第九話 ②
戦いのあと。
「うぐ……お腹いたいです……」
必殺ダブル腹パンのダメージがまだ残ってるのかな? コロンと呼ばれる少女は、いまだに苦しそうにしている。お腹が尋常じゃなく痛そうだ。
あれ? 手加減したよね? 私手加減したよね?
当たりどころが悪かったのかな?
「コロン様、お気を確かに……」
執事さんの方は大丈夫そうだよ? コロンちゃんの防御力が予想より低かったようだね。うん、私悪くないよ。
「ふむ、コロン様……これは内蔵が破裂してますね」
ええ! そんなに!? 重症だよ!!
「カジュ……」
お兄ちゃんがドン引きした視線を向けてくる。ごめんね。ホントごめんね。
「あの……すみません。これ使ってください」
私は『果実生成』で《エクスヒールベリー》を作り出して執事さんに渡した。
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『果実生成』
[任意の果実を作り出す。生成した果実はすぐに使用しなければ腐ってしまう。また、生成した果実を自分で食べても効果を受けることはできない]
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「これは、エクスヒールベリー! 助かります!」
コロンちゃんはつらそうに(内蔵が破裂してるなら当然だろう)ヒールベリーを飲み込んだ。
「うく……ありがとです。なんとか、大丈夫そうです……」
倒れていたコロンちゃんがよろよろと起き上がる。
良かった良かった。ヒールベリー効いて良かった。
「良かったなーカジュ!」
「うん!」
それで何の話してたんだっけ?
あ、そうだ。私達が危険人物だと勘違いされているんだった。誤解を解かないと。
「あのー、腹パンで内蔵破裂させといて何なんですけど、私達に危険はないですよ。私はともかく、お兄ちゃんはやさしいですから」
私もやさしいつもりだが、自分で言うのも恥ずかしいので(腹パン内臓破裂させてる手前)お兄ちゃんの素晴らしさだけ伝えておいた。
「いや、カジュもやさしいよ! 僕よりやさしいし!」
そしてお兄ちゃん、フォローありがたいです。
「はわ、その件に関しては私達が全面的に悪いです。カルラファミリーには領主も手を焼いていましたですし」
退治していただいて嬉しいです! と、コロンちゃんは満面の笑顔で言った。可愛い。可愛いよー。
「そもそも、カルラファミリーを倒せるほどの実力者に戦いを挑む方が愚かなのです。コロン様はもう少し冷静に行動して下さい……」
執事さんは厳しい。コロンちゃん可哀想。むむむ。
「じゃあ、僕達もう関係ないということで。道具屋にも行かないといけないし」
お兄ちゃんは変な像(もしかして猿)を売ることを忘れていなかった。そういえば私達お金がなかったのだ。
この変な像(結論、変な生き物)を売るだけでギルド登録のお金足りるかな? そもそもこの像を買い取ってくれるのだろうか?
あ、そうだ。
「あの、コロンちゃん。お金貸してくれませんか? 私達、お金持ってなくて……」
スッゴい簡単な解決法を導きだした。
無いなら借りれば良い!