第十六話 処刑場の戦い①
「はわ、見えたです! あれが闘技場です!」
僕達兄妹はちょうしを取り戻したコロンに運ばれ、ふたたび王都の上空にいた。
めざすは王城近くにある闘技場だ。
ファロン達の処刑はそこで行われるのである。
「見ておにいちゃん! すごいねー。キレイだねー」
上空から見る闘技場はとても立派だった。
王城のすぐ隣に建てられたその建物はキレイな円形になっている。屋根はない。中央のアリーナを囲むように観客席が設置してあり、前世でいうスタジアムみたいな感じである。
「すごいなーカジュ。あそこサッカーできるんじゃないか?」
「え!? 場所的にはできると思うけど……お兄ちゃんは……」
「「………………」」
そうだね! トカゲにサッカーは無理だね!
「それにしても、あの闘技場がファロンの最期の場所になるんだな……」
「うん……ファロンちゃん、かわいそう……」
はー。どうしてこうなった。
「は、はわ!? なに言ってるです!? 不吉なこと言わないです! お姉ちゃんは大丈夫です! 今から助けます!」
コロンがバタバタ暴れる。おい冗談だ。空で暴れるでない。落ちるよ?
「もちろん冗談だよ、コロンちゃん」
ファロンちゃんは大丈夫! ──とカジュはコロンの頭をなでなでした。
ちなみに、前回も言ったがコロンの両腕は翼に変化しているのでカジュはコロンにおんぶされているゾ!
「でも、処刑ってどんな方法なのかな? もし『石打ちの刑』だったら、私達も参加できるのかな? すごく気になるよ」
「はわっ!? 石打ちです!?」
「ちなみに、『石打ちの刑』とは処刑場に集まった観客が罪人に向けて拳大の石を1つ、また1つと投げて、死ぬまでピーピーピー(検閲)だよ」
カジュ、解説いらないから。あと検閲入るの遅いから。
「はわ! おねーちゃん! はわ!」
ヤバい、コロンが過呼吸になってる。ホントに落ちちゃう。
「ああー。お兄ちゃんコロンちゃんをいじめすぎだね。あやまって!」
「えー、僕なの!?」
「あやまって!」
カジュ理不尽。
ごめん、ごめんなコロン。
こんな妹でごめんな。
心の底から謝っておいた。
ちなみに、ネタバレにはなるけど、コロンは将来すごく幸せになります。
よかった。よかった。
僕の予想なのでまったく保証はないけど。
僕達がそろそろ闘技場の上空に差し掛かろうとした、その時──
──スキル発動『危険察知』──
ん?
なんだっけコレ?
──あ!
「危ない! コロン避けろーー!!」
僕はカジュごと強引にコロンの軌道を曲げる、
ギャビッッッ────!!
僕達がいた場所にすさまじい出力のレーザービーム(!?)が撃ち込まれる!! カッ! と、一瞬でビームは走りさり、残光が目に焼きついた。
はるか上空の雲がわれた──なんちゅう威力だ。
「は、はわ!?」
「お兄ちゃん!? なに!?」
ーーーーーーーーーー
『危険察知』
[危機的状況を事前に察知する]
ーーーーーーーーーー
僕の『危険察知』が発動しなければ、僕達は確実に撃ち落とされていただろう。体に大穴を開けて。冷や汗が流れる。
それにしても忘れてたよー、スキル『危険察知』。あともう少し思い出すのが遅かったら完全にやられていたな。反省。
闘技場はもう間近だ。
僕達をビーム(?)で狙撃したであろう人物もここから確認できる。
闘技場の観客席の、
アリーナを見下ろすVIP席、
ひときわ豪華なイスにその男は座っている。
非常に大柄な男である。身長三メートルくらいありそうだ。顔は美形──いや、ムカつくから普通にしとこ。頭にはマヤによく似た巨大な角が生えている。マントを羽織り、こちらを見て楽しそう笑っている。
この国の魔王──シュラだ!
ふてぶてしくイスに座りやがって。
飛んでる僕達を狙撃するなんてマナー違反にもほどがある。
「お兄ちゃん、あれがシュラなの? 強いねー。私やっぱり一人でやってこようかな? 一人で殺してこようかな?」
カジュのテンションが一気に上がった。シュラの強さを肌で感じたのだろう。確かにバケモノじみた魔力をまとっている。
うん、ヤバいなー、アイツ!
「お兄ちゃんはここで待ってて、私ちょっと行ってくる」
僕に危険がおよぶくらいなら、カジュは一人での戦いを選ぶのだろう。でも落ち着け。
「カジュ少し落ち着いてくれ。一人でも勝てるかもだけど、兄妹一緒の方が楽勝だろ? 作戦もあるわけだしさ」
「あ、そだった」
カジュのてへぺろ。カワイイ!
「は、はわ……これ以上、上空にいるのは危険です……怖いですし……アリーナに着陸するです」
コロンはシュラのプレッシャーに圧されガクブル状態だった。大丈夫なのかコロン? そんなんで戦えるか?
僕達はアリーナに降り立った。
警戒していたが、次の攻撃はこなかった。




