第二話 トカゲと樹霊①
トカゲに生まれ変わりました。
こんにちは、森島月光です。
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ゲッコー・モリシマ
LV 1 《種族・モリゲッコー》
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ステータス表示を見る限り、この世界での名前はゲッコーとなっているようだ。
妹はカジュ。
というか、トカゲってなんだよ。せめてドラゴンでしょ? ゲームはしたことないけど、トカゲってたぶん弱いよね? 激弱だよね? わざと? わざとなのか? 邪悪神よ、わざとなのか? なんかだんだん怒りがわいてきましたわ。怒りのトカゲですわ。
「お兄ちゃんのステータスの数値ってどれくらいなの? 姿だけ見てもあんまり強そうじゃないから心配なんだけど……」
さすがカジュは鋭いなあ。その心配はたぶん間違っていないぞー。
ステータス表示は本人にしか見えない。カジュに伝えるために、僕は木の棒で地面に自分のステータスを書いていった。トカゲである僕は木の棒を持つのもめっちゃ大変だった。全身使わな。
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ゲッコー・モリシマ
LV 1 《種族・モリゲッコー》
HP 15
MP 7
STR 2
DEF 3
MAG 3
LUC 1
[スキル]
『脱皮』
『自切』
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「うーん、こんな感じだな。HPっていうのが一番高いみたい。でも、このHPとかMPって何なんだろうね? カジュはどう思う?」
っていうか、英語表記止めてくれよ。まったく分からないよ僕は。
「……え? ええー!? そ、そうだねお兄ちゃん…… ゲームだとHPは自分の生命力、MPは魔法を使うときに消費するポイントだね。たぶん、この世界のMPはスキルを使う時に消費するんだと思う……」
妹の意識が一瞬、どこか遠くへ行っていたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
「ホントにこの数値なんだよね? お兄ちゃん」
「うん、そだよ」
まあ、たぶんカジュのステータスに比べて、僕のステータスが低いんだろうけどさ。だって僕トカゲだよ? 何の変哲もないトカゲだよ?
「ちなみにカジュのステータスって、どれくらいなの? 教えてよ」
「え!? 良いけど……お兄ちゃん、傷つかない?」
「数値によるな。でもカジュのステータスがどんなでも、僕は気にしないよ。兄妹だし」
「うん、分かったよ」
そう言うと、カジュは地面に自分のステータスを書いていく。
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カジュ・モリシマ
LV 2 《種族・ドライアド》
HP 350
MP 530
STR 265
DEF 310
MAG 480
LUC 115
[スキル]
『植物図鑑』
『果実生成』
『種子生成』
『栄養変換』
『木隠』
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兄妹の能力格差はすごかった。
英語表記なのでなにが何なのかはよく分からないが、兄と妹ですごく格差があることは分かった。
にぶい僕でも分かるよ、うん。これぜったい邪悪神の嫌がらせだよね。草場の影からほくそ笑んでいるのが分かるよ、うん。
「邪悪神、許すまじ! ぜったい殺す! うんこー!!」
涙目僕の魂の叫びーー
この世界での、僕の目標が決定した瞬間だった。