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魔導戦記マギ・トルーパー  作者: イズミント
第1部 邂逅編
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第19話 魔導戦艦

「あんな美味しい料理があるなんて知らなかったわ」


「俺のおすすめだからな。 被害がなく無事に営業出来て良かったよ」


 私はアルムと共に彼のおすすめの食堂での食事を終えた所だった。

 アルムが案内された場所は、幸い王城に近い場所だったようで、帝国軍の襲撃の被害を免れたらしい。

 代わりに王都の入り口付近は、被害が大きかったらしく、ローテーションで復興にあたっている。

 今日と明日はアルム小隊は休みだが、明後日からは何事もなければ復興任務にあたることになる。


 ただ、それよりも私には一つ大きな問題に差し掛かった。


(それにしても、こうして異性と一緒に歩くのって、前の世界では未経験なのよね……)


 そうなのだ。

 私は、前の世界では一度も異性と町を巡ったことがない。

 さらに、先程の帝国の蛮行を目の当たりにした影響で泣いていた私を受け止めてくれた事で、アルムを意識し始めてしまったのだ。

 前の世界では全くなかったこの感情が何なのかは分からない。


(でもせっかくのプライベートの時間だし、アルムとの時間は楽しまないとね)


 とにかく今は二人の時間を楽しむことに集中しようとした時だった。


「あら?」


「どうした、ルキア?」


「あれは、何かしら? 飛空艇?」


 食堂を出て少し散策した所に見晴らしのいい広場に出たが、そこからより遠く見える物体を発見した。

 武装した飛空艇……だろうか?

 というよりはどうみてもしっかりとした形に形成された鉄の塊っぽいけど。

 それが気になったのでアルムに聞いてみたのだ。


「ああ、あれは【魔導戦艦】だな。 あれはその一番艦だな」


「戦艦? 魔導?」


 アルムからはあれが戦艦だと教えられた。

 あれは【魔導戦艦】の一番艦だというのも。

 少し混乱しかけた私をよそに、アルムは話を続ける。


「そうだ。 今までは各エリアに向かっては各国の基地に戻ってくるなどのサイクルでやっていたが、如何せん効率が悪くてな。 帝国軍の増備や魔王軍の襲来を少しでも防ぐために連合軍に属する各国が協力して建造したのが【魔導戦艦】だ」


「ということはこれも魔力で?」


「その通り。 だが、MGTと違って予め魔力の高い人物たちが【マナタンク】に注ぎ込むんだ。 タンク一つで1ヶ月持つからな。 ちなみにあれは4つ搭載してるから最大で4ヶ月もつらしい」


 なるほどねぇ。

 確かに出撃しては基地に戻るなんて事は相手の戦力とかを考えたらかなり効率が悪いだろう。

 それをなるべくいい方向に解決するために建造されていたのだろう。

 しかし、戦艦かぁ……。

 私の世界じゃ武装した飛空艇がそれの役割を担っていたが、この世界ではMGTという機体も運ぶので必然的に規模も大きくなるのだろう。

 だが、これなら出撃の度にわざわざ基地に戻るのを繰り返さなくて済むかもしれない。

 そして、燃料もMGTと同様に魔力で動くらしい。


 私みたいに魔力が高い者が数人がかりで【マナタンク】という専用のモノで魔力を貯め込み、それをエンジンとして稼働するというらしい。

 いやぁ、この世界の魔法技術、すごすぎでしょう……。

 

「あれが一番艦なら、二番艦も?」


「そうさ、別の国が二番艦を建造している。 あっちはここと違ってまともな名前らしいからな」


「えっと、あそこの戦艦の名前って?」


「上層部が【フィールラスクス】って名前にしたんだ。 司令官も頭を抱えてたよ。 意味もない適当な名前だったしな」


「ああ、なるほど……」


 適当な言葉を繋ぎ合わたものを戦艦の名前にしたのか。

 そりゃあアルムも司令官も頭を抱えるわけだ。

 名前に多少の意味を持たせた方がかっこいいしね。

 

「司令官は仕方がないので、この名前で他国にも伝えたんだ。 まぁ、理解はしてくれたよ」


「それが不幸中の幸いね」


「ああ。 出航は復興が終わり次第行うようだ。 ほぼ完成しているからな」


「じゃあ、次に帝国や国賊の大臣たちが動くのはその時かしら?」


「だろうな。 特に大臣たちはアレが動くのは都合が悪いからな」


 もうすぐ出航できる程にまで完成されているあの魔導戦艦だが、出航する際に懸念されるのが帝国軍と国賊の大臣たちだ。

 特に国賊の大臣たちは、国王様の使い魔によって証拠が掴まれているので断罪の確率はかなり高い。

 さらに奴らは帝国軍以上に、魔導戦艦が動くようになるのは都合が悪いのだ。

 なので、帝国軍だけでなくその大臣たちにも警戒をしないといけないのだ。


「その為、ローテに入っている各部隊は戦艦付近も防衛しているな。 大臣対策に内部に入らないようにセキュリティも強化するらしいぞ。 結界とかも使って」


「結界……大丈夫かしら?」


「連合軍に加入している国の中で魔法が強い【ロゼッタ魔法国】から派遣してくれた兵士たちが結界を張っているから大丈夫だと思うぜ」


「それならいいけど……」


 連合軍に加入している国家の中で魔法の強い国家も存在しているのは初耳だし、そこの出身の兵士さんが結界を張ってくれているのは分かるが、如何せん嫌な予感が過ってくる。

 あの大臣の事だから何かをやらかすのかもしれないからね。

 復興まで何事もなければいいんだけどね……。


「さて、そろそろ他のエリアの散策に行こうか。 まだ案内していない場所とかあるしな」


「あ、そうだった。 改めてエスコートよろしくね」


「もちろんさ。 じゃあ行こうか、ルキア」


 戦艦に釘付けになった事でまだ、散策途中だったのをすっかり忘れていた。

 気を取り直して、改めてアルムの案内の元で王都の町を散策することにした。

 不安はあるけど、今日と明日は休みだし楽しまないとね。


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