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この世界に魔法なんてない。

作者: 藤雅


 この世界に魔法なんて、無い。

 だから、病と傷とでいっぱいになる。

 だから、魔法使いはいないと結論づけられる。

 その代りになるのが医者だったり薬だったりする。

 それが魔法の代用品。という訳でもないのだけど、何かに特化した技術である事には変わりはない。

 そんな世界だから、治せない病気もある。

 もしかしたら、魔法があっても、治せない病気がある。

 心の病、精神の病、つまり精神病だ。

 どうしようもない程に増え続ける病には、特効薬なんてない。

 出来るのは進行を遅らせて、不安を取り除いて行く真摯な対応だけ。

 だから、医者は頼りにされる。

 一能に特化した薬と全能に至る豊富な知識で、医者はこの難病と闘う。精神の病気と闘ってくれる。

 次に戦ってもらうのは君かもしれない。

 それくらい精神病というのは、見つけにくいし、見分けづらい。

 そして、外傷が特にないのが特徴でほぼ全て、自己申告だ。

 君はこの病と見えない傷をどうとらえるだろうか。

 卑怯者と罵るだろうか。

 ありもしない物に怯える人を、気味悪がるだろうか。

 でも、さっきも言ったように、次に発病するのは君かもしれない。

 終わりの見えない戦いに身を投じるのは、君かもしれない。

 そういう人を障害者と呼ぶ。精神の疾患だから精神障害者。

 そうでない人を基本的には健常者と呼ぶ。常に健康な者。

 常に健康なんて言われても、君だって風邪くらい引くだろう。

 だから僕はこう呼ぶ事にする。

 障害者予備軍。

 少し、傷つくね。

 その謂れの無い傷が絶えないのが精神障害者と呼ばれる人と理解してくれたらそれで良い。

 絶え間ない上にいつ終わるのかが見通せない。下手を討てば一生モノの病だ。

 だから優しくしてくださいとは言わない。

 だって、君もまた障害者予備軍だ。

 ほらね、少しだけ対等になれた気がする。

 優しくしてくださいというのは下から上へのお願いだから、言わない。

 

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