュート小隊にもコンタクトを取っていたと。
そしたら機体の動作がおかしくなったという報告がミュリア軍曹に来たわけか。
だが、ここで一つ疑問が生じた。
「なら、何でリュート小隊のみがそうなったんです?」
『そこだよな。 邪魔するなら俺達の小隊にも仕掛けて来るはずだが……』
そう、何故リュート小隊だけが狙われたのか?
アルムも疑問に思っていたようで、色々考えていたが、ある答えに行き着いた。
『まさか、大臣の野郎! 予め……』
「あ、アラームの音が!」
アルムが一つの可能性を口に仕掛けた時にアラームが鳴った。
『緊急事態発生、緊急事態発生! 格納庫C練に置かれていたリュート小隊の機体が指名手配のアーリントン・カバルとその支持者の家臣達によって盗まれた模様。 そのまま、出航前の戦艦に向かっている! 至急大臣達を仕留めるべし!』
「な……!?」
『ちぃっ! 奴ら予め場所を調べていやがった……!』
『そんな、どうやって……!?』
『疑問は後回しだ! とにかく奴らを止める!!』
『は、はいっ!!』
(アルム……)
国賊の大臣、アーリントン・カバルとその支持者の者が関わっていたと確定された瞬間からアルムの様子がおかしい。
やや激昂気味にみんなに指示を与えているようだ。
「アルム、聞こえる?」
『ルキア?』
マナフォンをプライベートモードに切り替えて、アルムに呼びかける。
ここで私が、アルムを諫めておかないと、彼が私の二の舞になりそうだから。
「気持ちは分かるけど、一人で抱え込まないでよ? 許せない気持ちは私も一緒なんだから」
『そうだったな、済まない。 ルキアも奴らに身売りのターゲットにされてたんだったな』
「そういう事。 後、昨日アルムが言ってた他国から一緒に行動する部隊の一つ、【魔法少女部隊】がもうここの近辺にいるみたい」
『ザックの彼女であるマイア王女が隊長の部隊か。 もう来てるのか。 なら、安心だな。 俺も小隊長としてしっかりしないとな』
「その意気よ。 じゃあ、出撃しましょうか」
ようやくアルムが隊長らしい凛々しい雰囲気を取り戻した所で、私も出撃しましょうか。
私達と駆けつけた【魔法少女部隊】のみんなで大臣をまずとっちめないとね。
『ルキア』
「ん?」
『ありがとうな。 君のおかげで冷静さを取り戻せたよ』
「どういたしまして。 アパ子、出撃するわよ!」
『ラジャーです、マスター! アパタイト、出撃します!』
『アルム・クレスト、オブスキュリテ、出るぞ!』
私とアルムがやや遅れて出撃し、大臣が向かうであろう出航直前の戦艦の元へ私達も向かって行く。
さぁ、大臣たち、覚悟しなさいよ?
よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。
作者のモチベーションの維持に繋がります。