第11話 マトリョーシカ
「あのぉ・・・・ちょといいですか??????」
会議がはじまるやいなや手を挙げて質問をしたのは大であった。
「何でございます????」
真ん中の席に座った女性が大に尋ねた。
「すみません!!!!みなさんはじめまして、俺、小豆 大って言います。タウンドラゴンの中に異世界転生されてきました。そしてたまたまダーヨに出会って、今、ここにこうしているわけでなんですが・・・・????」
大の言葉が煮え切らない。
「まぁ・・・・、そうでしたか」
マースが女神のような笑顔で大に語りかけた。
「はい。なので・・・・、実はこの世界のことをあまりよく知らなくて・・・・、あのぉ・・・・」
そこで大はグッと覚悟を決めた。
「もしよろしければ、カントリードラゴンについて俺にもわかるように教えていただけないでしょうか!!!!!!」
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この場に1人しかいない男が、いきなり大声を出したのである。それは室内が静まり返るのも無理はない。
「ふふふふふふふふ」
そんな大を見てダーヨは笑った。
「えぇ、大丈夫ですよ!!!!では、大さんのためと改めて私たちの目的を確認するために、カントリードラゴンについてお話ししましょう・・・・・・」
「あのぉ・・・・」
大は再び手を挙げた。
「なんでしょう??」
「できればですね・・・・、このDRSってのが何なのか?から教えていただけないでしょうか????」
「確かにそうですね・・・・、別の世界からやってきた大さんにとっては、DRSという組織から説明しなくてはいけませんね」
「すみません・・・・・・」
ああああああああ!!!!俺、異世界に来てから気が大きくなってんのかなぁ・・・・、普通に考えたら結構すごいことしてるのにそれでもズケズケ行けてしまう・・・・、みんなの貴重な会議の時間に、勝手に参加して、勝手に時間割いてもらうなんて常識じゃありえねぇぞ!!!!なんだかこんな風に全員が揃うのは久しぶりとか言ってたくらい滅多にない日みたいだし・・・・。なんかスンマセン。
そう!!冷静に考えると大は結構常識外れな凄いことをしていたのである。それを遅れて自覚した大は再び心の中で謝罪した。
「DRSというのはですね、Dragon Rescue Specialistの頭文字をとってつけられたこの組織の名前になります!!!!ドラゴンに関する様々なお悩みを解決する部隊と考えていただければ良いかと思います」
警察と消防隊が合体したような組織ってことか????
と、大は咀嚼した。
「DRSは、私・・・・、あっ、自己紹介がまだでしたね。私はDRSの隊長のマースと言います。そしてその他、ヨナさん、デーショさん、デースさん、ダーヨさん、ナノさんの5人、合計6名の女性メンバーによって構成されている組織になります」
ダーヨが4番目に呼ばれたってことは、マースさんを除いて実力的に4番目ってことなのか????そう考えるとやっぱりヨナとデーショは実力者なんだな。
「私たちは依頼があれば出動しますし、なければパトロールをしています」
「じゃあ、狩龍団っていうのはなんなんだ????」
「よくご存知ですね。狩龍団というのは私たちと同じ、ドラゴンに関する様々なお悩みを解決する部隊になります」
「はぁ????あいつらがDRSと同じ目的を持った組織だっていうのかよ????じゃあ、なんでさっき俺たちを騙したりしたんだよ!!」
「それはですね・・・・・・」
「住んでる場所が違うからだよ!!」
口ごもるマースを見かねてヨナが言った。
「住んでいる場所が違うって??もしかして、あいつらも俺みたいに異世界から来たっていうのかよ!!!!」
「その通りでございます!!」
「!!!!!!!!!」
大は想定外の答えが返ってきたため固まった。
「え????異世界から来たっていうのか??あいつら??」
「だからそう言ってるよな!!!!」
また、ヨナがマースの返事を待たずに大に返す。
「それを説明するためのキーワードとなるのがカントリードラゴンなんです」
「なるほど!!!!」
全然わかっていないのに大は言った。
「で、そのカントリードラゴンというのはなんなんだ????」
「世界です!!!!」
マースはキリッとした真面目な顔で言い切った。
「ん??????哲学とか思想とか概念とかの話か??????」
大はやっぱり理解できない。
「いいえ、違います!!!!そのままの意味です。カントリードラゴンとは世界なのです」
「いやいやいやいや!!!!同じこと言ってるぜ!!!!全然わからねぇよ!!!!」
「ですから、私たちがいるこの世界なのです」
「それって・・・・・・・・・??????」
「はい。私たちがいるこの場所はカントリードラゴンの胃の中なのです!!」
「!!!!!!!!!!!!!」
大は顎が外れそうなくらい驚いた。
「要するに、ここもまた大さんの言う胃世界なのです」
「!!!!!!!!!!!!!」
大の頭からは湯気がシュ〜シュ〜出ていた。
「わかりやすく整理できるように、この星の構造からお話します。この星は惑星ドラゴン。またの名をプラネットドラゴンと言います。そしてプラネットドラゴンには2匹の巨大な龍が生息しています。その龍が・・・・・・」
「カントリードラゴン・・・・・・????」
大が恐る恐るマースに言った。
「はい。その通りです。そして、その胃世界がこの場所にあたります」
「ってことはタウンドラゴンというのは、カントリードラゴンの中に住んでいるドラゴンってことになるのか????」
「例えるならば、私たちがカントリードラゴンだとすると、タウンドラゴンは私たちの中にある抗体といったところでしょうか」
「マジかよ・・・・・・・・」
「マジでございます」
「ということは、もう1匹のカントリードラゴンの中にいるのが・・・・・・」
「はい。狩龍団になります」
「なるほどなぁ・・・・・・・・・・・・」
全然思考が追いついていないのに大は言った。ちなみに現在、大の頭は爆発寸前の状態でる。
「だとしても、2つの組織がいがみ合う必要ってあるのか????」
「いいところに気がつきましたね」
「そりゃそうだろ!!!!そもそもお互いがカントリードラゴンの中で生活できているのなら、もう1匹のドラゴンに無理に干渉する必要なんてないだろ!!!!」
「それがそうもいかないのです!!」
「なんでだよ??」
「すべての原因は5年前の大地震にあります・・・・・・」
この世界の謎はまだまだ深い。