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魔導戦記マギ・トルーパー  作者: イズミント
第1部 邂逅編
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第12話 模擬戦(中編)

「カロン軍曹からシミュレーターで教えて貰っただろうし、ひとまずやってみてはどうだ?」


「えぇ……!? アルム大尉相手じゃ勝てやしませんよ……。 教えて貰ったばかりの私に」


「教えて貰ったものを模擬戦という形だが実際にやってみるのも大事だよ」


 未だに困惑する私にアルムはそう言った。

 いや、確かに実際に教えて貰ったものをやってみるのも大事だけど、相手が悪すぎる!

 せめて、最初はフェリア軍曹にして!


「まぁ、いいじゃないですか。 アルム大尉の戦いぶりを直に体験できるんですから。 模擬戦ですし、勝ちにこだわる必要もないですよ」


『そうですよ。 頑張りましょう、マスター』


「あんたら鬼かーっ!!」


 フェリア軍曹に無理やりシミュレーターに座らされる。

 アパ子も笑顔で応援に回りやがった!


(うぅ、勝ちにこだわる必要はないとはいえ、これは辛い……でも……)


 こうなったらやるしかない!

 何としても瞬殺される事だけは避けたい。

 私はそう思いながら、手すりにある両側のオーブに手を添える。

 コンソールのモニターにアルムが使用している機体が写し出される。

 白基調の人型フォルム、腰の部分にライフルを装備し、手にはオリハルコンのサーベルが握られていた。

 後、後ろに背負っているモノは一体?


「大尉、背中のそれは一体何ですか?」


『ミュリア軍曹の時には使わなかったが、これは遠隔操作で攻撃や牽制をする事が出来る魔導兵器の【マギ・デバイス】だ』


 シミュレーターのマイクを使ってアルムに聞いてみた所、背中のそれは【マギ・デバイス】という遠隔魔導兵器らしい。

 という事は、私の戦い方次第で使われる可能性があるわけか……。

 

「それでは、模擬戦始めます! スタート!」


『いくぞっ!!』


「速いっ!? くっ!」


 開始早々、アルムが距離を詰めてくる。

 咄嗟の反応で私は辛うじて横に回避。


「足さえ止めれば……!!」


 使い方を教えてもらった【ファイアバレットライフル】でアルムの足を狙う。

 正確には足元と腰の部分などを数発撃つ。


『ちっ、回避と同時に足を止めようってか。 カロンが飲み込みが早いって言うのは頷ける!』


 アルムの咄嗟の判断力はさっきのミュリア軍曹との戦いで理解している。

 なので出来るだけ掠めるようなギリギリのラインを撃ち続ける。


(魔力があるおかげでシミュレーターではある意味無限には撃てるのが強みか。 実戦じゃライフル自体が持つかどうかだけど)


 これはシミュレーターによる模擬戦なので、ライフルも魔力があれば無限に撃てる。

 しかし、実戦だと強度次第ではあまり撃てないかもしれないので、そろそろ片手にサーベルを持つ。


『距離を詰める気か! させない!!』


「うっ、牽制も的確……! まだデバイスを使われていないのが救いか!」


 私の意図を読まれたのか、アルムは的確に足元を数発撃つ。

 ここで私は一瞬足を止められる。

 だが、それでも私は接近を試みた。


「まだ、いける……!!」


『何っ!? 撃ちながら接近だと!!』


「えっ!? 俺はそこまで教えてないぞ!?」


「多分、本能でそうしているんじゃ……?」


「本能で!?」


 そう、私がライフルを撃ちながら接近を試みるやり方は、カロン軍曹からも教えてはもらっていない。

 まだ、アパタイトに乗ってから1日しか経っていないからだ。

 フェリア軍曹からの声も聞こえるのだが、本能で動いているのは否定できない。

 前の世界でもレイピアを持って無詠唱で魔法を連射しながら近づいて仕留めた事が何度もあったので、そのイメージを意識したのかもしれない。


「そこぉっ!」


『くっ、なんのっ!!』


 アルムに接近した私はまずはサーベルを振り下ろす。

 だが、そこは流石にアルムだ。

 すぐに反応してサーベルで受け止めた。


「ぐっ!」


 アルムの振るうサーベルの一撃の重さが私を襲う。

 シミュレーターとはいえ、この重さによる衝撃は反映されるわけか。

 だが、私はすぐにライフルの銃口をコクピット付近に突きつける。


『何っ!?』


「ファイアッ!!」


 そこでカロン軍曹に教えてもらった【ファイアバレットライフル】のもう一つの使い方を実行した。

 ゼロ距離気味だったが、密かにチャージしてがら空きのコクピット部分に狙い撃ったのだ。


『危ないッ!!』


「デバイスをシールド代わりに!?」


 そこでアルムは何とマギ・デバイスをシールド代わりにして咄嗟に防いだのだ。


(くっ! 一旦間を取らないと!)


『うおっ!? サーベルを投げつけた!? やるなルキア!』


 至近距離のチャージショットが防がれたので、一旦間を取らざるうえなくなった私はなるべく隙を作らないようにサーベルを投げでデバイスなどの攻撃の動作を一瞬だけでも止めてから後退する。

 念のため、ライフルで足元などを撃つ。


『少し本気を出さないといけないか。 デバイスッ!!』


(来た……っ!!)


 私の戦いを評価したのかは分からないが、アルムはついにデバイスを射出。

 そのデバイスは私に向かって不規則に動きながら襲い掛かってきた。

 どうやってデバイスを凌ぐか……私はそれを考えないといけなくなったのだ。


 シミュレーターで模擬戦をしてまだ15分。

 なのに、私は全身に汗を搔いていたのだ。


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