通常 異常 平常
いい事があるといいな。
そう誰ともなく呟いて暗い夜道へと歩き出す。
きっと彼は今日もいないであろう。
彼のアパートへと足を運び慣れたように家のドアを開ける。
昨日と違うのは洗濯機に服が放り込まれていること。
スーツが入れ替わってること。
そして嗅ぎ慣れない甘い匂いが漂っていること。
私はすぐさま窓を開けて換気扇を回す。
そして洗濯機を付け部屋の掃除、テーブルに置いたままの食事を片付ける。
これじゃ、ただの家政婦だ。
そんな呟きを心の中で零す。
分かってる。
全て分かってる。
そろそろ決着を付けよう。
電機店で買ったボイスコーダーと小型のカメラを取り出す。
そして携帯電話を取り出せば彼の場所が分かった。何度も見ていた場所だ。
「分からせてやる」
あなたはすっかり忘れてしまっているようだけど
どちらが有利か。
いい事があるといいな。
お前の家庭なんてぶっ壊してやる。