第18話 恋バナ大好き隊長軍団
モウモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ!!!!!!
ここは食堂。大は今、おいしいおいしいご飯を食べている。わざといつもより大きな咀嚼音を立てながら。それはなぜか??それは・・・・。
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ!!!!!!
周りのニヤニヤした視線を気にしないようにするためであった。そんなニヤニヤした視線を送っているのは、何と隊長たち全員だったのである。
「なぁ・・・・・・・・、いい加減、ニヤニヤしながら俺を見るのをやめてくれねぇか!!!!隊長さんたちよぉ!!!!」
そう言って、周りの隊長たちを一通り見回す大。その大の視線から、隊長たちは素晴らしい動体視力で視線をそらす。そして・・・・。
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ!!!!!!
かぁぁぁぁ、拉致あかねぇ!!!!ここは小学校かよ!!!!
隊長たちがニヤニヤしている理由・・・・、それはもちろん、大とダーヨのやり取りを一部始終見ていたからである。
隊長たちはみんな、最初に大がダーヨのところに行った時はどうなることかとヒヤヒヤしていた。しかし、あんなことになったわけである。あんなの見せつけられたら、それはこうなるのも無理はない。
今思うと俺、結構恥ずかしいことしちまったよな!!
"俺、お前の魔法効かねぇんだわ!!"
かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!急に思い出しちまったよ!!!!
と、言いながら大が赤面していると。
「俺、お前の魔法効かねぇんだわ!!」
ヨナが大の耳元で囁いてきた。
こいつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!完っ全にいじってきやがった!!!!俺たちのピュアな心をバカにしてきやがった!!!!・・・・・・・・いやいや、"俺たち"って・・・・、俺はなんでもう彼氏ヅラしはじめているんだ・・・・・・・・、いやいやいやいや彼氏だろうが!!!!俺って、ダーヨの彼氏だろうが!!!!だって、本人に好きって言われたんだぜ!!!!だったら、もう俺たち恋人同士なんじゃ????あれ・・・・、そう言えば、その告白については何も言葉を返していないぞ。・・・・・・あちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!俺、やっちまってねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
もし、ダーヨが俺に告白したつもりでいたら、俺は答えるどころか無視しているような感じになっているのでは????ダッセェェェェェェェェェェェ!!!!俺、カッコ悪すぎだろ!!!!
「なぁ??????お前、さっきから何をぶつぶつひとりで言ってんだ????」
大はあまりのパニックで、ヨナがイジってきたことに対して腹を立てていたことを忘れていた。
「おう、悪い悪い・・・・」
心ここに在らずといった雰囲気で大はヨナに謝った。
はぁ・・・・、この後ダーヨにどんな顔して会えばいいんだ????
「しっかし、ダーヨはてっきりダイのことが好きなんだと思っていたけど・・・・・・、そうじゃなかったんだな!!」
「あの話は私もさすがに驚きました」
マースが話に加わってきた。
「私もてっきりダーヨさんはダイさんを好きなのだとばかり思っていましたから」
「僕もだよ!!」
ナノも話に加わってきた。
「私もだ!!」
デーショも加わってきた。
「私もですわ!!」
デースも加わってきた。
まさかの全員勘違い!!・・・・・・これってもしかして、ダイって奴はダーヨのこと好きだったんじゃねぇのか????それだったら、いたたまれないな。この恋バナ大好き隊長軍団たちに焚き付けられてたりしていなければいいんだが・・・・。
「私なんてダイに、どこまでいったんだよって聞いちゃったことあるからな!!!!」
「僕も、休みの日は2人で何してるのって聞いたことがある・・・・」
「私も、父が私たち姉妹にくれた旅行券をせっかくだからとダーヨとダイにあげたことがあるな」
「私も、2人が付き合うことになったきっかけはって聞いたことがありますわ・・・・」
はい、手遅れでしたぁぁぁぁぁぁ。ダイ!!!!俺はあんたのことよく知らねぇけど、同情だけはするぜ!!!!なんて大が思っていると。
ガチャ!!!!
食堂に満身創痍のダーヨが入ってきたのである。
ダーヨは息を切らしながら、ゆっくりとみんなが集まっている長机に近づいてきた。そしてそのまま。
ピョコン!!!!
大の横の席に座ったのである。
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』
全てを知っている隊長たちは、それぞれが心の中で大胆なダーヨに歓喜した。しかし、それ以上2人に対して何かをしてくるわけではなかった。ただただ隣同士に並んだ大とダーヨを見て、さっき以上にニヤニヤしていただけである。
「お疲れさま!!」
「お疲れさまなのだよ!!」
大とダーヨの会話は、隊長たちにとって焼肉やお寿司よりも美味しいごはんのおかずになっていた。
「いやぁ〜〜〜〜、今日のご飯は美味しいなぁ・・・・・・」
「なんだかご飯に甘みがありますね????」
「ご飯とスープがよく合う!!まさに最高の組み合わせ!!」
「皆さん見てください!!!!さくらんぼです!!」
隊長たちはみんなそれぞれに大きな声でひとりごとを言った。
「ちっとは気が済んだか????」
もう、大は隊長たちを無視しようと心に決めて、ダーヨとの会話を楽しんだ。
「はい!!なのだよ!!大のおかげなのだよ!!」
「いやぁ〜〜〜〜・・・・・・・」
ポリポリポリポリ!!!!
大は頭の後ろに手をやって、照れ臭そうに頭をポリポリと掻いた。
それから大とダーヨの何気ない会話は続いた。オチのある話ではない。驚くようなエピソードでもない。起承転結もない。だけどそこには幸せがあった。そして、まるで2人を温かく包み込むかのように、食堂の窓からは夕日が差し込んでいた。2人は終始笑顔だった。
「ふぅ〜〜〜〜!!!!もうお腹いっぱいだぜ!!!!」
「私もこんなに食べたの久しぶりなのだよ!!」
「よかったじゃねぇかよ!!食欲があるってことは健康の証拠だぞ!!」
「本当に大のおかげなのだよ!!」
ダーヨは大に告白したことにより、余計な気を使う必要がなくなった。だから、今までだったら恥ずかしくて言えなかったようなことも、どんどん言えるようになったのである。
「じゃぁ、そろそろ部屋に戻るか!!!!」
「そうなのだよ!!明日からは特訓の日々なのだよ!!それに備えて、今日はしっかり休むのだよ!!!!」
ガチャ!!!!バタン!!!!
そう言うと2人は食堂を出て行った。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!!!!!!!
大とダーヨが去った後の食堂には、2人の話をサカナにしてモリモリご飯を食べる隊長たちの姿があった。