プロローグ
京都、某所・・・時期は梅雨。しとしとと雨が降る中、僕は傘も差さずに歩いていた。
何故、傘も差さずに外を歩いているのか?それは、少しばかり油断していたからだ。流石に、梅雨を舐めていたと僕自身反省している。うん、反省しているとも。
白髪に白い肌、赤い瞳をした小柄な男。名前は上裂八。だぼだぼの黒いコートを着ており、一見温かそうではあるが雨に濡れたせいで体温が奪われて意識がぼんやりとしている。
その手には先程コンビニで購入した弁当がずぶ濡れになっている。とにかく重たい。身体もかなり重く先程から若干ふらふらと左右にふらついている気がする。まあ、そんな事はどうでも良いのだが。
やべえ、少し眠くなってきた。これは流石にヤバいか?意識が朦朧とする。
・・・しかし、そんな有り様だったからか?僕の足元に黒い穴が開いたのに気が付かなかった。
僕は、そのまま黒い穴の中に抵抗すらも出来ずに落下していった。え?落ちた?
・・・・・・・・・
・・・昔の話をしよう。
僕の家は、一言で言ってもあまり裕福な家ではなかった。幼少期から酷い苛めに会っていた僕を守る為に両親は都会から離れた山奥の村に引っ越した。しかし、其処でもやはり酷い苛めを受けたが・・・
両親意外に親戚など居なく、頼る人など両親意外に居なかった。必然、僕は一人で遊ぶばかり。
友達など居ない。むしろ、周囲には石を投げてくるようなクソガキばかり。大人達は、全員それを知りながら黙認していた。僕を守ってくれるのは、両親だけだった。
僕が腐らなかったのは、きっと両親のお陰だ。そう、はっきりと言える。
しかし、僕の不幸はそれだけに留まらなかった。否、まだ最大の不幸が僕を待っていた。
・・・両親が死んだ。明らかな殺人だった。殺人事件だ。学校から帰った僕は、居間で倒れる両親の遺体を前にしてぼんやりと考えた。ああ、そうか。これが死か、と・・・
僕は両親の死体をそっと抱き締めた。死体は既に冷たく、まるで冷えた人形を抱いている気分だ。
この日、僕の心の中で何かが壊れた・・・
・・・・・・・・・
ゆらゆらと、ふわふわと、僕は何処とも知れない黒い空間を漂う。何処だ?此処は・・・
ぼんやりと考える僕の前に、唐突に一人の男が現れた。誰だ、こいつ・・・何だか神々しい?その男は僕に笑みを向けると、心底愉しげな口調で告げた。
「初めまして、と言うべきか?上裂八・・・。突然だが、君には地球とは別の世界に来て貰う」
・・・何を?と、言おうとしてもぼんやりとした意識では何を言う事が出来ない。只、何処とも知れない空間を漂うだけだ。しかし、一体どうしたものか?
「君には訳あって地球に居る事が出来ない。その事情は後で話す。今はともかく、地球とは異なる別の世界を満喫して欲しいと思う」
———待っ。
「では、どうか楽しんでくれ給え」
そうして、次の瞬間には視界が開け———森に囲まれた湖に寝そべっていた。ああ、空が綺麗だ。
・・・けど。けど。
「・・・・・・何処だ、此処は?」
僕は、思わずそう呟いた。本当に何処だ、此処は?
これは、神殺しの星辰のリメイク作品です。最初から書き直す事にしました・・・