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背伸びして一輪

作者: 本間かゐな

花火大会とは夏本番だ。

一瞬の風物詩を眺めるために、人が集まっている。


河川敷へと進む僕の横には、従姉。

結い上げた髪と浴衣が、すごくきれいだ。


会ったのは一年ぶり。

ちょうど去年の花火大会と、その時以来だ。


「大きくなったね」


言われたのは突然だ。

まだ届かない身長差。

でも、皮肉を言う人じゃないから、そういうことだろう。


「成長期だから」


中学生が社会に出た相手に胸を張る。


「もう大人の仲間入りだね」

「それ、おばさんたちも言ってた」

「ああ! 今の言い方にはとげを感じたよ! とげを!」


「まだまだお姉さんですー」


語尾を伸ばして不満気にかみつかれた。

僕はこの人の前だと、どうもとげが出る。

今より小さい時からそうだった。

なぜかは考えていない。



人波に流されて河川敷近くまで来た。

あとはすこしの階段を上って下るだけだ。

それぞれの好きな場所を求めて、波がゆっくりと広がる。



大きな音がした。


そして、散る。



夏の花だ。



まだ上り階段にいた僕らは、目の前の背中たちでよく見えない。

一つ、思いっきり背伸びをした。



二度目の花が咲く。


と。その花に、隣のあなたが照らされた。




夏の華だ。




来年は、大きくなれるだろうか。


今日を追い越せるくらいに。

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