表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導戦記マギ・トルーパー  作者: イズミント
第1部 邂逅編
12/35

第11話 模擬戦(前編)

 私が医務室で休んでいる間に、軍の方では話が進んでいたようで、どうやら私はアルムが隊長をしている小隊にそのまま組み込まれる事になったようだ。

 私としては自ら選択した道なので、異論はない。

 やっていけるかは不安ではあるが。


 ただ、アルムが言うには私の保護も兼ねているとのこと。

 メイドさんから聞いた大臣達による私の帝国への身売り未遂が原因のようだ。

 この世界に飛ばされた私を帝国に身売りさせてまで、大臣達は国を売りたいらしい。

 される側としてはたまったもんじゃない。


 ともかく、私は軍の保護を受けたまま、アルムの小隊に所属。

 他のメンバーにも自己紹介をして、仲を深める事が出来た事は良かったと思う。

 で、回復した翌日……。


「甘いっ!」


「うぇっ!? ギリギリの所で避けた!?」


「そこだっ!!」


「あーっ!! またやられた……」


 模擬戦に使われるシミュレーターと呼ばれる大きめの魔道具を使って現在、ミュリア軍曹とアルムの模擬戦が終わった所。

 結果として、アルム大尉が勝った。

 私?

 今は休憩中で、二人の模擬戦の様子を見ていた。

 二人の戦いは『マギスクリーン』という魔法の力で映し出される映像で見ていたのだ。

 というか、魔法ってこの世界じゃこんな使い方が当たり前になるのかなぁ……。


 ちなみに二人ともすごい戦いだが、特にアルムの戦い方が突出している感じがする。

 ミュリア軍曹も射撃で牽制しつつ、距離を詰めたんだけど、アルムが紙一重の回避で戸惑ってしまった所をアルムのカウンターでやられた形だ。


「ホントにアルム大尉ってすごいですよね」


「ははは、流石は俺達の隊長と言った所だよな」


 私の隣にいるカロン・グレイセス軍曹も私と同様の感想を抱いている。

 今までは、彼とシミュレーターを使ってMGTの動かし方と戦い方を改めて教えてもらっていたのだ。

 アルムの報告によれば、アパタイトにアルム達が使っている武装を後付けで搭載させるらしい。

 なお、それに関しては今、私の周りを飛んでいるアパ子も了承済みとのこと。


「なぁ、ルキアさん。 ふと思ったんだけど何で『アパ子』と名付けたんだ?」


「アパタイトの子機だから」


「短絡的すぎるっ!?」


『ですよねー? もう少しまともな名前にしてほしかったですよ』


 カロン軍曹は驚きつつも呆れており、アパ子も名付け方に不満たらたらだった。

 だまらっしゃい!

 アパタイトのコクピットに置かれてた子機なんだから『アパ子』で十分!


「それにしても、相変わらずミュリアは射撃が苦手なのねぇ」


「え? ミュリア軍曹って射撃が苦手なんですか?」


 そんな中、フェリア軍曹がさっきのミュリア軍曹の戦いぶりをみてそう言ったので、私は耳を傾けた。

 上手く牽制しているように思えたんだけど……。


「あの子は元から射撃の成績が悪いんですよ。さっきの牽制も足元から数ミリずれてたみたいだし、しかも一発撃っただけだったし」


 数ミリの誤差すら許されない世界!?

 それに一発だけじゃダメ!?

 あ、いや、相手がアルムならそうかも知れない。


「特にアルム大尉のような多数の戦い方が出来る人相手では、一発だけで終わらずに何発も散らして撃つなどして動きを止めるとかしないと、すぐに持っていかれますから。 あの子の機体が装甲重視型だから尚更」


「え? ミュリア軍曹の機体って、装甲が厚いんですか?」


「そうさ。 フェリアみたいな運動性でかき回すような事が苦手だからな。 厚い装甲で盾として奮闘する役目なんだよ」


(つまり私がいた世界では『タンカー』のような役目って事ね)


 ミュリア軍曹が射撃が苦手な分、装甲を活かした盾役で頑張ってるわけか。

 あれ? じゃあカロン軍曹はどんなタイプの機体に?


「かといって、カロンみたいな高機動で間を詰めてすぐに近接技をぶち込むというような事も出来ないから、こうしてシミュレーターで練習しているみたいです」


「ああ、装甲が厚いけど火力も弱いと……」


「今後の事を考えたら装甲を活かせない奴が相手として出てくるだろうし、武器の換装だけじゃなく戦い方も変えていく事も必要だな」


 確かに。

 初戦のような帝国軍のMGTの性能ならまだしも、その部隊の隊長や指揮官がいたりすると物量や戦術で襲ってくるだろうし、臨機応変にやっていく必要があるわけだ。

 そうなるとアパタイトはどのタイプになるんだろう?


「ルキアのアパタイトはバランス型らしいからな。 それこそ臨機応変にやっていけるんじゃないか?」


「……勝手に人の心読まないでくれます?」


「悪い悪い、小声だが聞こえてしまったんでな」


 うえぇぇ!?

 あの小声を聞き取れただってぇぇぇ!?

 ううっ、恥ずかしくて死んでしまいそう……。


「ミュリアはここいらで休憩させるから、丁度いい。 ルキア、やってみるか?」


「……え?」


 まさかの模擬戦の相手として私が指名されたのだった。

 というか、いきなりアルムと模擬戦とか、勝てる自信がないんですが、それは……。


よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。


作者のモチベーションの維持に繋がります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ