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第五話 ②


 闘技場の中心に雷が落ちた。


 いや、正確にはお兄ちゃんの体が雷となり、サイの魔物を襲ったのだ。


『属性変化《雷》』。お兄ちゃんのスキルである。



ーーーーーーーーーー


『属性変化』

[本体の属性が任意に変化する]


ーーーーーーーーーー



 変化する属性が任意ということは、雷だけでなく、火でも水でも氷でも自由自在ということである。体の属性が変化するだけなので、相手に効果を与えるためには接触しなければならないが、それでも便利なスキルだと思う。


 威力もすごいし。


 今回は力加減とか考えずに魔力全開でぶっぱしたのだろう。だいぶ離れたところにいた私まで放電が当たるところだった。もう少し近くにいたら危なかったなー。


 もう少し力加減を覚えて貰わないと、いつか巻き込まれそうだよ。


 むむむ。


「どーだー、カジュー、勝ったぞー!」


 黒こげになって倒れたサイの魔物の上で、お兄ちゃんが嬉しそうに手を上げガッツポーズしている。


「お兄ちゃん初勝利おめでとー! やったねー!」


 私も右手を上げて応える。


 お兄ちゃんが負けることは絶対ないと思っていたが、やはり心配は心配だった。何が起こるか分からないのもこの世の常。とくにお兄ちゃんなら尚更だ。


 まさか最初の噛みつきで口を離すとは思わなかった。お兄ちゃんの力ならそのまま噛み千切れたはずなのにだ。魔物が暴れたら逃げるてるし。ダメージを受けないといってもハラハラするよ。


「お兄ちゃん、アレくらいの魔物ならスキルを使わずに噛みつきだけで倒せたはずだよ。MPはなるべく節約しないと」


「ええ? 無理だろ。だって僕の口、二センチくらいしかないんだぞ。噛みついても倒せないよ」


「いやいや、二センチでも噛み千切りながら連続で攻撃すればいつかバラバラにできるよね? あきめないでよ」


「噛み千切る!? バラバラ!? 怖っ! カジュ怖!」


「うんまあ、冗談だよお兄ちゃん……」


 断じて冗談ではないが……何なら喰い破りながら体内に潜り込んでピー、ピー、ピー(検閲)


「でももう少し手加減を覚えてね。いつも全力でスキルを使っているとMP切れを起こすかもしれないし」


「うーん、そこら辺はカジュの『果実生成』があるから大丈夫でしょ。頼りにしてるぞ」


 お兄ちゃんはあっけらかんとしている。まあ頼られるのは嫌いじゃないけど……むしろ大好きだけど……


「とにかく、お兄ちゃんはまず冷静に戦えるようになること! 次にスキルの威力を調節できるようになること! 最後に、私をなるべく甘やかすこと! これを目標にがんばってもらいます!」


「え、最後なに!?」


「お兄ちゃんは努力家です……きっとすべての目標を達成できるはずです!」


「あ、うん……がんばるよ」


「それじゃあ、ちょっと休憩しようね」


 私が頭にお兄ちゃんを乗せると、お兄ちゃんはなでなでをしてくれた。さっそく甘やかしてくれているみたいだ。次に肩に移動してもみもみ、マッサージしてくれてるのね、健気お兄ちゃん。むむむふ。


 冗談はさておき特訓だ。戦い方を学び、レベルを上げて、お兄ちゃんには誰にも負けない最強お兄ちゃんになってもらわなくてはならない。


 この闘技場のシステムはいい。成功だ。お兄ちゃんのレベルをガンガン上げられそうである。あとは《お兄ちゃん無限成長コンボ》も忘れずにやっておかないとね。忙しい忙しい。


「休憩終わったら次の魔物いくからねー! お兄ちゃん準備よろしく!」


「よっしゃ、どーんとこーい!」


 私達の戦いはこれからだ。



 ………………


 …………


 ……



 二年後。



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