背伸びして一輪
掲載日:2019/09/13
花火大会とは夏本番だ。
一瞬の風物詩を眺めるために、人が集まっている。
河川敷へと進む僕の横には、従姉。
結い上げた髪と浴衣が、すごくきれいだ。
会ったのは一年ぶり。
ちょうど去年の花火大会と、その時以来だ。
「大きくなったね」
言われたのは突然だ。
まだ届かない身長差。
でも、皮肉を言う人じゃないから、そういうことだろう。
「成長期だから」
中学生が社会に出た相手に胸を張る。
「もう大人の仲間入りだね」
「それ、おばさんたちも言ってた」
「ああ! 今の言い方にはとげを感じたよ! とげを!」
「まだまだお姉さんですー」
語尾を伸ばして不満気にかみつかれた。
僕はこの人の前だと、どうもとげが出る。
今より小さい時からそうだった。
なぜかは考えていない。
人波に流されて河川敷近くまで来た。
あとはすこしの階段を上って下るだけだ。
それぞれの好きな場所を求めて、波がゆっくりと広がる。
大きな音がした。
そして、散る。
夏の花だ。
まだ上り階段にいた僕らは、目の前の背中たちでよく見えない。
一つ、思いっきり背伸びをした。
二度目の花が咲く。
と。その花に、隣のあなたが照らされた。
夏の華だ。
来年は、大きくなれるだろうか。
今日を追い越せるくらいに。




