フェスタ
春は甘やかな興奮をおびて
照り返す期待への Short shrift
聴こえてくる学生の歌うバース
声を張りおのれの時のはかなさを嘆き
こみ上げる記憶の片隅にまで
感謝を繰り返す
この声の届かぬようにと
埋める胸はどこにもない
柔らかな少し熱をおびた
そんな陽射しの中で
ぼくは君を探していた
カチューシャのかがやきはまるで
砕けちる鏡が光の中に
沈んでいくようで
君のかおを見えなくした
指先がふれあいそうな
二人のつながりは
光の底から現れた
ぼくは佇む
二人を包む葉陰のつもりで
そして問う
聴こえることのない声で
ぼくの知らない君がいたことを
振り向かずに歩き出せば
青空は鏡のように
このこころを映し出すだろう
かおを伏せて走り出す
足音は孤独をうたいだした