テンドロディウムについて
飛行艦、初登場。
テンドロディウムは、リントと共に転移してきた、バイクのベアリング技術を回転部に使用した”第4世代飛行艦である。
リントが20歳だから20年前の話になる。
白百合騎士団の本部は、皇都の城壁の外にある。
第2皇女派の貴族の嫌がらせであり、何かがあったら真っ先に散れと言われているのだ。
馬20頭分くらいの馬舎に申し訳程度に倉庫兼詰所がついている。
しかし、その建物を覆うように軍用飛行艦が駐艦していた。(最近、皇都の観光地ガイドに乗った)
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新型軍用飛行艦、”テンドロディウム”
大きさは、学校の運動場にぎりぎり収まるくらい。高さは3階建ての建物と同じくらい。
真っ白な艦体に、白百合騎士団の団章が描かれている。
形は、”オスプレイ”を巨大化して真ん中にティアドロップ型の全金属式の気嚢、前にはカラスの嘴のような部分がつく。
揚力を得るために”ヘリウムガス”を使用している。
嘴部分がブリッジである。
ブリッジの左右には艦の横を見るための手すりのついた張り出し部分がついており、ブリッジの扉から外に出られる。
ブリッジの内部は、ブリッジの中心に木でできた丸い床(術式集中制御盤)がある。
その床の真ん中の真上に、天井から伸びた柱に支えられた足置き付きの椅子がある。
さらに、その前の壁に艦内の簡単な模式図があり、赤と青のランプがそれぞれの部署についている。
左右に同じ形の”操縦席”が一つずつあり、壁沿いの後ろに航法士用の机といすが、同じく左右に一つずつある。(左右対称になっている)
その後ろに左右のウイングデッキに出る扉がある。
円形のガラス窓が、開いている。
伝声管が、羅針盤の前と左右の操縦席にそれぞれ4本ずつ床から出ている。
後部に垂直尾翼が一枚。
ロワーデッキとミドルデッキがある二層構造。
ミドルデッキの外側の周りをU字型取り囲むように、手すりのついた通路がある。
U字型の通路の終わりは、後部の術式空気噴射装置の基部につながり行き止まりになっている。
通路には、左右2か所ずつ計4か所に、バリスタを設置する台座があるが必要な時以外は取り外してある。
嘴の下の部分に寝そべって入る樽爆弾投下用の観測室がある。
ミドルデッキの内部は、
前方から一段高いところにあるブリッジ。
ミーティングルーム。
壁にベッドが4つ付いた寝室が片側3室ずつで6室。
鎧など装備を入れる倉庫。
狭い階段を下に降りて樽爆弾庫。
真っすぐ行って機関室である。
ブリッジ後ろの左右の階段の間にロワーデッキに通ずる階段がある。
ロワーデッキは前後にカーゴベイがあり、後ろ部分が片側に馬を10頭計20頭繋げる馬舎。
前部分が荷馬車ごと乗り込めるカーゴルーム。
乗り込んだ後、荷馬車から外した馬をミドルデッキに通ずる階段の横を通ってそのまま馬舎に行くことが出来る。
大体3カ月分くらいの食料と水を乗せている。
飛行時は、ロワーデッキ全体に重量軽減術式が掛かる。
馬一等大体平均400キログラムを20頭。さらに荷物を載せると普通は飛ばない。
重量軽減の加護でティラノサウルスよりも重いエンシェントドラゴンが、空を飛んでいるのだが。
左右の翼の翼端には、ティルトローター方式で術式モーターを使用した三枚ブレードの推進器。
艦体後部左右には、プロトタイプの術式空気圧縮噴射装置がある。
噴射口は上下2枚のベクターノズル方式である。
出来立ての技術でまだまだ出力が安定しない。
ブリッジから術式士の術式のサポートと、二人の機関士が機関長の指示で左右の出力をベクターノズルで合わせるのだ。
艦体強度、術式士の思念力、機関士の体力面からも30分以上の連続使用は無理である。
テンドロディウムは、白眉山脈の向こうのレンマ王国にあるカティサーク工廠製である。
乗組員は、
操縦士2名。
航法士兼樽爆弾観測員2名。
機関士3名。
樽爆弾投下員2名。
整備士3名。計12名である。
以上が、カティサーク工廠からの出向社員である。
そこに、艦の術式を集中管理する術式士が1名入る。
タンデライオン皇女と白百合騎士団員19名が搭乗する。
テンドロディウムは軍用飛行艦である。
艦で使用される術式を動かすもととなる思念力は、搭乗員全員から強制的に徴収される。
しかし、術式空気噴射装置だけは専用の術式士が思念力を供給しないと動かない。
カティサーク工廠の社員は、研究員に近い。