表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/198

13

短いです。

13

 そこは白い『闇』の中だった。

 アリアが目を覚ますと、そこは白く何もない世界だった。

 彼女は起き上がり、自分の姿を見てみると、自分の体が実体を持っているが、痛みなどの感覚がないこと、着ているものはお姫様のような豪奢なドレスから、そこは自分が今いる世界とはまた別の世界だと気づく。

 ふとした拍子に、意識(・・)を持っていかれそうになる。

「いしき?」

 アリアは今、自分が思ったことを、口に出した。


(そうだった。私はセルドア様とアランを手当てしていたら、誰かが襲ってきたんだっけ―――)


 この『闇』に捕らわれる前に、どういう状況だったのかを思い出した。

「また、か」

 これで命を落とすのは二回目だと理解した。『相原涼音』として、そして『アリア・スフォルツァ』として。前回は、まだまだ楽しみにしていた弓道でのインターハイや憧れていた大学生活、さまざまなことをやり残していた。今回、9歳の時に転生に気づき、悪役としての一生を打開するために楽しみつつも、自らを磨き上げてきたこの4年間。

 ほんの4年間色々な人と出会った。異母弟のユリウスに主人公(ヒロイン)のベアトリーチェ。そして、彼女と相思相愛であるクリスティアン王太子にセリチアのクロード王子。さらに、公爵家の令息であるマクシミリアンにアラン、サポート役のクレメンスとその友人であり、義理の伯父であるセルドア。クレメンスが拾ってきたウィリアムは、今は王宮で見習いとしている。悪役側の妹のリリスと叔母のフレデリカ、そしてミスティア王女。

 『ラブデ』内に登場するほぼ全員と出会った。彼女の意識によって大きく変わってきた。

(確かにあの男の言うように、私が破滅を迎えさせた人物もいる)

 彼女の人生が彼女自身によって変えられたように、他の人の人生も彼女自身によって変えてしまったと思う。

「でも、それって逆恨み、というんですよ」

 もちろん、『彼女』は人でなしではない。痛みや苦しみも知っている。だから、それを理解しようとしていない人に、それを知ってもらいたいのだ。むろん、それが烏滸がましい、ことも。


『私はやり残したことがある。だから、まだ生きたいの!』


 彼女は空に向かって叫んでいた。

『4年間じゃ足りない、まだまだやり残したことがある。だから―――』


 そう強く念じた時、彼女は再びその空間から、意識を手放した。

 そして、次の瞬間。彼女の体は消え、白い『闇』には何も残っていなかった。




「アリア、良かった―――」

 ()は目を覚ましたアリアに抱き着いた。

アリア「まだマクシミリアン家の腸詰とチーズを一杯食べていないし、恋愛もしたい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fc2ブログ『餡』(番外編などを載せています)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ