第14話 デコボをもっと強くする方法
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
ボフンッ!!!!
慣れない環境、溢れそうな情報、求められる成長、それら全てをほんの一瞬だけ忘れるかのように大はベッドに身を投げた。
「俺が強くなるには、この"デコボ"をもっと自分のものにするしかない!!この前の戦いは初めて使用した割には善戦していたと思う・・・・。だけど、あそこでもっと俺が使いこなせていたら、ダーヨを守るだけでなく、あの2人を倒すことだってできたかもしれない!!もっと力が必要だ!!こうやって、敵のカントリードラゴンの中に1部隊で入ってくるぐらいだから、あいつらは偵察部隊かもしれない!!そうなると下っ端の可能性が高い!!!!だったら、あいつらに一発おみまいできたくらいじゃまだまだなんだ!!これから戦う相手は奴らとは比べものにならないくらい強いはずだ!!!!俺がどこまで成長できるか??それがこの戦局を大きく左右する気がするんだよな。それにダーヨのこともあるし・・・・」
そう言いながら大はフラボンにもらった説明書を開き始めた。前回、この説明書の目次をさらっと見て"デコボ"という魔法を自分が使えると知った大。しかし、その"デコボ"の魔法の目次の横に書かれていた項目がずっと気になっていたのだ。そこには・・・・、
"デコボをもっと強くする方法"
と、書かれていたからである。
ペラッ!!!!
大は少し緊張しながら説明書をめくった。
"大へ どう??どう??どう??どう??デコボの使い方には慣れた??どう??どう??"
パタンッ!!!!
大は説明書を閉じた。
うっぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!なんじゃ今の??????説明書でうぜぇって、いったいどんだけうぜぇんだよ!!てか、この入りから察するに絶対に大したこと書いてないだろ!!!!どうせ、"お前が成長すれば魔法も成長するよみたいな"みたいな当たり前のことを貴重なアドバイスみたいに偉そうに書いているに決まってるぜ!!!!・・・・・・・・とはいえ、今の俺にはこれしか頼れるものはねぇしなぁ・・・・。
ペラッ!!!!
大は再び説明書をめくった。
"この入りから察するに、大したこと書いてないんだろうな・・・・????なんて思ってたりしない??ねぇ??ねぇ??どう??どう??"
パタンッ!!!!
大は説明書を再び閉じた。
ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!!大はフラボンに対する憤怒と憎悪をグッとこらえた。そして・・・・。
ペラッ!!!!
大はまた再び説明書をめくったのである。
"もしかすると大のことだから、イライラして2度・3度この説明書を閉じたりしたかもしれないが、冗談はここら辺で止めておこう。・・・・・・さて、大がこの項目を読んでいるということは、もっと力が欲しいと思うような場面に出くわしたということだろう・・・・。前にも話したが、デコボという魔法には無限の可能性が秘められている。ここで聞きたいのだが、大は今、デコボという魔法が万物の凸凹"を操作する魔法と思っていないか?"
は??違うのかよ??
大は説明書に話しかけるかのように声に出してそう言った。
"それは合ってはいるが、本質を捉えた解釈ではない!!もう先に言ってしまうが、万物の凸凹を操作するということは、万物の大きさを自在に操れるということなのだ!!!!"
「!!!!!!!!!!!!!!」
大は驚いた。しかし驚きながらも、フラボンの言わんとしていることがなんとなくだが理解できはじめていた。
"だってそうだろう!!万物には全て凸凹が存在するのだから!!それを操れるということは、万物の大きさを操れるということだ!!だが、それにはとても繊細かつ大胆な想像力が必要になる!!なんせ普通の魔法は使えばそれで終わるのだが、デコボの場合はそうはいかない!!デコボの場合、物によっては元に戻すために再度魔法を使う必要があるからな!!闇雲に大きくしたり、小さくしたりを繰り返せば、最悪の場合、生態系をも破壊しかねない!!万物の質感・質量・性質あらゆる構成要素を理解する。その上でそれらを大きくしたり、小さくしたりした状態をイメージする必要があるのだ!!だから大よ、デコボを本当の意味で使いこなそうと思うのなら、魔力だけでなく想像力も磨け!!そうすればお前は誰にも負けない男になれる!!私が保証する!!汗臭いことを言うが、努力あるのみだ!!頑張れ大!!応援しているぞ!! フラボン"
パタン!!!!
大は説明書を閉じた。
"デコボ"ってとんでもない魔法だったんだな!!確かに、この説明書を読む限りだと、結構チードなんじゃないかって本気で思えてくるわ!!
グルルルルルルルルルルル!!!!
間が良いのか悪いのかわからないタイミングで大のお腹が鳴った。
お腹も空いたことだし、まぁ・・・・・・、難しい話はまた後で考えるか・・・・!!そう言えばマースさんが、もうすぐご飯だから時間になったら食堂に来てくださいって言ってたな。・・・・・・そろそろだよな!!行くか。
大はベッドから起き上がり食堂へ向かった。
コツコツコツコツコツコツ!!!!
自分の足音が聞こえるほど静かな廊下。嫌が応にも色々と考えてしまう状況で、大は先ほどマースから聞いた話を思い出していた。
「大さんちょっと・・・・」
それは会議が終わってすぐのことであった。
「少しお話があるので、待っていてもらえませんか??」
そうマースに言われた大。
「わ・・・・、わかりました」
大はどうしたのだろうかと不安げな表情を浮かべた。
そして、隊長たちは各々の部屋に帰り、会議室にはマースと大だけになった。
なんだろう・・・・????もしかして、マースさんとムフフな展開が待っているんじゃ・・・・????ムフフフフフフフ!!!!
そんな大とは対照的に真面目な顔をしてマースが話しかけてきた。
「大さん引き止めてゴメンなさい・・・・」
「いえ!!俺は大丈夫ですよ!!何かあったんですか??」
「えぇ・・・・、貴方には本当のことを話しておこうと思いまして・・・・」
「本当のこと・・・・・・??」
「えぇ・・・・」
「まだ他にもこの世界に秘密があるとかですか????」
「いえ、違います・・・・!!ダーヨさんのことです!!」
「ダーヨのこと????」
「はい・・・・・・、実は・・・・、ダーヨさんは昔、最愛の人を自分の手で殺しているのです」