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第十一話 レジスタンス①


 僕とカジュはコロンに連れられ、ホーロンの街外れにある高台の小屋に来ていた。


 外見は小ぢんまりとした小屋だったが、中には地下への階段があり、地下はとても広かった。岩肌はむき出しだが、ところどころ扉があるので部屋数はかなりあるっぽい。


「すごいねー、お兄ちゃん。秘密基地みたいだね」


 確かにこれは秘密基地だな。


 地下に秘密基地ってカッコいい……!


「この秘密基地にはプールや大浴場、室内テニスコートなんかもあるですよ」


「プール!? 大浴場!? すごいねお兄ちゃん!」


 え? 秘密基地ってそんなだっけ? すごいのはすごいけどやりすぎなのでは? あれ? 僕がおかしいんだっけか?


「お姉ちゃんのこだわりはすごいんです!」


「サウナは!? サウナはあるの!?」


 カジュはけっこう興奮している。スパとか好きだったんだな。カジュも女の子だもんな。


 会話の盛り上がっている二人をほっておいて、僕は地下基地の様子を観察する。


 うん、いいね。


 何がいいって? 森も良かったけど、この暗くてジメジメした空間がたまらんよね。やっぱりトカゲにとって湿度って大事なんだよなー。こんどカジュに頼んで水ゴケの布団作ってもらおう。そうしよう。


「はわ、ゲッコーさん、カジュさん。こちらにどうぞです」


 先導するコロンについていくと、地下で一番大きな扉の前へ案内された。立派な扉である。鉄でできた扉にはフクロウの紋章が彫られている。


「はわ、おねーちゃん。入りますです!」


 コロンが声をかけ、扉を開けた。


 中央に円形の大きな机が置かれた、広い会議場だ。机の回りには椅子がたくさん並べてあるが二人しか座ってない。


 正面の椅子にコロンに良く似たお姉さんが座っている。この人がコロンのお姉ちゃんかな? コロンより落ち着いた顔つきで眼鏡をかけている。身長も少しだけ高い。


 その背後にセバスチャン。椅子には座らずお姉さんの左後ろに立っている。執事っぽい。


 そして椅子にもう一人座っているのはカエルの魔人だ。見た目めっちゃカエル。でも大きさは人間の子供くらいある。机の上で土をコネコネ、何かを工作しているようだ。楽しそうである。


 僕達兄妹はとりあえず入り口から一番近い席に座る。コロンはお姉さんの右後ろに立った。


「カジュさん、ゲッコーさん。こちらが私のお姉ちゃんです! お姉ちゃんはこの国オーガスの宰相であり、ホーロンの街の領主でもあります! そして『魔王シュラ』の暴虐から民を守るために立ち上がったレジスタンス、『平和の羽』のリーダーでもあるです!」


 情報量多すぎ!


「ファロンです……よろしく」


 ファロンはペコリと頭を下げた。可愛らしいおしとやかな少女である。コロンと姉妹ならフクロウの魔人なんだろう。ほぼ人間に見えるけど。


 しかしコロンが一気にしゃべるからファロン本人の情報はまったく頭に入ってこなかったよ。えーと、国のお偉いさんでレジスタンスのリーダーなんだっけ? コロンはお姉さんの説明くらいきちんとやって欲しい。カジュはフムフムとなにか分かった顔してるし、あとで聞いておけば大丈夫かな?


 とりあえずコロンのお姉さんはファロン。これだけ分かれば十分だろう。たぶん。


「まずは……妹が大変お世話になった……ありがとう」


 ファロンが合図をするとセバスチャンが僕達の前まで来て机の上に布袋を置いた。


 目の前の机にどさっと重そうな布袋が置かれる。


 これは──!? お金!?


「お金!?」


 あのカジュですら反応した。どんだけ金に飢えてるんだこの兄妹。まあ貧乏だからね、仕方ないね。


「今回の任務はかなり危険だったと聞いた……まさかゾームが待ち受けていたとは……」


 完全に私のミス──と、ファロンは言った。


 あとでカジュに聞いた話では国の宰相(総理大臣!)であるファロンがゾームの囮計画に気づかなかったのはかなりの落ち度だったようだ。確かにコロンとセバスチャンの二人だけだと絶望的な状況ではあった。


「大丈夫ですよ。私とお兄ちゃんが倒しましたから。あのゾウさんもそんなに強くなかったですし、問題なかったです」


 カジュよ、僕はゾームは倒してないぞ。誰かさんにぶん投げられたからな。


 あのあと、投げられた先が崖で、崖下の川に流され、滝から落ちて、滝壺で巨大な鯉とけっこう激しいバトルとかしてたからな。僕はゾームは倒してないぞ。


「ファロンちゃんも気にしないで下さい。お兄ちゃんも『終わったことを気にしても仕方ないZE!』とよく言ってます」


 うん。言ったこと無いね。


 てか、さっきから微妙に僕をよいしょしてるの何なの? ZEってカッコいいところなの? さすカジュも前回僕をぶん投げたことを気にしてるのか? 良心が痛みだしたか?


「お兄ちゃんなんて、もっとひどい失敗を良くしますし」


 ないな。このチビッ子め。


「ありがとう。カジュ様……ゲッコー様」


 ファロンが改めて深く頭を下げる。


 僕達みたいなトカゲとチビッ子に、頭を下げてお礼を言えるなんて、ファロンはいい子なんだろうなと思った。トカゲ並感。


「はわ、おねーちゃん。ゲッコーさんと、カジュさんはレジスタンスの活動を手伝ってくれるそうです! お二人はとてつもない強者です! きっと助かりますよです!」


 コロンがファロンに先ほどのやり取りを教える。元気いっぱいだ。


「あ、うん。僕達にできることなら」


 手伝うよ、ひまだし。


 お金が貰えるならなお良し。


「でも、その魔王っていうのを倒せばいいんだろ? そんなに強いのそいつ?」


 現時点でも僕とカジュで組めば誰にも負ける気がしないのだが。魔王というのはそんなに強いのだろうか?


「確かに私とお兄ちゃんだったら、魔王城に正面から殴り込んで暗殺できる気がするね」


 正面から殴り込んで暗殺とはこれいかに!?


「二人が倒した四天王ゾームの魔力は9000……失礼でなければお二人の魔力を教えてほしい……」


 魔力? MAGのことかな?


「僕は確か……32000だな」


 うっは、高!?──と、我関せずで土をこねていたカエルの魔人が声をあげた。


「私は155000ですね」


 うんそうだね。もうなんかすごいカジュ。


 ファロン以外の三人は大きく口を開け、声も出さずに硬直している。


「二人とも流石……ちなみに、この国のナンバー2である私の魔力は24000……」


 そして──、ファロンは一呼吸おいて言った。


「この国の魔王であるシュラの魔力は……900000」


 九十万!?


 魔王はかなり強かった。


 ま、まあ……ぼ、僕とカジュが組めば、ままま、負けないけどな……!!



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